新型iPhoneはXRに注目! そして、特筆すべきは「Apple Watch」 | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-

新型iPhoneはXRに注目! そして、特筆すべきは「Apple Watch」

2018.11.22 THU

新型iPhoneはXRに注目! そして、特筆すべきは「Apple Watch」

2018年09月14日
TEXT:大谷和利(テクノロジーライター、AssistOnアドバイザー)
アップル恒例の秋のスペシャルイベント、今年のヒントは、新キャンパスのメインビルディングを思わせるサークルがゴールドに輝き、"Gather round"の文字が添えられていることだった。ゴールドは、新型iPhoneのカラーバリエーションに加わる新色であるというのが大方の予想で、"Gather round"に関しては「(主要製品が)輪になって揃う」など、少しヒネった意味に捉える向きが多かったように思う。

しかし、蓋を開けてみれば、後者は「(今回発表される製品の)スクリーンの角がすべて丸くなる」ということの暗示であった。今回、iPad関連の発表はなかったものの、こちらもスクリーンが角丸化していくことは間違いない。
▷ 止まらぬ確度の高いリーク
相変わらず、発表内容の主なポイントは事前のリーク情報と合致していたため大きな驚きはなく、オープニングビデオも大げさな割にオチ(急を要して運ばれてきた荷物の中身がプレゼンテーション用のクリッカー)が物足りない印象を受けた。

しかしながら、新型iPhoneのラインアップが超強力であることに変わりはない。特に、iPhone Xシリーズの魅力をコストも考慮しつつ凝縮したiPhone XRは、今後、2、3年に渡って価格を下げながら存続し、アップルのスマートフォン世界戦略の中核的存在となっていくことだろう。

ところで、筆者はイベントのストリーミング中継をApple TVで観たのだが、リビングの片隅で声がすると思ったら、英語モードに設定してあったデバイスのSiriが、ビデオ内でSteve Jobs Theaterの場所をSiriに訊く声に反応し、情報を読み上げていたのだった。Siriにも、Alexaのようにテレビからの声に反応しない賢さを求めたい。

また、新製品発表後のプレスリリースでは、iPhone XS/XS Maxのタイトル部分の「iPhone史上で最高かつ最大のディスプレイを搭載したiPhone XsとiPhone Xs Max」と、iPhone XRの本文冒頭の「2018年9月13日、Appleは本日、iPhone Xs(アイフォーン・テン・エス)からの画期的なテクノロジーを組み込んだ、iPhone Xr(アイフォーン・テン・アール)を発表しました。」のように、製品名の一部が小文字になった表記の誤りがあり、ギリギリまで社内でも製品名の情報が錯綜していたことを伺わせた。
▷意外だが「アリ」なフォロー広告
ちなみに、最大スクリーンを持つモデルの製品名となったiPhone XS Maxには(少なくとも今のところ)違和感を禁じ得ないが、追加色のゴールドと共に、多分に新興国市場を意識して直裁的な訴求を行う策に出た印象が強い。

同様に、イベント後にYouTubeで公開された「Appleのビッグニュースを108秒で」というビデオは、公式コンテンツにもかかわらずタイトルからしてYouTuber的で、最初はどこかのまとめサイトが作ったダイジェストムービーかと勘違いしたほどだ。

構成やモーションテキストの入れ方なども、アップルらしからぬベタな感じで意外だったが、観終わってみると、今後、iPhone XシリーズやApple Watchのような高付加価値製品をさらに普及させていくためには、消費者に対するこうしたストレートなアプローチも必要なのだろうと考え直した。

今までのアップルは、広告でも芸術性や作品としてのまとまりを重視していたが、それだけではリーチできない層もあった。その意味で、アップルがこのような路線「も」打ち出してきたことは、他社にとって新たな脅威になりうると考えてよいだろう。
▷ 正常進化+αのApple Watch
iPhone XS/XS MaxとiPhone XRは正常進化の範囲内だったが、Apple Watch Series 4に関しては、それ以上の重要な機能付加が見られ、この点は特筆に値するといえる。すなわち、フルスクリーン化や薄型化までは予測可能だったが、電気心拍センサーと転倒検出機能に関しては予想外の追加機能であり、ウェアラブルデバイスとしてのApple Watchの役割をアップルが真摯に考えていることの証でもあった。

Apple Watchが医療系の応用を視野に入れたときから、そのためのセンサー機能を組み込んで実用に供するためには、アメリカのFDAや日本の厚労省による医療機器としての認可が必要なことは明らかだったので、電気心拍センサーがすぐには使えないことは驚くに値しない。重要なのは、いつでも使える状態で内蔵されていることであり、その意義と正確さが理解されれば認可は後からついてくる。

転倒検出機能も、たとえば一人暮らしの高齢者などがApple Watchを身につけて、万が一の際に家族が駆けつけるようなシーンがすぐに思い浮かぶ。このような応用を考えつくのも、開発チームがウェアラブルデバイスというものを表面的に捉えず、ゼロから仕様を煮詰めているからに他ならない。
ちなみに、新製品そのものとは関係のない些細なことだが、個人的に気になったのは、ワールドワイドマーケティング担当の上級副社長であるフィル・シラーが、写真のボケ(英語の綴りは"bokeh")のことを「ボカ」と発音していたことだ。

発音機能のあるオンライン辞書などで聞いてみればわかるが、この英単語の読みは日本語と同じ「ボケ」である。影響力の大きいアップルの発表会だけに、そして、新型iPhoneで一段と進化したカメラ機能の特徴の1つであるだけに、そこは正しく発音して欲しかったと思う。

最後に、2018年内の発売を予告しながら密かにアップルのWebサイトから姿を消した純正のワイヤレス充電パッド、AirPowerの行方も気になるところといえる。もちろん、2018年はまだ3ヶ月以上残っており、約束が破られたわけではないが、開発が遅れているならば、素直にそのようにいえば良いだけのこと。

Qi規格および、そのバリエーションとされるApple Watchのワイヤレス充電規格に準拠したデバイスを3個まで、しかもパッド上のどこに置いてもチャージできるという機能性を満たすことが簡単ではないのは十分理解できるので、ティム・クックが、口当たりの良い話題だけでなく、AirPowerの開発見通しについても率直に語るべきだったと感じたのは、筆者一人ではなかったはずだ。
[筆者プロフィール]
大谷 和利(おおたに かずとし) ●テクノロジーライター、AssistOnアドバイザー
アップル製品を中心とするデジタル製品、デザイン、自転車などの分野で執筆活動を続ける。近著に『iPodをつくった男 スティーブ・ ジョブズの現場介入型ビジネス』『iPhoneをつくった会社 ケータイ業界を揺るがすアップル社の企業文化』(以上、アスキー新書)、 『Macintosh名機図鑑』(エイ出版社)、『成功する会社はなぜ「写真」を大事にするのか』(講談社現代ビジネス刊)。
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