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気になるフォント、 知りたいフォント。

2020.01.30 Thu2021.09.03 Fri

映画『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』

取材・文:山口優

『テリーギリアムのドンキホーテ』映画/2020/ショウゲート
●Designer:安齋和晃[GRAFIGHTER]、柘雄介[GRAFIGHTER]

今回は映画『テリーギリアムのドンキホーテ』のポスターの使用フォントをご紹介。本記事はデザイン構成において重要な「フォント」の選定プロセスや加工方法を、貴重なプロの実例から紐解いてデザイン制作に役立てる連載です。

レトロな印象の文字で中世ヨーロッパの時代感を

仕事への情熱を失くした若手CM監督のトビーと、自らをドン・キホーテだと信じ込む老人の冒険を描いたファンタジックなアドベンチャー映画。鬼才テリー・ギリアム監督が幾多の困難を乗り越え、構想から30年の時を経て完成にこぎつけた注目作『テリーギリアムのドンキホーテ』

日本版ポスターでは、監督の描くカオスな世界観とドン・キホーテの世界観が、劇中に登場する多彩なキャラクターやアイテムを織り交ぜたビジュアルと、時代感を感じさせるタイトルロゴなどで表現されている。

Font.01「オリジナル」
ゴシック体をベースに装飾を加えレトロ調に

「作品タイトル」部分

メインタイトルの文字は、ウェイトが太くレトロ感のあるゴシック体をベースに作り起こされたオリジナルのもの。作品のモチーフとなっている「ドン・キホーテ」の世界観や時代背景を表現するため、中世ヨーロッパのゴシック建築の柱や装飾のようなイメージを取り入れながら数種類制作された。図はその候補の一部。最終的に、候補のうちもっとも力強さや視認性の高さ、ロゴとしての一体感を意識してデザインされたものが採用された。

Font.02「カクミン B」
ゴシック体と明朝体の特徴を合わせ持つ書体に

「キャッチコピー」部分
カクミン B

キャッチコピー部分の文字は、ゴシック体と明朝体の両方の特徴をあわせ持つ「カクミン B」(モリサワ)がベースに。エレメントの装飾感と可読性の高さが、混沌としたビジュアルの世界観とマッチするため選択された。文字のエッジに退廃的な加工を施すことで、キャッチコピーを引き立たせると同時に、作品の狂気的なイメージを漂わせる工夫も施されている。

Font.03「小塚ゴシック H」
ビジュアルと相性がよく可読性の高いゴシック体に

「コピー」部分
小塚ゴシック H

最上段のコピー部分の文字は、可読性の高いゴシック体「小塚ゴシック H」(アドビ)。小さめの文字でも読みやすく、やや縦長のフォルムがタイトルロゴやビジュアルとの相性がよいため選択された。なお、全体の印象やバランスを考えて、文言のうち数字部分は「DIN Black」、エクスクラメーションマークは「DIN Bold」(ともにFontFontほか)に変更されている。

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