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デザインのある生活

2020.06.26 Fri

結婚祝いに◎!縁起のよさと機能性を兼ね備えた“うつわ”のブランド。CRAFT STOR「eni」

構成・文:編集部、吉永美代

今回は、器や生活雑貨など日本のものづくりをセレクトしたECサイト「CRAFT STORE」のオリジナルブランド「eni」をピックアップ。末広がりの八角形の中央に円を配したプレートやマグカップは、落ち着いた色や質感、使いやすさも魅力です。

波佐見と多治見の職人技をモダンなデザインに落とし込む

「eni」でデザイナーを務めるYuki Ideさん
「eni」でデザイナーを務めるYuki Ideさん

「CRAFT STORE」が、モデルでデザイナーのYuki Ideさんと作った、器のブランド「eni」。縁起のいい八角形のデザインで、結婚祝いなどハレの日のプレゼントをはじめ自宅用としても人気です。スタートは2018年11月、長崎県の波佐見焼の窯元「菊祥陶器」の職人と作り上げた「eniプレート」から。2019年4月には新色と新サイズのプレートを、11月には岐阜県多治見市の「丸朝製陶所」と作った「eniマグ」も発売されています。

八角形デザインに、縁の広がりと幸せを願うメッセージを込めて

「CRAFT STORE」を運営するニューワールド株式会社の広報、木山美波さんにお話を伺いました。

──「eni」はどんなきっかけで立ち上がったのですか?

木山 デザインを監修したYuki Ideさんは、「CRAFT STORE」代表の井手康博の妻でもあるのですが、彼女が妹の“結婚祝い”に贈れるような器がなかなか見つからず「ならば作ってみよう!」と企画したのが始まりです。

「CRAFT STORE」は日本のものづくりに特化したECサイトで、各地のものづくり企業とのお取引が多いので、いつか一緒にものづくりをしたいという気持ちは以前からありました。それが結婚祝いというきっかけを得て、ブランド作りにおいてもコンセプトとターゲットが明確なものになったと思います。

──なるほど、身近な方の声から始まった企画ということですね。

木山 そうなんです。彼女は過去に国産デニムなどをプロデュースした経験があり、ものづくりへのリスペクトとこだわりを持っているので、一緒にブランドを立ち上げるにあたりベストな相手でした。Yukiさんとのコラボをきっかけに、これからもものづくりに興味のある方々とコラボして行きたいと考えています。

──それでは、改めて「eni」のブランドコンセプトについて教えてください。

木山 コンセプトは 「ハレの日を祝い、幸せを願う。」ただデザインがおしゃれなだけではなく、メッセージ性のあるものを作ることができたことが、本当によかったと思っています。

──八角形という形が、ストーリー性もあり、デザインとしても素晴らしいですね。

木山 お祝いとしてのお皿をデザインすると決まったとき、Yukiさんは、意味のあるデザインにしたいと思っていたようです。彼女がいくつかデザイン案を書いているうちに、パッと思いついたのがこの形。“末広がりの八角形“で”夫婦円満の丸”と、しっかり意味が感じられるものになりました。

──ブランド名も覚えやすくて素敵ですが、どんな想いで付けられたのでしょうか?

木山 「eni」は「縁(えにし)」からとっています。食卓を通じて縁がひろがりますように、という願いが込められています。「食卓を囲む」って、誰かと繋がることだと思うんです。一緒に食べる人、生産者、使う人。1枚の器を通じて他者との繋がりを意識できたらと素敵だな、と思っています。

波佐見焼職人の努力で、温かな白を実現した「eniプレート」

──「eni」の第一弾として発売されたのがプレートですね。

木山 八角形という形以外にも、シンプルで、かわいくて、使いやすくて……など、盛り込みたい要素はたくさんあったので、サイズ感や形にはこだわりましたね。最初に発売したプレートは、取皿でもなく大皿でもなく食卓に並べやすいサイズ感を意識して、23cmにしました。

──製造に波佐見焼の窯元「菊祥陶器」を選ばれたのはなぜですか?

木山 「菊祥陶器」の木下博昭さんとの出会いは2017年にさかのぼります。波佐見焼ブランド「HASAMI」を展開する「マルヒロ」さんの取材撮影の際に、「ソークシリーズ」の製造が木下さんの工場で行われていたことから、たまたま工場に訪れたんです。色、土、釉薬へのこだわりが強く、とても丁寧にものづくりをしておられるのが印象的だったので、「eni」の職人さん探しの際に、木下さんに相談することにしたのです。

──プレートの落ち着いた色合いや質感も魅力的ですね。

木山 光沢のある白ではなく、“マットな白”にこだわりました。「eniプレート」の完成に至るまで、100を超えるサンプルを作り、1年もの製作期間を費やしたんです。特に大変だったのが色あいの表現や強度に関わる釉薬の調合だそうで、「小数点一桁までデータをとった」と木下さんはおっしゃっていました。

