プロのフォント使いを実例から解く
気になるフォント、
知りたいフォント。
デザインの構成において、最も重要な要素の一つ「フォント」。本コーナーでは、無数の選択肢から導き出されるプロのフォント使いを、素敵な実例ベースで紹介していきます。(記事一覧はこちら)今回取り上げるのは、書籍『横濱エトランゼ/大崎梢』です。 2020年4月30日 取材・文 山口 優
『横濱エトランゼ/大崎梢』書籍/2020/講談社(URL)
●Designer:築地亜希乃[bookwall](URL)
●Illustrator:おとないちあき(URL)
装飾的な文字で異国情緒あふれるイメージに
元町や山手、馬車道など、横浜を舞台に起こる不思議な出来事を解き明かす、ハートウォーミングな連作短編集の表紙カバー。異国情緒あふれる賑やかで華やかな街「横浜」のイメージが、作中に登場する多種多様なモチーフを散りばめたメインイラストや、レトロでハイカラな雰囲気のタイトル文字などで表現されている。
使用フォント1(メインタイトル)
「オリジナル」
レトロさと音を感じさせる
華やかな雰囲気の文字に

オリジナル
メインタイトルの文字は、作品の舞台である横浜の異国情緒あふれるイメージをもとに作り起こされたオリジナルのもの。レトロ感を出すため、欧文書体のブラックレターのような装飾的な文字が考案された。図はその制作工程。手描きでラフを作成したあと、Illustratorでトレースし、細部の調整を行うなどして仕上げられた。
その際、キラッと輝くようなモチーフをあしらったり、メインイラストに描かれている紙吹雪から想像した「ファンファーレが鳴り響く情景」を音符記号風のラインで表現するなどして、横浜の賑やかで華やかな雰囲気を演出する工夫もされている。
使用フォント2(著者名)
「見出ゴMB1」
タイトルとの差別化と
可読性を意識した書体に

見出ゴMB1
著者名の文字は、読みやすさを重視して設計されたオーソドックスなゴシック体「見出ゴMB1」(モリサワ)に。ハネやハライがシャープで華やかな印象のタイトル文字と差別化するため、あえて落ち着いた雰囲気のゴシック体が選択された。
使用フォント3(欧文)
「Easy Street Alt EPS」
流れるような書体で
エレガントさを表現

Easy Street Alt EPS
タイトルの欧文表記部分は、流れるような筆跡のスクリプト体「Easy Street Alt EPS」(EPS Fonts)。エレガントさを出すため、流麗で雰囲気のある書体が選択されている。
気になるフォント、 知りたいフォント。
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