今回は書籍『“よむ”お酒/パリッコ、スズキナオ』の使用フォントをご紹介。本記事はデザイン構成において重要な「フォント」の選定プロセスや加工方法を、貴重なプロの実例から紐解いてデザイン制作に役立てる連載です。
丸ゴシックをベースに使いゆるくて楽しい感じに
人気酒場ライターふたりによる酒飲みユニット「酒の穴」が著した初エッセイ集。「会社の飲み会」や「酒のシメ問題」「粋な飲み方」など、酒にまつわるあれこれがゆるーく、ぬるーく、たまに真剣に書き綴られている。表紙カバーは「お酒の中に広がる宇宙空間」をコンセプトに、ほんわかしたタッチのイラストやタイトル文字で、著者ふたりのゆるくて楽しい雰囲気が表現されている。
Font.01「筑紫A丸ゴシック B」
温かな丸ゴシック体でゆるくて楽しい感じに
著者の人柄や本の内容に合わせてゆるくて楽しい空間を演出するため、文字要素はすべて丸ゴシック系の書体が検討された。そのうちメインタイトルの文字は一般的な丸ゴシック体のデジタルフォントとは一味違う温かで味わい深いラインを持つ「筑紫A丸ゴシック B」(フォントワークス)がベースに。全体のバランスを意識して長体をかけ、読者の目を引くようにレイアウトされている。
Font.02「JAF Domus Titling Bold」
丸みのある文字でPOPかつスマートに
タイトルのローマ字表記部分は、伝統的なローマン体の骨格をベースにしたラウンド系のサンセリフ体「JAF Domus Titling Bold」(Just Another Foundry)。POPな雰囲気を出すため、メインタイトルと相性がよく、丸みがありつつもスマートな印象の書体が選択された。
Font.03「UD新丸ゴ H」
メリハリを意識しつつ親しみやすい書体に
著者名や出版社名の文字は、ユニバーサルデザインに配慮した判読性の高い丸ゴシック体「UD新丸ゴ H」(モリサワ)。ここではメインタイトルとメリハリをつけるため、クセの少ないシンプルで親しみやすい書体をチョイス。
2019.12.05 Thu2021.09.03 Fri