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​WordPressがコーポレートサイトに導入される理由 - 新世代Web制作テクニック総特集

2024.4.24 WED

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WordPress 03
WordPressがコーポレートサイトに導入される理由

市場には多くのCMSが存在するが、近年はWordPressの導入が目立って増えている。企業がWordPressを選ぶ理由、導入するメリットについて改めて考えてみよう。

解説/星野邦敏(株式会社コミュニティコム)



世界的なシェアが高く事例が多い

2012年6月の調査結果によると、世界のトップ100万サイト中、約16.6%のWebサイトでWordPressが使われている【01】。また、CMSを使って構築しているWebサイトのうち、過半数以上の54.2%はWordPressで構築されている。世界には小さいCMSも含めれば100種類以上のCMSがあるだろう。そういった中、たった1つのCMSが市場の過半数以上のシェアを占めている事実は注目に値する。

このようにシェアが高くなると、Webサイトの導入事例が増え、選定の際の比較にも挙がりやすく、提案もしやすくなる。WordPressは英語圏が開発を主導してはいるが、日本においても日本語翻訳チームがあり、日本語化や2バイト文字独特の問題の解決もされている。そのため、日本でもCMS選定の機会や提案の機会が増えている。

【01】世界トップ100万サイトでCMS内のWordPress利用率(2012年6月現在)。なお数値は、毎月のCMSシェアの統計を取っている「Historical trends in the usage of content management systems, June 2012」を参照している。
【01】世界トップ100万サイトでCMS内のWordPress利用率(2012年6月現在)。
なお数値は、毎月のCMSシェアの統計を取っている「Historical trends in the usage of content management systems, June 2012」(http://w3techs.com/technologies/history_overview/content_management/all)を参照している。



バージョンアップが早く機能が成長している

世界的なシェアが高く利用者が多いこととも関係するが、開発スピードの早さもWordPressの特徴だ【02】。

「WordPress」を「ブログを作るシステム」とイメージする人も多いだろうが、近年では企業のコーポレートサイトとして使われるようなCMSとしての機能も、バージョンアップのたびに充実してきている。また、WordPressにおいては、管理画面からクリックして進んでいくだけで、簡単にバージョンアップができるのも利点の一つだ。ほかのCMSの多くは、ファイルを入れ替えたり、データベースを操作したりする必要があるが、WordPressは管理画面から行えるので、技術に詳しくない人でも簡単にバージョンアップできる【03】。念のため、データのバックアップを取った上でのバージョンアップが推奨されてはいるが、このような操作感もCMSとしての成長を支えている。

CMSとは、コンテンツ・マネジメント・システム(Content Management System)の略で、Webサイトの文章や画像などのコンテンツを入力する管理画面を持ち、その管理画面からコンテンツを追加編集することで、Webサイトを運営する仕組みのことだ。CMSは管理画面から入力したコンテンツをサイトとして表示させるので、データベースを持ち、そのデータをプログラムで出力表示する仕組みが一般的である。

ブログについても、管理画面を持ちつつWebサイトに表示される仕組みという点でCMSと言えるが、WordPressはコアファイルをシンプルに保ち、サイトデザインは「テーマ」で、機能は「プラグイン」で、と拡張性を持たせることで、幅広いWebサイト構築に対応できる柔軟性を備えている。


【02】「WordPress | 日本語 » リリース」(http://ja.wordpress.org/releases/)から過去のバージョンのリリース日付とファイルを確認することができる。3〜4ヶ月に一度はコアファイルがバージョンアップしていることがわかるだろう。
【02】「WordPress | 日本語 » リリース」(http://ja.wordpress.org/releases/)から過去のバージョンのリリース日付とファイルを確認することができる。3〜4ヶ月に一度はコアファイルがバージョンアップしていることがわかるだろう。

【03】新しいバージョンがあった場合には更新を通知してくれる。「いますぐ更新」をクリックすることで自動更新を掛けられる。
【03】新しいバージョンがあった場合には更新を通知してくれる。「いますぐ更新」をクリックすることで自動更新を掛けられる。


複数人が役割を分担して管理・更新が可能

WordPressでは、Web制作者と企業のWebサイト更新者の分業が可能となる。そのため、制作者はWeb制作に、サイト更新者はコンテンツ(文章や画像など)の更新に集中できる。

また、複数人でコンテンツの更新が可能で、かつ、それぞれの更新者の権限を分けることができる【04】。

企業のWeb担当者の中にも、権限の強さによって、コンテンツ入力者と、その上司のサイト公開承認者といった形で、ワークフローの構築が必要なケースもあるだろう。WordPressは標準で管理者権限・編集者権限・投稿者権限・寄稿者権限・購読者権限の5段階のユーザー権限に分かれている。

たとえば、記事を入力する担当者を寄稿者権限、その記事を承認・公開・編集する担当者を編集者権限、Webサイト全体のデザインや機能を管理する担当者を管理者権限とする、といったかたちで企業内の運営を分担することができる。さらに細かい権限の設定も、プラグインによって実装可能だ。

【04】WordPressの管理画面[ユーザー]→[新規追加]からユーザーを何人でも増やすことができる。「権限グループ」から権限を選ぶ形だ。
【04】WordPressの管理画面[ユーザー]→[新規追加]からユーザーを何人でも増やすことができる。「権限グループ」から権限を選ぶ形だ。


汎用的な技術で構成されている

WordPressは、裏側の管理画面や表側のWebサイト表示部分はPHPというプログラムで作られており、管理画面に入力した文章や画像などのコンテンツはMySQLというデータベースに格納される。

PHPとMySQLは、いずれも汎用的なので、プログラムやデータベースに触ったことのある人であれば、比較的構築しやすいだろう。開発者が触りやすい言語でできているオープンソースという点も、普及している理由の一つだ。


導入にライセンス費用がかからない

WordPressは、GPLライセンスでインターネット上に公開されて配布されているオープンソースのプログラムだ【05】。したがって、個人利用はもちろん、商用利用においても、ライセンス費用が掛からない。

海外では、アメリカのホワイトハウスのWebサイト(http://www.whitehouse.gov/)のように、オープンソースでのWebサイト構築が一般的である。前述のように、日本においても上場企業をはじめ、大手企業でのオープンソースCMSの導入も増えてきている。これは、そのオープンソースの開発に近い人間が制作会社の中にいたり、特定のオープンソース専門の業者としてサポートまで行っている企業が、継続的に保守をしはじめていることも影響しているだろう。また、オープンソースは商用CMSに比べて、開発元の会社が倒産したら開発がストップする、という性質のものではない。開発の継続性という点でも安心できるだろう。

【05】WordPress | 日本語 テーマも GPL ライセンス
【05】WordPress | 日本語 テーマも GPL ライセンス
http://ja.wordpress.org/2009/07/03/themes-are-gpl-too/


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【本記事について】
2012年7月28日発売のweb creators特別号「新世代Web制作テクニック総特集」から、毎週記事をピックアップしてご紹介! スマートフォンサイト特集ではデザインのルールとコーディングのポイント、ソーシャルメディア特集では従来のWebサイトとの違いと有効な活用方法、WordPress特集ではサイト構築に必要な機能と役立つプラグインなど、基本的な知識と必須テクニックを網羅した内容になっています。

※本記事はweb creators特別号『新世代Web制作テクニック総特集』からの転載です。この記事は誌面でも読むことができます。

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