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作業が捗る!クリエイティブワークが楽になる作業効率化「Tips」

2023.11.24 Fri

魅力的な新技術&ツールが登場中!次世代QRコードと進化するQRコード生成ツールの世界

文・画像:塚本建未

本連載でおすすめのQRコード作成ツールを紹介してから数ヶ月が経ちましたが、その後、生成AIの興隆により新しいQRコード作成ツールがいくつか登場し話題となっていました。また、前回の記事デザイナー必見!無料で利用できるおすすめのQRコード作成ツール10選」では紹介しきれなかった新しいQRコードについても様々なものがあることを知り、どこかでもう一度QRコードの進歩を整理して紹介できたらと思っていました。

そこで本記事では、前半部分でデンソーウェーブが開発する次世代QRコードについて解説し、後半部分では生成AIなどと組み合わされた新しいQRコード作成ツールや特殊なQRコードが作成できるツールを紹介します。

QRコードの歴史を振り返る

QRコードは、自動車部品メーカーである株式会社デンソー(現・株式会社デンソーウェーブ)が1994 年に開発した技術です。デンソーはトヨタ自動車工業の開発部門だった「電装部」が1949年に分離独立した会社で、現在もトヨタグループに属しています。もともとQRコードは、必要な量だけを生産するという「トヨタ生産方式(TPS)」の効率化の一環として生まれた技術でした。開発はデンソーの社員であった原昌宏氏という技術者を中心にプロジェクトが遂行されています。

バーコードよりも多くの情報量を格納できる全く新しい二次元コードとして開発されたQRコードは、小型で高速読み取りが可能、なおかつ汚れにも強い二次元コードであるため、工場だけでなく様々なシーンで利用されるようになりました。近年は、電子決済や飛行機の搭乗手続き、ネットバンクの認証などにも用いられています。

QRコードが普及したのは、デンソーウェーブがQRコードの技術を自社で独占せず、特許権を行使しないというスタンスとったことが大きな要因です。そのため、ライセンスフリーの技術として日本だけでなく世界中で利用されるようになりました。

特に、紙幣の偽造防止技術が発展途上で現金の信用度が比較的低い中国では、人口の98%以上がQRコード決済を利用していると言われています。また、QRコードの開発チームは2014年に、欧州特許庁が付与する欧州発明家賞を日本で初めて受賞しており、世界標準となった代表的な日本のIT技術の一つです。 
参照記事:QRコード開発ストーリー

デンソーウェーブが開発する次世代QRコード

デンソーウェーブは、QRコードを発展させた規格を複数開発しています。工場のみで利用されていて、一般の流通現場では見かけないQRコードもありますが、デザイナーであれば BtoCの商品だけでなくBtoBのプロダクトも扱うこともあると思います。すでに広く普及している技術も含めて、QRコードから派生した二次元コードの種類を以下に紹介しますので、それぞれの特徴を覚えておきましょう。

覚えておきたいQRコードの種類 
QRコードは開発されてからもアップデートされ、新たな派生規格のORコードが開発されています。以下はQRコード開発から2000年代に開発された主なQRコードの種類です。 

※開発時期は公式サイトでの発表やプレスリリースなどでたどれる日付を筆者が確認したもので、あくまでも目安の情報として提示しています。正確性を保証するものではないことを予めご了承ください。

QRコード モデル1/モデル2

QRコード(モデル2)のサンプル 画像引用元:Wikipedia

QRコードにはモデル1とモデル2が存在します。モデル1は最初に作られたQRコードです。最大バージョンは14(73セル✕73セル)で数字1167文字まで格納することができました。モデル1を改良したのがモデル2で、現在一般的にQRコードと呼ばれているものは、このモデル2になります。

