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気になるフォント、 知りたいフォント。

2021.11.04 Thu

漫画『つげ義春 幻想怪異奇譚集成』のブックカバーの使用フォントを紹介

取材・文:山口 優

『つげ義春 幻想怪異奇譚集成』漫画/2021/双葉社
●Designer:サトモトアイ[REVOdesign]

今回は漫画『つげ義春 幻想怪異奇譚集成』(双葉社)のブックカバーの使用フォントを紹介。本記事はデザイン構成において重要な「フォント」の選定プロセスや加工方法を、プロの実例から紐解いてデザイン制作に役立てる連載です。

奇天烈な印象の文字を大胆にレイアウトしてインパクトを出す

「夢と旅の作家」と称される漫画家・随筆家のつげ義春による、摩訶不思議な味わいの短編を集めた作品集『つげ義春 幻想怪異奇譚集成』。1959~1979年間に発表された「夜が掴む」、「コマツ岬の生活」、「ゲンセンカン主人」ほか全13編と、初発表含むカラー原画6点が収録されている。

表紙カバーでは、その時代の空気感や収録作品が持つ「幻想怪異」なイメージが、大胆に配置されたインパクトのあるタイトル文字やコマ割り風のレイアウト、黒や緑、オレンジなどを使用した味わい深い配色などで表現されている。

Font.01「オリジナル」
中国漢字のデザインなどに刺激を受けたインパクトのある文字に

「メインタイトル」部分
オリジナル文字の制作工程01。文字のベースは、昔の新聞広告見出しや、中国のグラフィックを意識して手書きで作り起こされた
オリジナル文字の制作工程02。PCに取り込みIllustratorで文字を整える
オリジナル文字の制作工程03。文字にかすれた質感を加えるなどブラッシュアップ

メインタイトル「つげ義春 幻想怪異奇譚集成」部分は、カバーデザインのコンセプトに合わせて作り起こされたオリジナルの文字。収録作品が発表された当時の時代の空気を漂わせながらも、大胆さや奇天烈な印象を併せ持つタイトル文字が追求された。

図は、その制作工程。手書きでデザインした文字をパソコンに取り込み、Illustratorでパスに起こしたあと、画線の交差部分などにかすれたような効果を付けて仕上げられている。

デザイナーのサトモトアイさんによれば1色で成立するインパクトのある形の文字を念頭に作成しました。イメージしたのは昔の新聞広告の見出しや中国のグラフィックデザインです。とくに中国は漢字のデザインバリエーションが豊富なので、見ているだけでとても面白く、『これらに負けないものを作ろう』と大いに刺激を受けました」とのこと。

Font.02「DIN Bold」
時代を超えて通用する作品の力を書体で表現

「欧文タイトル」部分
「DIN」(FontFontほか)

欧文のタイトル文字は、1930年代にドイツで作られ、現在も世界中で使用されている人気書体「DIN」(FontFontほか)をチョイス。全体のバランスを考慮してウェイトは「Bold」が選択された。

サトモトさんによれば「昔からあるのに時代を超えて今も注目されているということで、令和に出版される、つげさんの作品集にピッタリだと思い使用しました」とのこと。

制作者プロフィール

サトモトアイ[REVOdesign]
デザイナー
メジャーレーベルのレコード会社のインハウスデザイナーとしてCDジャケットやライブグッズなど多岐に渡って制作。その後ブックデザイン事務所勤務を経て2014年10月株式会社レボデザイン設立。こよなくふる里と本を愛し、漫画やライトノベルの装丁、雑誌の誌面デザインを行ったり、写真集の構成・レイアウトも担当している。http://revodesign.jp
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