今回は『人生は攻略できる/橘玲』の使用フォントをご紹介。本記事はデザイン構成において重要な「フォント」の選定プロセスや加工方法を、貴重なプロの実例から紐解いてデザイン制作に役立てる連載です。
絶妙なバランスのファニーかつ洗練されたタイトル文字
新書大賞を受賞したベストセラー『言ってはいけない』や、投資・経済に関する著作で知られる橘玲が、はじめて若者向けに書いた人生戦略本。お金も仕事も幸せもすべてを両立する新時代の生き方が、分かりやすい文章で解き明かされている。表紙カバーではその「面白さ」に重心を置きながらも、真剣さと面白さ、理想と現実という、相反する要素が複雑に絡み合った内容が、タイポグラフィで印象的に表現されている。
Font.01「オリジナル」
同一印象の線幅の文字でスッキリと見せる
メインタイトルやサブタイトル、キャッチ、著者名の文字は、オリジナルで制作されたもの。文字数の多いタイトル周りをスッキリと見せるため、漢字とかなを同一印象の線幅で整えた丸ゴシック体風の文字が新たにつくり起こされた。
Font.02「TBちび丸ゴシック DB」
タイトルに合わせて字面の小さな丸ゴシックに
出版社名の「ポプラ」部分の文字は、字面が小さく控えめでかわいらしい丸ゴシック体用かな書体 「TBちび丸ゴシック DB」(タイプバンク)。メインタイトルの文字と印象が似ており、相性が良いため選択。漢字の「社」部分は同系統の「TB丸ゴシック DB」(タイプバンク)が適用されている。
Font.03「見出ゴMB31」
ゴシック体をタイトに組みタイトルと見え方を差別化
帯に配されたキャッチコピー部分の文字は、しっかりとした骨格を持つ落ち着いた雰囲気のゴシック体「見出ゴMB31」(モリサワ)に。タイトルと見え方を差別化すると同時に、タイトに詰めて組んでも読みやすいため選択された。
2019.11.14 Thu2021.09.03 Fri