QRコードを構成するパターン QRコード画像部分の引用元:Wikipedia

上記の図は、QRコードを構成する主な要素になります。モデル1とモデル2の違いをイメージしやすいように、この要素となるパターンを確認しておきましょう。 

ファインダーパターンとは「切り出しシンボル」とも呼ばれ、QRコードの「位置」「サイズ」「傾き」などを確認するためのパターンです。タイミングパターンとは、ORコード全体の「歪み」やセルの間隔などに「誤差」が生じている場合に、各セルの中央座標を補正するためのパターンです。アライメントパターンは、シンボルの歪みを補正するための「角度」を特定するパターンです。このパターンは、モデル2から採用されました。クワイエットゾーンは、ORコードを読み込むのに必要な「余白」部分です。

QRコード

開発時期:1994年 
作成方法:デンソーウェーブ公式アプリ「クルクルManager」の他、サードパーティーのQRコード作成ツールが多数存在する。

マイクロQRコード

マイクロQRコードのサンプル 画像引用元:Wikipedia

マイクロQRコードは、QRコードの一種で、従来のQRコードよりも小さなサイズで印刷できる二次元コードです。1997年にデンソーウェーブによって開発され、2004年にJIS X0510に標準化されました。 

従来のQRコードは、3つの角にファインダーパターンを配置しており、それによってある程度の大きさを必要としていました。しかし、マイクロQRコードでは、ファインダーパターンを1つだけにすることで、最小で11×11セルのサイズで印刷することができるようになったのが大きな特徴です。

マイクロQRコード

開発時期:1997年 
作成方法:Pythonの「qrcodeライブラリ」を用いて作成可能。無料でマイクロQRコードを作成できるツールは、調査した限りでは見当たらない。

iQRコード

iQRコードのサンプル 画像引用元:Wikipedia

iQRコードは、内容は従来のQRコードと変わりませんが、形を横方向に伸縮させて長方形にできるようにして、格納できる情報量を増やしたQRコードの規格です。iQRコードは、従来のQRコードより読み取り部分を小さくする(約60%)ことが可能です。また、最小セル構成も従来のQRコードよりサイズを小さくできます。情報量は最大で約40,000文字まで記録できるようになっています。また、誤り訂正レベルに新たにレベルS が追加され、最大50%まで復元が可能になっています。

iQRコード

開発時期:2008年 
作成方法:Pythonの「qrcodeライブラリ」を用いて作成可能。無料でiQRコードを作成できるツールは、調査した限りでは見当たらない。

QRコードの基本情報比較表

 QRコードマイクロQRコードiQRコード
コードの大きさ最大 177セル×177セル 
最小 21セル×21セル 
最大 17セル×17セル 
最小 11セル×11セル 
最大 422セル×422セル 
最小 9セル×9セル
情報量(最大)数字 7,089文字 
英数字 4,296文字 
バイナリ 2,953バイト 
漢字 1,817文字
数字 35文字 
英数字 21文字 
バイナリ 15バイト 
漢字 9文字
最大バージョンで約40000文字
エラー訂正 (データの復元可能率)レベルL(約7%) 
レベルM(約15%) 
レベルQ(約25%) 
レベルH(約30%)
レベルL(約7%) 
レベルM(約15%) 
レベルQ(約25%)
レベルL(約7%) 
レベルM(約15%) 
レベルQ(約25%) 
レベルH(約30%) 
レベルS(約50%)
特徴広く普及し無料で 
生成できるツール 
が数多くある
小型化しており 
小さなサイズの 
製品にも利用可能
格納できる情報量 
と誤り訂正機能が 
強化
備考

覚えておきたい次世代QRコード 
以下が、2010年代〜現在までに開発された主な次世代QRコードです。 

フレームQRコード

フレームQRコードのサンプル 画像引用元:デンソーウェーブ

フレームQRコードは、コード内に自由に使えるキャンパス領域を持ったQRコードです。コードの中心部に図形・文字などを自由に配置できるキャンパス領域を持っているため、ロゴやイラスト、写真といった画像データを配置することができます。 

