美しい色彩、味わい深い濃淡のグラデーション、個性豊かな名前やボトルデザイン……。一度知り始めたらどんどんハマってしまう“インク沼”。近年の万年筆ブームにより、魅力的なインクはますます増えています。ボトルが並んでいるところを見るだけで心が躍るという人も多いのでは？そこで、インクの見本帳となる連載をスタート。毎回1色ずつ気になるカラーをピックアップして紹介します。2022年5月は定番カラーのブラックに注目。

今回紹介する黒インクは……
エルバン「トラディショナルインク」PERLE NOIRE
パイロット「iroshizuku-色彩雫」竹炭 take-sumi
カキモリ「Kakimori ink」10 ことん

パイロット「iroshizuku-色彩雫」について
日本の自然や情景に出会える優美なインクシリーズ

日本の美しい自然や情景をイメージして作られたパイロットの万年筆用カラーインキ「iroshizuku-色彩雫（いろしずく）」。日本の万年筆ブームの先駆けとして2007年の発売以来人気を誇るシリーズです。高級感のある銀色の箱に入り、リボンがかかった香水瓶のような上質なボトル。瓶の内部にはくぼみが施され、インキが少なくなった時にもペン先を傷つけずに吸引しやすい仕組みに。雫が滴るようにも見え、機能性と美しさを兼ね備えたデザインになっています。

24色のラインナップは一般的な色名でなく、「蛍火」「月夜」「紫陽花」などすべて趣ある日本の植物や景色の名前から引用されています。心惹かれる名前から選んでみるのも楽しそう。

黒インク「竹炭 take-sumi」の魅力
高級感あるボトルに竹炭色のインクが美しく映える

今回ご紹介する「竹炭 take-sumi」は、従来のパイロット社製のブラックインキよりもやや濃い発色が特徴。「iroshizuku-色彩雫（いろしずく）」シリーズの中でも唯一のブラックで、名前の通り竹炭そのもののような色が楽しめます。

はっきりとした黒ながらどこか温かみを感じる色み。筆で書いたり、水で少し薄めればぼかした色を楽しめる。するりと滑らかな書き心地で、柔らかな線を描くことができます。和紙の便箋など、日本独自の素材と合わせて使いたいインク。太めの万年筆を使うと濃淡がつきやすく、味わいのある文字に仕上がります。

広報部の竹尾さん「色彩雫は日本の情景をテーマにした色彩豊かな万年筆専用インキシリーズです。瓶やパッケージのデザインにもこだわり、香水瓶のように美しいデザインをガラス工房とともに一から作りました。瓶からコンバーターを使ってインキを吸入するその“所作”の時間も楽しんでいただきたいです。そして万年筆だからこそ表現できる文字の濃淡など、さまざまな“書く”をお楽しみください」