日差しが強まり、湿度も高まって夏の気配を感じるこの頃。上手に体内の温度や湿度の調節をしてバランスを取りたいものです。今回はそんな初夏から梅雨の時期に合わせた養生方法を教えてもらいます。解説は鍼灸院「アキュサリュート高輪」院長の瀬尾港二先生。イラストはお笑いコンビ蛙亭の中野さんです!
水分が溜まりやすい季節!初夏から夏に向けての養生
瀬尾 夏に向けて、湿度と気温が高まってくる季節です。季節の変わり目はまだ夏の湿度や気温の変化に体が慣れていないので、体内バランスの変化にも要注意。暑いと熱中症の危険もあって水分を取ることに意識が向きがちですが、その分体に不要な水分が溜まりやすくなっています。この時季は「利湿作用」があるものをとり、飲んだ以上に排出することが大切になってきます。
利湿作用を高める、小豆(あずき茶)に注目を!
瀬尾 初夏の5〜6月頃は、まだそれほど気温が高くならないため、体を冷やし過ぎないように注意が必要です。そこでおすすめなのが、体の余分な水分を排出してくれる利湿作用の高い小豆。特に取り入れやすいあずき茶にしてみてはいかがでしょうか?小豆を茹でたときの茹で汁を冷蔵庫で保管しておき、飲むときに温めるだけでOK。ご家庭でも簡単に作ることができます。難しい人は、市販のあずき茶でもいいでしょう。
暑いからといって、冷たい物を飲むのは悪影響
瀬尾 肺と脾を冷やしてしまわないよう、夏でも常温または温かい飲み物を選ぶことをおすすめします。外で飲む飲み物も、なるべく氷なしを選びましょう。クーラーの効いた部屋で、冷たいものばかりを飲むのは厳禁です。また、お酒も熱燗やお湯割りなどにしておくと翌日の体の重さが変わりますよ。
実はどじょうも!初夏に向けて食べたい季節の食べ物
瀬尾 さらに、おすすめの利湿作用がある旬の食べ物をいくつかご紹介します。実は、どじょうは余分な水分をとってくれるだけでなく、栄養価の高い食べ物です。好き嫌いが分かれてしまうものなので、苦手な人は豆類やハトムギなどを取り入れるといいでしょう。
豆類 | あずき、そら豆、えんどう豆、インゲン豆など |
鯉 | 妊娠中のむくみを改善 |
どじょう | 余分な水分をとって元気をつける |
トウモロコシのひげ | 干したひげを煎じて服用 |
上手に取り入れて、季節の変わり目も快適に過ごしてください。
プロフィール
- 瀬尾港二
- アキュサリュート高輪院長
- 1960年宮崎生まれ。ICU理学科卒業後、北京中医学院(現北京中医薬大学)針灸推拿学部に入学。在学中から気功や武術の大家に師事。92年卒業。2010年にアキュサリュート高輪を開設。一般社団法人日本中医薬学会理事・事務局長、神奈川衛生学園専門学校非常勤講師、東京医科歯科大学非常勤講師。著書に「図解 よくわかる東洋医学―漢方薬・ツボ・食事、3つの養生法で治す」「家庭でできる漢方〈4〉不眠症―原因・タイプ別 眠れるからだに体質改善!」など。
2023.05.26 Fri