デザイナー必見!無料で利用できるおすすめのQRコード作成ツール10選」で紹介したイラストや画像を配置できるQRコードの多くは、フレームQRコードではありません。デンソーウェーブ側としては、フレームQRコードを普及させたかったようですが、通常のQRコードのエラー訂正機能を応用してイラストや画像を組み込むQRコード生成方法が広まってしまったというのが現状のようです。 

当初はJIS規格・ISO規格で制定された規格から外れたQRコードは、推奨せず場合によっては特許権も行使することまで示唆していたデンソーウェーブですが、現在は特許権存続期間が満了したために非推奨という告知のみをしている状態です。安定的な読み取りを重視したイラスト・画像入りのQRコードを利用したい場合は、公式のフレームQRコードを選択することをおすすめします。

フレームQRコード

開発時期:2014年 
作成方法:調査した限りでは個人で作成できるようなツールは見当たらない。デンソーウェーブに問い合わせの必要あり。 
特許はバンダイナムコエンターテイメント、商標をデンソーウェーブが所有。

SQRC®(スクウェアQRコード)

SQRC®のコード情報公開・非公開設定 画像引用元:デンソーウェーブ

1つのコードに「公開データ」と「非公開データ」を持つことができる次世代QRコードです。従来のQRコードは、どんな読み取り機器でもスキャンすれば誰でも同じデータを取得できてしまうため、個人情報や機密情報を格納するには不向きでした。SQRCは、暗号キーにより、コード情報に公開・非公開の設定を追加することができ、読み取り機器の種類によって読み取れるデータ内容に制限をかけることができます。これにより、個人情報や機密情報の格納にも安心して利用できるセキュアなQRコードを実現しています。

---顔認証SQRC 
SQRCに関連した技術として、デンソーウェーブは顔認証SQRCというQRコードも開発しています。これは、顔の特徴点の情報をQRコード化、安全かつセキュアな認証を実現する技術です。すでに、機密情報を扱う企業に導入されています。

SQRC®

開発時期:2018年 
作成方法:デンソーウェーブの公式サイトからコード生成エンジン「SQRCmaker」をダウンロードすることで作成可能。ただし、Microsoft VisualBasic®などの開発言語の知識が必要となる。

rMQRコード

rMQRコードのサンプル 画像引用元:Wikipedia

rMQRコード(アール・エム・キューアールコード:Rectangular Micro QR Code)は、長方形型の次世代QRコードです。狭いスペースに印字しやすい長方形でありながら、読み取りやすく、多くの情報を格納できるQRコードで、数字で361文字、英数字で219文字、漢字で92文字までの大容量のデータを格納できます。2022年にリリースされたばかりの新しい技術です。 
参照記事:デンソーウェーブ、細長く狭いスペースにも印字できる 長方形型の新しいQRコード「rMQRコード」を開発

rMQRコード

開発時期:2022年 
作成方法:Pythonの「qrcodeライブラリ」を用いて作成可能。無料でマイクロQRコードを作成できるツールは、調査した限りでは見当たらない。以下のURLからrMQRコードが作成できるジェネレータのライブラリを入手可能。
https://github.com/OUDON/rmqrcode-python

次世代QRコードの基本情報比較表

 フレームQRコードSQRC®rMQRコード
コードの大きさ最大 17セル×139セル 
最小(縦が最小の場合) 
7セル×43セル  
最小(横が最小の場合) 
11セル×27セル 
情報量(最大)数字 361文字 
英数字 219文字 
バイナリ 150バイト 
漢字 92文字
エラー訂正 (データの復元可能率)レベルL(約7%) 
レベルM(約15%) 
レベルQ(約25%) 
レベルH(約30%)
レベルL(約7%) 
レベルM(約15%)  
レベルQ(約25%) 
レベルH(約30%)
レベルM(約15%)  
レベルH(約30%)
特徴画像などを 
配置できる
1つのコードに 
「公開データ」と 
「非公開データ」 
を持つことができる
長方形型の 
次世代QRコード
備考※公式サイトに 
記載なし。 
基本は通常の 
QRコードと同じ 
と思われる。 
画像部分に 
よってサイズ・ 
情報量は小さく 
なる可能性あり
※公式サイトに 
記載なし。 
基本は通常の 
QRコードと同じ 
と思われる。