焼き物に火を入れるやり方には、「還元焼成」と「酸化焼成」があります。酸素がない窒息状態で焼かれる、磁器の真っ白なものが還元焼成。十分に酸素がある状態で焼かれる、陶器などの温かく柔らかな雰囲気のものが酸化焼成です。

酸化焼成でお皿を焼くとアイボリー色になるので、磁気のような「白」は通常は出せないそうです。しかし「eni」では、酸化焼成で温かみを持たせつつ、磁器のような「白」にしたかったのです。

木下さんは、行政機関や釉薬屋さんに相談しても「白は無理」と言われ、諦めかけたこともあったそうです。でも焼き物の無限の可能性を信じ、持ち前のチャレンジ精神で、「酸化焼成で白」のお皿を実現しました。「できないと言われると燃えるタイプなんです」とおっしゃっていましたが、実現不可能といわれた白をなしえた職人の木下さんには、本当に頭が下がります。

──そんな苦労があったとは驚きです。軽さもこのプレートの特徴ですよね。

木山 軽くて使いやすいこと。食洗機・電子レンジOKであることにもこだわりました。「eni」に使っている素材「かるがる陶土」は、陶器と同じくらいの強度を保ちつつ、約20%の軽量化を実現できています。軽いとつい毎日手に取りたくなりますよね。

多治見のマグ専門職人が手掛ける「eniマグ」は、耐久性も魅力

──昨年発売された「eniマグ」にも、八角形の底と丸いフチという縁起のいい形が引き継がれていますね。

木山 「eni」のテーマでもある八角形と丸のデザインをマグカップに落とし込むためにどうするか悩みました。外側を八角形にして底を丸にする案もあったのですが、せっかくならほかにないデザインに挑戦したいと思い、内側を八角形にすることになったんです。八角形を綺麗に出す作業は職人さんも相当難しかったようです。「eni」はマグもプレートも形が特徴的なので、職人さんの技術にたくさん助けていただきました。

──「eniマグ」はマグカップ専門メーカーの「丸朝製陶所」が製造を手掛けているんですね。

木山 「菊祥陶器」の木下さんにこの形のマグカップを依頼したところ、専門外だからとほかの職人さんを当たってくださり、多治見焼の「丸朝製陶所」をご紹介いただきました。「丸朝製陶所」は、1916年からカップ作りを専門にものづくりを続ける老舗です。マグカップ製造のエキスパートなら内側が八角形の特殊なマグカップも作れるとわかり、お願いすることに。「菊祥陶器」の木下さんから繋いでいただいたご縁というのも「eni」らしくていいなと思います。

──「eniマグ」のカラーや質感も素敵です。

木山 プレートと同様、マットな質感にこだわりました。定番のブラックとホワイトに加えて、新たにモカブラウンとブルーグレーが加わっています。 モカブラウンは以前から出したいと思っていた、ベージュ寄りの落ち着いた色。ブルーグレーはお客さまからの声も参考にして選びました。グレーがかった色味にすることで、男女ともに手に取りやすく、より落ち着いた印象に仕上がっています。

──マグにはほかにどんなこだわりがありますか?

木山 耐久性にもこだわっています。一般的な陶磁器は、素焼きと本焼きの2回の焼きで作られますが、「eniマグ」は3回も焼いているんです。1300度の高温で焼くことで素地がギュッと締まって密度が高くなり、耐久性のあるマグカップに。電子レンジはもちろんオーブンにも使えるタフなつくりで、カップケーキなどのお料理にもおすすめです。

「eni」を通じて、日本のものづくりに想いを馳せて……

──「eni」を使ってほしいシチュエーションなどはありますか?

木山 結婚祝いをきっかけに生まれたブランドですので、お客さまも、結婚祝いや引っ越し祝いなど、贈り物にされる方が多いです。特に女性のファンが多く、「シンプルだけど特徴的なデザインなので、定番の白いプレートでも人と被らないのがいい」というお声もたくさんいただいています。贈り物に悩んだ時に、「eni」の存在を思い出していただけるようになりたいですね。

大切な人に贈るだけではなく、自分用としても。「eni」をきっかけに、産地のことを知っていただいたり、ひとりで使う時にも産地との繋がりを感じていただいたり。「eni」を通じて日本のものづくりに興味を持っていただけたら嬉しいです!

──それでは最後に今後の予定を教えてください。

木山 2020年の夏ごろに、新作を予定しています!また「eniマグ」の限定カラーも定期的に発売していて、毎回88個限定で発売しています。贈りやすく食卓に馴染む「eni」シリーズの今後にも、ぜひご期待ください。

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