フリーランサーと企業との間でトラブルが起きた場合、これまでは泣き寝入りするしかないというケースが数多くありましたが、2024年11月から施行されるフリーランス保護新法によって、法的な根拠も整いつつあります。そこで、今回は前回の記事『すぐに役立つ! 11月の施行前にクリエイターが知っておきたいフリーランス保護新法の基本知識』でもお伝えしたように、私の経験談も踏まえながら、最新の法律サービスについて解説します。
フリーランスにおすすめの無料法律相談サービス
基本的には、法的なトラブルに発展するような事態は避けたいものです。しかし、フリーランス歴の長い方は、何度か法的なトラブルを経験したことがあるのではないでしょうか。法的なトラブルが起きた際に、相談する人が身近にいないというのはフリーランスにとってのウィークポイントです。ここではまず、フリーランスにおすすめの無料法律相談サービスについて解説します。
▶法テラス
法テラスは、経済的に困難な人々に向けて法律に関する相談や支援を行う公的なサービスです。各都道府県に事務所が設置されていますので、利用しやすい相談先を選択できます。また、利用者側で人選はできませんが、相談内容に合った専門領域の弁護士に相談できるようになっています。ただし、利用には収入や資産が一定基準以下である必要があり、窓口で簡単な審査があります。
注意が必要なのは、無料の法律相談で法テラスは第一候補となるサービスですが、相談内容によっては数週間先まで予約で埋まっているケースが非常に多いという点です。居住地に近い事務所ではなく都市部の大きな事務所で予約をすることも可能なので、急ぎの場合はいくつかの事務所の予約状況を確認してみましょう。また、親身になってくれる弁護士が多いと思いますが、法テラスの活動は、弁護士にとって「プロボノ」という社会貢献活動の一環として提供しているサービスに近く、弁護士費用を格安で設定しているため事件への採算が取れないケースも多く、相談には乗ってもらえるけれど、これでトラブルがスムーズに解決するとは限らないという点は理解しておきましょう。
▶フリーランストラブル110番
フリーランストラブル110番は、厚生労働省関連の団体で、国もフリーランス向けのトラブル相談窓口として利用をすすめています。弁護士に直接、電話やメールで無料相談できる点が最大のメリットです。フリーランスに特化しているので、担当の弁護士もクリエイティブ職・IT関連職などの仕事内容などにも詳しく、自身の仕事内容などの説明もスムーズに進む可能性が高いです。
ただし、フリーランスに関するトラブルが急増し、予約の取りにくい状況が続いています。また弁護士は相談者側で選択することはできません。複数回利用はできますが、電話での相談時間にも制限があります。加えて、窓口はオペレーターによる事務的な対応になるので、追い詰められた精神状態だと対応が冷たく感じる方もいるかもしれません。
▶下請け駆け込み寺
下請け駆け込み寺は、中小企業庁関連の団体ですが、個人事業主やフリーランスの相談にも対応してくれるサービスです。取引上の問題解決に向けて専門の相談員や弁護士のアドバイスを受けることができます。私は法テラスもフリーランス110番もすぐに予約が取れない状況で、こちらの団体に相談してみました。窓口はオペレーターではなく、相談員の方が対応してくれます。
私の相談は早急に内容証明を送付したいという内容だったのですが、「市役所等の法律相談も調べてみてください」と他のサービスへの案内するといった具体策を教えてくれたり、相手方企業の動向から考えられる対応についても丁寧に回答してくれました。ここで対応してくれた相談員の方は法律の専門家ではないとのことでしたが、精神的にかなり救われた気がします。上記2サービスでは対応が間に合わない場合など、駆け込みしてみると良いかもしれません。
ここで紹介した公的な法律サービスは、いずれも無料で利用可能ですが、結局のところ裁判など法的な手続きが発生する段階になると弁護士費用や裁判費用などの費用がかかることが一般的です。以前、私が経験した事案で(クライアントの破産による未払に関して)、いろいろなサービスで相談してみましたが、簡易裁判でも訴訟費用や弁護士費用で10万以上の費用が必要になるケースが多いと言われました。加えて、裁判に勝ったとしても費用面で赤字になる可能性が高いという助言ももらいました。
フリーランス保護新法によって少し良い方向へ進むと思いますが、実際のところ、こうした未払など経済的に苦しい状況では裁判に向けて訴訟を起こすといったことは非常に困難です。公的な無料法律相談は、基本的には裁判にならないための対処法や、和解に向けた斡旋、法律的な手続きといったサポートまでを無料で提供するサービスである点を認識しておきましょう。
ちなみに、どうしても裁判が必要といった場合は、住宅の賃貸契約などで交わす火災保険などに「弁護士費用特約」がついていないかを確認してみるのも一つの方法です。トラブル内容によってはこの特約を活用できるかもしれません。私はプライベートで損害賠償トラブルになった際に、この特約によって救われた経験があります。
2024.10.07 Mon