この他にも赤外線を当てることでよみ読み取れる透明QRコードや、デンソーウェーブが東京都交通局と共同開発しホームドア開閉制御システムに採用された鉄道専用のQRコード「tQR®」など、派生規格の次世代QRコードがいくつか開発されています。また、デンソーウェーブが新規格の開発も進めているという報道の他にも、NTTデータが次世代の二次元コードの開発を進めているといったニュースもあり、二次元コードの可能性が広がっています。 
参照記事:地下鉄初!デンソーウェーブと東京都交通局が開発した新型QRコードを用いたホームドア開閉制御システムが運用開始 
参照記事:NTTデータ、次世代2次元コード技術を活用した商品マッピングサービスの実証実験を開始

次世代QRコードを導入するメリット

ここで一旦、これまでに紹介したQRコードの派生規格である次世代QRコードを導入するメリットを考えておきましょう。 

1.読み取りエラー率の低減 
次世代QRコードは、読み取りエラー率を低減する技術を採用しているため、従来のQRコードよりもさらに汚れや破損に強いというメリットがあります。

2.サイズの縮小 
従来のQRコードは、一定のサイズが必要です。次世代QRコードは、サイズを縮小する技術を採用しているため、小さなスペースに設置できるというメリットがあります。

3.デザイン性の向上 
従来のQRコードは、基本的には白黒のパターンのみで構成することが推奨されています。次世代QRコードは、カラーやデザインを自由に追加できるため、デザイン性を高めることができるというメリットがあります。

4.セキュリティの強化 
次世代QRコードは、セキュリティが強化されたものがあります。 

5.新たな活用方法の創出 
次世代QRコードは、従来のQRコードにはない新たな機能を備えているため、新たな活用方法の創出にもつながります。

次世代QRコードを導入するデメリット

次世代QRコードを導入する際の注意点として、以下のデメリットが挙げられます。 

1.読み取り速度が遅くなる 
次世代QRコードは、従来のQRコードよりも複雑な構造をしているため、読み取り時間が長くなるというデメリットがあります。そのため、読み取り速度が重要な用途では、従来のQRコードの方が適している場合があります。 

2.十分に普及していない 
次世代QRコードは、まだ十分に普及していないため、読み取り機器が対応していない場合があります。そのため、導入する際には、読み取り機器の対応状況を確認しておくことが重要です。 

3.生成方法が難しい 
次世代QRコードは、従来のQRコードよりも複雑な構造をしているため、生成方法が難しい場合があります。そのため、プログラミングなど専門知識を有する技術者が専門のソフトやサービスを利用して生成する必要があります。

注目の次世代QRコードの紹介

デンソーウェーブが開発する次世代QRコードは、知っておきたい知識であるもののプログラマー以外のクリエイターには作成が難しいということがわかりました。ここからは、クリエイターも利用できるQRコードに関する新しい技術・ツールを見ていきましょう。

※ここで紹介するツールは商用利用に関する記載が明確に示されていないものが含まれます。ライセンス規約やサービス規約については変更される可能性もあります。利用規約は必ず自分の目でも確認しておきましょう。 商用利用可能なQRコード作成ツールを知りたい場合は、「デザイナー必見!無料で利用できるおすすめのQRコード作成ツール10選」を参照してください。

イラストと融合させたQRコードが作成できるツール 
QRコードの特許権存続期間が満了したことと生成AIの発達により、今までにはなかったイラストと融合させたQRコードを作成できる機能を搭載したツールがいくつか登場しています。以下に、代表的な2つのツールを紹介します。

