飲料『小岩井 Theカフェオレ』のパッケージのフォントを紹介。本記事はデザイン構成において重要な「フォント」の選定プロセスや加工方法を、貴重なプロの実例で紐解いてデザイン制作に役立てる連載です。
端正な書体を使用して誠実でまっすぐな印象に
小岩井農場を原点としてミルクに強みをもつ「小岩井」ブランドのカフェオレ『小岩井 Theカフェオレ』。今年で22周年を迎えるロングセラー「小岩井 ミルクとコーヒー」のリニューアル商品で、ミルクのおいしさにこだわった「小岩井の自信作」であることが伝わるよう、商品名とパッケージデザインも大きく刷新された。新パッケージは「ミルクの上質なおいしさ」をコンセプトとし、ミルクの味わいを想起させる「白」を基調にした配色に。
またブランドの自信、正統感、品質感を表現するため堂々とした太い明朝体を使用することで、商品の根底にある誠実なものづくりの姿勢や優しい印象の味覚を表現し、つい手に取りたくなるような「シンプルで伝えたいことがきちんと伝わるまっすぐなデザイン」に仕上げられている。
Font.01「秀英初号明朝 H」
堂々とした明朝体でブランドの自信や正統感を
商品名の和文部分は、伝統的な活字書体を受け継いだ端正なデザインの「秀英初号明朝 H」(モリサワ)に。堂々とした太い明朝体を使用することで、「小岩井ブランド」の自信や正統感、品質感が表現されている。
Font.02「Annabelle JF」
やわらかなスクリプト体で手に取りやすい印象に
商品名のうち「The」の文字は、やわらかな雰囲気のスクリプト体「Annabelle JF」(Jukebox)がベースに。やや硬い印象のラベルの中央にやわらかな印象の書体を用いることで、カフェオレを求める気持ちにあった手に取りやすいデザインにするのが狙い。可読性や全体のバランスを意識して、エレメントの形状などが細かく調整されている。
Font.03「ITC Legacy Sans Medium SC」
シンプルな書体で洗練された雰囲気に
商品名やキャッチの欧文は、シンプルながらも程よい個性が感じられるサンセリフ体「ITC Legacy Sans Medium SC」(ITC)に。細かな文字要素を可読性の高い書体で統一することで、読みやすさと洗練された印象を両立するのが狙い。
Font.04「丸明オールド」
なめらかな書体で生クリームの素材感を表現
和文のキャッチ部分は、先端が丸く処理されたオールドスタイルの明朝体「丸明オールド」(砧書体制作所)に。生クリームを連想させるなめらかでやわらかい印象を持ち、商品名の書体と親和性があってカジュアルすぎない書体のため選択された。
Font.05「Mrs Eaves XL Serif OT Reg Italic」「AXIS Light」
ラベルの世界観に合わせシンプルで視認性の高い書体を
ラベル下部の表記のうち内容量部分は可読性に優れたローマン体「Mrs Eaves XL Serif OT Reg Italic」(Emigre)、飲料の名称部分はフトコロの広い現代的なゴシック体「AXIS Light」(タイププロジェクト)に。ラベルの世界観を壊さないよう、シンプルで視認性の高い書体が選択された。
2021.06.03 Thu2021.09.03 Fri