今回は書籍『新しい経営学/三谷宏治』の使用フォントをご紹介。本記事はデザイン構成において重要な「フォント」の選定プロセスや加工方法を、貴重なプロの実例から紐解いてデザイン制作に役立てる連載です。
新しさと堂々とした佇まいを文字で演出
現実のビジネスを構成する「ターゲット」「バリュー」「ケイパビリティ」「収益モデル」という4つの要素から経営学を目的別に紐解き、学生から経営者まで誰もが楽しく経営視点を身につけていくことができるという入門書のカバーデザイン。その革新的なコンセプトや実践的な内容が、新しさや堂々とした佇まいを感じさせるタイトル文字などで表現されている。
Font.01「凸版文久ゴシック R」
抑揚のあるゴシック体で堂々としたニュアンスに
メインタイトルの文字は、筆の入りにアクセントがあり、抑揚のあるデザインが印象的なゴシック体「凸版文久ゴシック R」(モリサワ)がベースに。新しさと同時に堂々とした佇まいを持たせるため、文字の繊細な線は生かしつつも微妙に太らせたり横に広げたり、一筆書きのように線をつなげるなどして、文字にニュアンスがつけられている。
Font.02「TT Norms」
幾何学的なサンセリフ体をステンシル風に加工
英語表記部分「RENOVATION」「MBA BASICS」「KOJI MITANI」は、幾何学的で現代的なサンセリフ体「TT Norms」(TypeType)をステンシル風に加工したもの。日本語のタイトル文字と組み合わせた際に面白みが増すため、あえてジオメトリックな書体が選択されている。
Font.03「凸版文久見出し明朝 EB」
タイトルと同ファミリーの書体で統一感を持たせる
帯のキャッチコピーのうち「“専門分野の束”だった経営学を」部分は、活字時代の伝統的な骨格をベースに現代的なニュアンスを取り込んだ「凸版文久見出し明朝 EB」(モリサワ)。メインタイトルと同じ凸版文久体ファミリーの書体を使用することで、印象をそろえる工夫がされている。
Font.04「凸版文久見出しゴシック EB」「凸版文久見出し明朝 EB」
タイトルと印象をそろえつつコントラストをつける
帯のキャッチコピーのうち「目的別に再構築」の漢字部分は、凸版文久体ファミリーのなかでも力強い骨格を持つ見出し用書体「凸版文久見出しゴシック EB」(モリサワ)が選択された。メインタイトルと同じファミリーの書体を使用することで印象をそろえつつ、コントラストをつけて読者の目を引きつけるのが狙い。ひらがな「に」の文字は「凸版文久見出し明朝 EB」(モリサワ)。
2019.10.18 Fri2021.09.03 Fri