QRBTF

QRBTF

少し前にSNSでも話題となっていたコードとイラストを融合させたQRコードを作成できるツールです。サイトの言語は中国語と一部英語が用いられていますが、ブラウザの自動翻訳で日本語に設定をすれば、比較的利用方法は簡単です。ログインは、Discordのアカウントを利用します。Discordのアカウント作成方法については、「最新のWeb版とアプリ版の違いも徹底解説!クリエイターのためのDiscord活用術」を参考にしてください。 

QRBTFにはAIイラストを融合したQRコードが作成できる「QRBTF.AI」とアップロードしたイラストを融合したQRコードが作成できる「QRBTF Classic」という2つのツールが提供されています。開発者はnhciao氏(Redditのユーザーネーム)であると言われています。nhciao氏は、「QRBTF.AI」とStable Diffusionという画像生成AIを使って、AIイラストと融合させたQRコードの作成事例を発表し話題となりました。

「QRBTF Classic」で作成したイラスト入りのQRコード

私も事例を作成しようと試みたところ「QRBTF.AI」はログインの際の認証がうまくいきませんでしたので、代わりに「QRBTF Classic」を使って上の画像のようなイラストを融合したQRコードを作成してみました。 

QRBTFを利用するには注意点を挙げておくと、著作権等の扱いについては自己責任での利用になるという点です。QRBTFで用いられている漢字の様式が簡体字という中国本土で用いられる字体(台湾は繁体字)ですので、開発者であるとされるnhciao氏は中国国籍の人物だと思われます。ご存じのように、中国は著作権などの法体系や倫理観については、まだ発展途上にある国です。大変興味深いQRコード生成ツールですが、利用規約等も未定となっているので、不安に感じる場合は利用は避けたほうが良いでしょう。 

こうした懸念点もあることから、企業案件での利用は難しいですが、一方で自分の名刺や小規模なイベントのポスター・フライヤー等で、イラストと融合したQRコードを利用すれば注目を集めることは間違いないでしょう。
参照記事:Redditor creates working anime QR codes using Stable Diffusion

QRBTF

URL:https://qrbtf.com/ 
ファイル形式:PNG/JPEG/SVG 
デザインのカスタマイズ:有 
エラー訂正レベル変更機能:有 
商用利用に関する記載:無 
利用条件等:無料で利用可能
利用規約のページ:プライバシーポリシー利用規約(ともに未定の意味である「TBD.」となっているため利用する場合、アップロードする画像の選定などは慎重に)

QR Code AI Art Generator

QR Code AI Art Generator

QR Code AI Art GeneratorはAIアートと組み合わせたQRコードが作成できるツールです。Hugging Face, Inc.という機械学習アプリケーションを作成するためのツールを開発しているアメリカの企業が運営しています。AIアートは「Stable Diffusion 2.1」を用いて生成されます。言語は英語のみのサービスですが、単語レベルで英語を理解できれば、利用はそれほど難しくありません。自分で用意したイラストや画像でなく、AIアートとQRコードを組み合わせたいということであれば、こちらのツールの方がQRBTFよりも安心して利用できるでしょう。

QR Code AI Art Generatorで作成したAIイラスト入りのQRコード

上の画像はQR Code AI Art Generatorを使って作成したAIイラスト入りのQRコードです。「QR Code Image(Optional)」という項目に、夜景のビルディング群の写真をアップロードし「Prompt」という項目に、「Urban Design City」と入力して実行(「Run」ボタンをクリック)して作成されたのが上のAIイラスト入りのQRコードです。アップロードする画像や、プロンプトによっては上手くAIイラストが生成できませんでしたが、こちらも興味深いQRコードが作成できました。

