男女別・年代別の結果が必見の人気フォントランキング
ここからはやや角度を変えて、どのフォントが人気かという部分に焦点を当てた質問を見ていきます。今回のアンケートでは「一番好きなフォントの分類」についての質問が含まれ、男女別や年代別でのデータも示されています。まず全体での「好きなフォントランキング」の1位は「明朝体」(35.2%)でした。デザイン書体や装飾書体の順位がかなり低いのが意外な結果です。
男女別では、上位3位までは全体のランキングと同じでしたが、4位に男性で「筆書体」(11.2%)、女性で「丸ゴシック体」(12.8%)が選ばれています。「丸ゴシック体」と回答した女性は、なんと男性の2倍以上です。
また、年代別で見ると1位は共通して「明朝体」でしたが、2位は20代と30代で「ゴシック体」(20代=25.6%/30代=24.8%)、40代で「手書き書体」(16.0%)、50代で「UD書体」(17.6%)と好みが分かれました。特にゴシック体が若い層に好まれやすい傾向と、UD書体が年配に好まれやすい傾向は目立つ結果です。
一般的にデザインの分野では、「女性向けの媒体では柔らかい丸ゴシック体」「若者向けの媒体ではゴシック体」など、ある一定のセオリーが存在しています。今回の「好きなフォントランキング」の調査結果は、それらのセオリーがデータに裏付けられたものであることを示す内容です。日々フォント選びに悩むデザイナーにとっては、かなり有益な調査と言えるのではないでしょうか。
正答率わずかに3.6%の「フォント名のPの意味」
最後に「フォントに関する知識調査」を紹介します。この調査では、単に使い分けや好みだけでなく、フォントに対する関心が知識としても意識されているのかを探る内容が用意されました。まず、「MSゴシック/MS Pゴシック」などでのフォント名の「P」の意味についての認知度を探る調査では、はっきりと「知っている」と答えた人はわずかに3.6%です。
ちなみにこの「P」の有無は等幅フォントとプロポーショナルフォントの違いを示し、「P」は「プロポーショナル(proportional)」の「P」です。「P」が名前に加えられているプロポーショナルフォントでは英数やかなの幅が文字の形によって異なり、付いていない等幅フォントでは、全角・半角という一定の幅で文字が表示されます。
そのほか、いわゆる “利きフォント” のようなかたちで、フォント名を当ててもらう調査も実施されました。対象となった書体は、モリサワのオリジナルスタンプ作成サイト「フォント de スタンプ」で使えるフォントの一部です。回答は選択式でなく記述形式で、フォントの正式名称を正確に答えた人のみが正解者とされました。正答率は全体的に低く、最も正解者が多かった「勘亭流」でも正答率は3.6%にとどまっています。
これらの調査から、使い分けや好みの違いといった観点ではフォントに対する意識がかなり高まっているものの、専門的な知識という意味ではまだまだ「フォント」の普及には多くの余地が残されていることが分かります。
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今回のアンケート調査から見えてきたのは、人々の生活のおけるフォントへの意外な関心の高さとこだわりです。特にビジネス文書やプレゼン資料などでは「これが適切」とされるフォントが人々の中に存在し、フォントの選択は信頼感や誠実さに直結することが示されています。慎重なフォント選びの重要性をあらためて感じさせる内容でした。
また、後半の「人気フォントランキング」や「フォントに関する知識調査」も、デザイナーにとって非常に示唆に富んだ内容です。プロはしっかりとフォントに関する正しい知識を身につけ、シチュエーションと同時に読み手への印象を意識したフォント選びを心がけることで、より効果的な情報発信につながるデザインを実現できるでしょう。
2025.09.22 Mon