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★ついに招待コードなしで利用可能に★
Twitter創業者のジャック・ドーシーが発案した分散型SNS「Bluesky」を使ってみよう!
本連載では、昨年末に「2023年SNS総決算:Twitter騒動、Threadsの登場、今後気になるFediverseという新概念まで」という記事で、X(旧Twitter)の代替ツールに関する覇権争いは「Threads」が「Fediverse」という分散型SNSの集合体の盟主になることによって、一つの方向へ収斂されていくのではないかという予見と振り返りを総括しました。
公式な登録者数は発表されていませんが、少なく見積もっても1億2000万人程度がユーザー登録していると予想されるThreadsがある程度安定した軌道に乗ったことによって、一連の覇権争いは終息するというのが私の見立てだった訳ですが、一つだけ、この状況を切り崩す可能性のある新SNSの存在がありました。
それが本稿で紹介するBlueskyです。当初からTwitter創業者の一人であるジャック・ドーシー氏が関わっているSNSということで注目を集めていたBlueskyですが、招待制というシステムを採用していたためユーザー数は限定されていました。しかし、2024年2月6日にこの招待制が廃止になったことで、誰でもアカウントを作成できるようになり短期間でユーザー数を伸ばしています。そこで、今回は注目を集めているBlueskyの基本的な使い方や、Blueskyのメリット・デメリット、今後の展望などについていち早く解説します。
Blueskyとは
※Blueskyプロジェクトに関する時系列はニュース記事やプレスリリースなどでたどれる日付を筆者が確認したもので、あくまでも目安の情報として提示しています。正確性を保証するものではないことを予めご了承ください。
●Blueskyとは
Blueskyは、Twitter共同創業者のジャック・ドーシー氏がCEOであったTwitter社のプロジェクトのひとつとして構想された分散型のソーシャル・ネットワークで、アメリカのデラウェア州にあるBluesky PBLLCという公益LLC(Public Benefit Limited Liability Company:公益合同会社という米国公益法人の一種)が運営しています。ドーシー氏は2019年12月に、Twitter上で「Bluesky構想」を発表します。2020年2月には、Twitter社内にBlueskyの開発組織が設立、2021年8月にTwitter社から分離・独立してPBLLCとして法人化しました。2021年10月にはテスト版アプリが公開、2022年2月には、BlueskyのAPIが公開されています。イーロン・マスク氏によるTwitter買収が起きたのは2022年10月27日でしたが、このとき既にBlueskyはTwitterと別法人として運営されていたため、直接の影響はありませんでした。
ドーシー氏はBluesky構想の発案者であり、メディアなどの解説ではジャック・ドーシー氏らが「構想した新SNS」と紹介されることが多いですが、ドーシー氏が直接、Blueskyの開発に携わっている訳ではないようです。そのためドーシー氏が「支援する新SNS」といった表現を用いるメディアもあります。また、BlueskyのCEOもドーシー氏ではありません。
初代CEOに指名されたのはBlueskyの開発責任者だったジェイ・グラバー氏という若手のソフトウェア・エンジニアです。ドーシー氏は取締役としてBlueskyの開発・運営をサポートしています。
●分散型SNSとは
BlueskyはTwitterに近い使用感を持っていますが、分散型SNSであるという点で大きく異なります。Blueskyへの理解を深めるために、今一度「分散型SNS」という概念をおさらいしておきましょう。分散型SNSとは、Web3.0の理念に基づき、ブロックチェーン技術を基盤とした分散型インターネットの概念に基づいて非中央集権的なシステムを実現しているSNSのことを指します。
様々なSNSが存在しますが、新しいSNSが登場する度にアカウントを作成していくのは、例えるなら新しい都市へ引越するようなものです。そして従来型の中央集権型SNSの場合、アカウントを削除すると、投稿データやフォロー・フォロワーといったデータも全て失ってしまうという問題がありました。分散型SNSの多くは、都市間を引越で移動するように、今までの投稿内容やフォロー・フォロワーなどの繋がりを所有し続けることができるという特徴があり、中央集権型SNSの課題点を克服するSNSとして注目されているのです。
代表的な分散型SNSとして「Mastodon(マストドン)」を思い浮かべる方もいるかもしれません。Mastodonの場合は、複数のサーバー(インスタンス)が存在し、ユーザーはそれぞれ参加するサーバーを選択でき、技術的な知識があれば独自のサーバーを立てることも可能です。このような特徴があるため分散型であることをイメージ・体感しやすいかと思います。
※関連記事:いま話題のマストドン、その特徴から使い方まで(前篇)
一方で、Blueskyは旧Twitterのような従来のSNSに近い使いやすさを目指しつつ、分散型SNSとしての利点を活かしているのが特徴です。他の分散型SNSと比べて、分散型特有の機能や設定が少ないため、データ所有権など分散型らしい特徴がわかりにくいかもしれません。しかし「表現の自由」や「検閲への抵抗」といった側面においても、従来の中央集権型SNSとは大きく異なる利点を持っており、分散型SNSならではの機能が数多く搭載されています。
Blueskyは、AT Protocol(Authenticated Transfer Protocol)と呼ばれる、分散型SNSを実現するためのオープンソースプロトコルが採用されています。AT ProtocolはBlueskyを開発するために作られたブロックチェーン技術に基づいたプロトコルで、基になった初期バージョンはADX(Authenticated Data Experiment)という名称でした。このプロトコルが使われていることが分散型SNSと言われる由縁なのですが、ユーザーはこの点を特に意識する必要はないかもしれません。
より詳しくBlueskyのコンセプトや思想を知りたい場合は、Bluesky社の公式サイトにブログ等が掲載されていますのでチェックしてみると良いでしょう。
※(更新情報):Blueskyは2024年2月22日に投稿された公式ブログにて、Mastodonと同様に独自のサーバーを公開することも可能なフェデレーション機能を搭載予定であると告知しています。
2024.02.16 Fri2024.03.14 Thu