QR Code AI Art Generator

URL:https://huggingface.co/spaces/huggingface-projects/QR-code-AI-art-generator 
ファイル形式:PNG 
エラー訂正レベル変更機能:パラメータを調整する機能はあるがエラー訂正に関するものかは不明 
利用条件等:無料で利用可能
商用利用に関する記載:特になし。コミュニティで質問することは可能。
利用規約のページ:Hugging Faceの利用規約ページ

こうしたイラストを融合させたQRコード作成ツールは他にも、いくつか存在します。ただし、前述のようにサードパーティーが提供しているQRコード作成ツールで生成したイラストや画像を組み込んだQRコードの多くは、公式で推奨されているフレームQRコードではありません。そのため、コードの読み取りが不安定になる可能性があるということは覚えておきましょう。

音声QRコード・動画QRコード 
QRコードは、音声や動画を読み込ませることもできます。この機能については以前からも存在していましたが、クリエイターの方にとっては興味深い機能だと思いますので、合わせて紹介します。特に音声QRコードは、視覚障害のある方々のアクセシビリティを強化することもできる技術なので、ユニバーサルデザインやエシカルデザインといった最先端のデザイントレンドにも適った技術です。 

ME-QR

ME-QR

ME-QRでは、オーディオファイルをアップロードすることで簡単に音声QRコードを作成できます。音声QRコードを作成できるツールは他にもありますが、このツールは無料で作成できる点がおすすめです。音声QRコードを作成する場合は、SoundCloudやYouTubeといった外部ツールのサーバーにアップした上で、そのURLをリンクするという方法が一般的ですが、ME-QRの場合はMEQRのサーバーにアップされるので、より簡単です(無料版はファイルストレージ100MBまで利用可能)。動画QRコードも作成できます。また、日本語にも対応している点も便利です。

MEQRで作成した音声QRコード

上の画像はME-QRで作成した音声QRコードです。読み込むと私の声で入力した「音声QRコード」というボイスのデータが読み込まれますので試してみてください。

ME-QR

URL:https://me-qr.com/ja/qr-code-generator/audio 
ファイル形式:PNG/SVG 
デザインのカスタマイズ:有 
エラー訂正レベル変更機能:有 
利用条件等:基本機能のほとんどを無料で利用可能(ただし制限あり)。より機能やサポートが充実した有料版も提供  
商用利用に関する記載:明確な記載はないが利用規約に「The codes will not be used to promote business or present commercial activities of illegal nature.」という文言があり、(無料版に関しては)商用利用は不可の可能性が高い。
利用規約のページ:ME-QR利用規約

【補足情報】電子マネー決済対応QRコード 
中小企業や小規模な店舗などでも、電子マネー決済が普及してきています。QRコードを使った電子マネー決済についても、PayPayのQRコード決済に対応している「Square」、PayPalやStripeといった決済方法に対応している「Pageloot」など、中小企業や小規模な店舗向けのサービスが登場しています。クリエイターが電子マネー決済のQRコード作成に関わることは少ないと思いますが、補足情報として知っておくと良いかもしれません。

まとめ

今回は次世代QRコードと進化するQRコード生成ツールに焦点を当て、今後の二次元コードにおける革新的な可能性について探ってみました。まだ、クリエイターが実際に利用する段階にまでは至ってない技術も含まれていましたが、流通の現場の物品管理や実店舗での決済といった人間の行動が介在するリアルな世界で、QRコードとそこから派生した技術はますます重要な役割を果たしていくでしょう。本記事がQRコードが切り開く未来のデジタル技術に対しての理解の一助となれば幸いです。

著者プロフィール

塚本 建未
ライター・編集者・イラストレーター
フリーランスのライター・編集者・イラストレーター。高校はデザイン科を卒業し、大学は、文学部とスポーツ科学部の2つの学部を卒業。フィットネス・トレーニング関連の専門誌で編集者・ライターとしてキャリアを積む。メインの活動の場をWebメディアに移行してからは、ITツール紹介やWebマーケティング分野などを得意領域として活動を続けている。
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