フリーランスのクリエイターにおすすめの団体
スポーツ選手と同様に、クリエイターもエージェント(代理人)を持つことが理想的です。しかし、そのような費用を準備できる人はごく限られています。そんな代理人的な役割を担ってくれるのが、フリーランス・個人事業主向けの団体で、加盟することで法的なサポートを得られる場合があります。年会費などの費用が発生しますが、社会保険や賠償補償などのサービスも提供している団体もあるので会員になるメリットも多いと考えられます。
▶フリーランス協会
フリーランス協会は、政府の審議会・検討会などに有識者として参加しているメンバーなどが中心となって運営されている団体で、法務や契約関係のサポートも充実しています。ただし、理事のメンバー構成を見ると、どちらかと言えばクリエイターよりも、ベンチャー経営者、プランナー、コンサルタント、大手広告代理店や大手出版社の出身者などが多いので、フリーランスという働き方から新しい事業を創出していきたい方々によって設立された団体といった印象を受けます。また、インボイスについては基本的には推進している団体です。これらはデメリットなのかというと、必ずしもそうではなく、適格請求書発行事業者や、行政関連や手堅い大手企業とのプロジェクト等の案件を獲得したいという場合などは、プラスに働くことも多くあるでしょう。
▶Wor-Q
Wor-Qは日本労働組合総連合会という、労働組合の全国中央組織が運営するフリーランス向けのサービスです。弁護士相談のサポートの他、賠償補償や所得補償などもカバーする共済サービスなども提供されています。サイトで提供されている情報は会員以外も見ることができますが、すべての機能を利用するためには連合ネットワーク会員に登録する必要があります。
労組は思想・信条的に合わないという方もいるかもしれませんが、人権派弁護士と呼ばれるような労働問題に強い弁護士は、一般的に左派系の方が多いです。法律的なトラブルが発生した際などは心強いサービスの一つですので、覚えておきましょう。
▶文芸美術国民健康保険組合に加盟している団体
文芸美術国民健康保険組合は文芸美術および著作活動に従事しているフリーランス向けの健康保険組合です。通称「文美国保」と呼ばれています。国民健康保険の支払いに悩むフリーランサーも多いと思いますが、そうした悩み相談の際に「文美国保に加入するといいよ」とアドバイスされることも多いのでご存じの方も多いでしょう。文芸美術国民健康保険組合自体は直接的な法律相談は提供していませんが、下記の表でも紹介しているように法的なサポートを提供する団体も多く加盟しています。
文美国保に加入するためには、文美国保の加盟団体の会員にもなる必要がありますが、同じような業種の団体でも法的なサポートが充実している場合と、交流などコミュニティ機能のみを提供する団体があるので、年会費なども考慮した上で法的なサポートを含む団体の会員になっておくと便利です。加盟団体については「加盟団体一覧」で確認できます。また、どれくらいの保険料になるかは、保険料シュミレーションというページで確認できるので、気になる方はチェックしてみましょう。
法的なサポートも提供する主な文芸美術国民健康保険組合加盟団体
| 団体名 | 説明 |
|---|---|
| 日本イラストレーション協会 | フリーランスで活動するイラストレーター、グラフィックやウェブデザイナーが加入できる協同組合。著作権や人格権、肖像権等の侵害などの対応をサポートするサービスも提供している。 |
| 日本漫画家協会 | 漫画家を支援する公益財団法人。著作権等管理事業などもサービスとして提供している。 |
| 日本アニメーター・演出協会 | アニメーター・演出家などアニメクリエイター全体を支援する団体。下請法ガイドライン講座など法的な講座なども提供している。 |
| 日本写真家協会 | フォトグラファー向けの支援団体。写真著作権と肖像権などもサポートしている。 |
| ジャパン デザイン プロデューサーズ ユニオン | デザイン事業所の経済的安定と社会的地位の向上を促進を支援する団体。弁護士、弁理士などによる勉強会なども開催している。 |
| 日本インダストリアルデザイン協会 | インダストリアルデザイナー向けの支援団体。契約や知財に関する情報提供・サポートなども提供する。 |
| ITフリーランス支援機構 | ITフリーランス業界の健全化を通じ、業界の永続的な繁栄を目的とした支援団体。労災防止活動や補償提供など法的な支援も提供している。 |
| 日本ネットクリエイター協会 | 株式会社ドワンゴの関係者が運営するネットで活動するクリエイター向けの協会。税務、国保、音楽原盤二次使用料徴収、各種著作権などのサポートなどを行っている。 |
▶商工会議所
商工会議所は、地域の商工業者の利益を代表し、地域経済の発展を促進することを目的とした経済団体で全国の515地域に存在します。法的なサポートも充実しており、フリーランス・個人事業主も加盟することができます。全く別の組織ですが青年会議所や保守系の政治団体と関係が深いと指摘されることもあり、こちらも思想・信条的に合わないと感じる方もいるかもしれません。しかし、デザイン事務所などのオフィスを構えていて、地域コミュニティのメンバーとして活動していきたいといった場合は、法的なサポート以外でも非常にメリットのある団体でしょう。
この他にも、クラウドソーシング、人材派遣といった実質的に使用者側の関連事業をやっている企業が運営しているサービスなど数多くの団体・サービスがあります。少しデリケートな部分まで解説したのは、これらの団体の会員になるかどうかについては、提供されるサービスと同じくらいに団体との相性も大事だからです。設立の経緯、団体の理念、役員構成などの背景までしっかりと吟味した上で、自分の目的や考え方に合った団体を選びましょう。
クリエイターに役立つその他の法的サービス・情報源
ネットの法律系サービスも無料法律相談サービスを提供していたり、予算にあった弁護士を検索する機能が搭載されているので、チェックしてみましょう。
法律相談を提供する主なネットサービス
また、最近はクリエイター向けの法律ハンドブックで、大変おすすめな書籍がいくつか発刊されれています。
クリエイター向けのおすすめ法律ハンドブック
『クリエイター六法』 著者:宇根駿人、田島佑規 / 出版社:翔泳社
『クリエイターのための権利の本』 著者:大串肇、北村崇、木村剛大、古賀海人、齋木弘樹、角田綾佳、染谷昌利 / 出版社:株式会社ボーンデジタル
このように、いろんな情報源を活用して法的なトラブルに備えたリスクマネジメントを行っておきましょう。
2024.10.07 Mon