シチュエーションごとに具体的に選ばれるフォントの傾向
前段で、フォントをシーン別に使い分ける人の割合が全体の45%にのぼることを紹介しましたが、ここからはより具体的に、どのようにフォントが使い分けられているを見ていきます。アンケートでは、明朝体/ゴシック体/丸ゴシック体/UD書体/筆書体/デザイン書体/装飾書体/手書き書体が提示され、さまざまなシチュエーションでどのフォントが適切だと感じるかが質問されました(複数回答可)。
「明朝体」に最も多く票が集まったのは、「謝罪文書」「ビジネスメール」「プレゼン資料・企画書・報告書」「社内報」「財務資料」などでした。ビジネスシーンで、特に提出用の文書などでは、読みやすさやかしこまった印象を重視して明朝体を選ぶ人が多いようです。ただし、一部を除けばゴシック体にも多くの票が集まっています。
ビジネスシーン以外でも「明朝体」が選ばれる傾向は高めですが、ビジネス文書の場合と比べると差がハッキリと現れてきます。SNSや動画コンテンツ・TVのテロップなど、ビジネス以外のシチュエーションでは、「明朝体」以外のフォントの伸び具合が顕著です。たとえば「看板・チラシ・推し活のうちわなど祭事・催し事関連」という項目では、比較的にポップなフォントを適切だと感じる人が多く、「デザイン書体」が33.0%、「装飾書体」が29.0%で、「手書き書体」が29.0%でした。
とはいえ、どのシチュエーションにおいても「明朝体」や「ゴシック体」には一定の高い割合の票が集まっています。この2つのフォントは、幅広い用途で違和感なく使える印象を持たれているようです。
約3人に1人が「フォントに違和感」を覚えた経験がある
次に「フォントに対して違和感を覚えたことがあるか」という内容を見ていきます。約3人に1人(164人)は多少なりとも違和感を覚えた経験があったそうです。そのシーンとして最も多かったのは36.0%の「ビジネスメール」で、2位は32.3%の「謝罪文書」、3位は24.4%の「プレゼン資料・企画書・報告書」でした。
さらに今回のアンケートでは、フォントと文章に違和感を覚えた具体的なエピソードも集められています。その回答を紐解くと、フォントと文書内容のミスマッチが主な原因となっているようです。たとえばフォントのポップな雰囲気に影響を受けて「ビジネスメールなのに誠実さが伝わらない」などの例が挙げられます。「フォントと文書に違和感を覚えたエピソード」の代表的な回答は以下の通りです。
| フォントと文章に違和感を覚えたエピソード | ||
| 1位: ビジネスメール | ビジネスらしくなく、かわいらしさがあって違和感を覚えた(東京都・36歳男性) | |
| ビジネスのメールにも関わらず遊びに使用するようなフォントで誠実さが伝わらない(神奈川県・44歳女性) | ||
| 2位: 謝罪文書 | 謝罪文なのにフォントが丸っぽく、ややふざけたような感じを受ける(奈良県・48歳女性) | |
| 謝罪文でポップな文字が使われており誠意が伝わらなかった(青森県・38歳男性) | ||
| 変わったフォントが使われていると、内容より見た目にこだわった印象を与えると思う(愛知県・54歳女性) | ||
| 3位: プレゼン資料 企画書 報告書 | 雰囲気があわないと説得力にかける(愛知県・44歳女性) | |
| ハネなどが強調されていて、内容よりもフォントが気になってしまった(千葉県・32歳女性) | ||
フォントは単なる文字のデザインではなく、読み手の体験に直接影響する重要な要素であることが分かります。主にビジネスシーンでは、クセの強いデザインフォントをなるべく避けるべきかもしれません。
前段で紹介した「明朝体」や「ゴシック体」はさまざまなシーンに使えるオーソドックスさが特徴です。かしこまった内容の媒体ではそのようなフォントで「クセ(個性)を出しすぎない」ことが1つのテクニックとも考えられるでしょう。特に「謝罪文書」のような、間違ったイメージを読者に持たれることが致命的になるシーンでは注意が必要です。
2025.09.22 Mon