仕事中でもひとつのことに集中できず、あれこれ浮かぶ雑念が作業を妨げているという方は少なくないはずです。タスクが片付かないことで焦ってしまい、さらに集中力が散漫になってしまう悪循環を生み出すことも。今回は、そんな心の乱れを整えるため、瞑想による集中方法をご紹介していきます。解説は鍼灸院「アキュサリュート高輪」院長の瀬尾港二先生。イラストはお笑いコンビ蛙亭の中野さんです。
雑念に負けない!瞑想が苦手でも取り入れやすい方法
瀬尾 仕事や作業に集中したいのに、次々に考えことが浮かんでは心がざわついてしまう。こんな経験がおありの方は多いのではないでしょうか。タスクが片付かないことでさらなる焦りやストレスに繋がってしまう悪循環も。
解消法としては、まず浮かんでくる「雑念」をなくすことが大切です。気功における「調心」は頭をすっきりとさせ、上に上がってしまった気を下におろすことができます。
調心のひとつとして瞑想が効果的ですが、ただじっとしている瞑想が苦手という人もいらっしゃるはずです。そんな方におすすめしたいのは、指や腕の動作を使いながら視線で集中力を高めていく「指差し瞑想」と「ゾウさん瞑想」。手軽にどこでも行えるので、集中力が切れてしまったときにぜひ実践してみてください。
集中力を高めて心を落ち着ける、ふたつの簡単集中法
◾️視線を定め雑念を放出する「指差し瞑想」
1) 部屋の中にある時計やテレビ、植木鉢など、視線の的になるものを1点決めて指を差す。 自身の視線より下の位置にあるものを選ぶのがおすすめ。 |
2) 1の的に向かって体内の雑念や悪いエネルギーを放出するイメージで、ゆっくりと大きく呼吸をする。 |
3) 1の的に向かって3回呼吸をしたら、指差す的を別のものに変え、同様に呼吸を行なう。 これを3回程度繰り返す。 |
◾️腕を揺らすだけでOKの「ゾウさん瞑想」
1) 片腕をゾウの鼻のように左右に大きく振り、指先をぼんやりと見つめる。 |
2) 無意識の動きにならないよう、腕を振りながら数を数える。 10まで数えたら、また1に戻る。このとき呼吸は意識しなくてOK。 腕が疲れたら逆の腕で行なう。 |
おまけ 集中するためのふたつのポイントとは?
瀬尾 コツとして、目の前の動作に集中し、雑念が浮かばないようにすること。1.「ある程度無心でできる」なおかつ、2.「集中していないと失敗してしまう」ことを実践するのが大きなポイントです。瞑想のほかには、写経、編み物、塗り絵、ピアノ、みじん切りなどを行なうのもおすすめ。
これらのようになにかひとつのことに集中し、意識を守ることを「意守(いしゅ)」と呼びますが、意守は軽過ぎず、重過ぎない中庸の集中がポイントなのです。
■お知らせ
連載「瀬尾先生に学ぶ!クリエイティブ力を高める、気功レッスン」は、今回がラスト。眼精疲労、肩こりなど、デスクワーカーのためのお悩み解決をテーマに、2023年10月にパワーアップして戻ってきます。新しい連載をお楽しみに!
プロフィール
- 瀬尾港二
- アキュサリュート高輪院長
- 1960年宮崎生まれ。ICU理学科卒業後、北京中医学院(現北京中医薬大学)針灸推拿学部に入学。在学中から気功や武術の大家に師事。92年卒業。2010年にアキュサリュート高輪を開設。一般社団法人日本中医薬学会理事・事務局長、神奈川衛生学園専門学校非常勤講師、東京医科歯科大学非常勤講師。著書に「図解 よくわかる東洋医学―漢方薬・ツボ・食事、3つの養生法で治す」「家庭でできる漢方〈4〉不眠症―原因・タイプ別 眠れるからだに体質改善!」など。
2023.08.25 Fri