今回はYouTube Originals アニメ『OBSOLETE』の使用フォントをご紹介。本記事はデザイン構成において重要な「フォント」の選定プロセスや加工方法を、貴重なプロの実例から紐解いてデザイン制作に役立てる連載です。
ベーシックな文字を直線的に加工してメカっぽく
『魔法少女まどか☆マギカ』や『Fate/Zero』などの作品で知られる虚淵玄(ニトロプラス)が原案・シリーズ構成を務め、新進気鋭のCGアニメーションスタジオ・武右ェ門が制作した完全オリジナル作品のポスタービジュアルおよびWeb用ティザービジュアル。
異星人との交易によってもたらされた2.5mの意識制御型汎用ロボット「エグゾフレーム」が活躍する世界を描いたフルCGのリアルロボットアニメーションで、2019年12月よりYouTubeバンダイナムコアーツチャンネルにて配信開始。キービジュアルでは、メカっぽいモチーフやタイトルロゴ、ファッション性が感じられるレイアウトなどによって、ロボットアニメーションならではの男臭さを感じさせる作品世界が力強く印象的に表現されている。
Font.01「Helvetica Neue Bold」
普遍的な書体を加工してメカっぽい印象に
メインタイトルの「OBSOLETE」は「廃れた」や「使われなくなった」などを意味する。タイトルロゴは、その意味に通じる「何もない」や「ゼロ」をコンセプトに制作された。ベースとなっている書体はベーシックなサンセリフ体「Helvetica Neue Bold」(Linotype)で、頭文字の「O(オー)」をゼロに見立てて斜線を入れたり、画線の交差部分に直線的なアクセントをつけてゴツゴツした印象にしたりして、コンセプトやロボットアニメーションらしさを出す工夫がされている。
Font.01「見出ゴMB31」
タイトルロゴに合わせベーシックなゴシック体に
キャッチコピー「エグゾフレームがもたらす世界」部分の文字は、字面が小さめで落ち着きのあるゴシック体「見出ゴMB31」(モリサワ)。タイトルロゴの文字とウェイトなどの印象が近く、ロゴ制作のコンセプトに合ったベーシックでクセのない書体だったため選択された。他の文字要素との差別化や、どっしりとした存在感を出すため、字間は広めにとられている。
2019.10.31 Thu2021.09.03 Fri