• はてなブックマーク
  • RSS
  • Line

中身を見てしっかり選べる! オススメ参考書レビュー

2023.01.05 Thu

代々木アニメーション学院講師が選ぶオススメ「背景イラスト」の本12選【2023年版】

選本・レビュー:代々木アニメーション学院(中泉達也/橋本将)

アニメや漫画の世界観に大きな影響を与えるのが背景画。将来、絵を仕事にしたいなら「背景作画」は絶対に押さえておきたいポイントだ。しかし、何を描いたらいいのか、どうやって練習したら良いのかわからない人も多いのでは?

本記事では、普段からクリエイターの卵たちを指導している代々木アニメーション学院の講師陣に、背景が上手くなる専門書を紹介していただいた。実際に本の中身を覗きながら選べるので本気で学びたい人にオススメだ。

基礎知識を一から身につける 
「基礎から実践まで全網羅 背景の描き方」

『基礎から実践まで全網羅 背景の描き方』   

難易度★☆☆☆☆
ページ数256ページ 
価格2,420円(本体2,200円+10%税)
発売日2020年12月22日
著者高原 さと 著
出版社SBクリエイティブ

Amazonで見る

イラスト科講師 橋本 将先生オススメ 
背景の基礎を知りたいなら、間違いなくこの1冊!

この本の特徴は基礎編の解説が多いことだ。背景の描き方について解説するどの教本よりも初心者が大切にすべき事柄を丁寧にまとめているのではないかと思う。立体の考え方やパース、アングル、色使い、ライティング、構図といった基礎をしっかりと網羅しているので背景以外のところでも知識が活きてくるだろう。

立体の考え方を解説するページ

中盤以降の実践編からは草から木、空から雲、岩から地面というようにバラバラのパーツの描き方を覚えてから、最後にまとめて屋外の背景をつくる——という順序で説明がまとめられているためとても理解しやすい。さらにテーブルや椅子がどれくらいの高さなのかを人の身長と比較したスケールで説明するなど、屋内背景を描く上で重要なポイントを丁寧に解説している。

雲の描き方を解説するページ。画像が多く流れがわかりやすい

掲載されている作品の制作手順を説明するだけでなく、描くときに必要な知識を、まさにその場で解説してくれるので非常に読みやすく内容が自然に頭に入ってくる。背景を書き始めるなら、まずはこの本を読むことをオススメする。

背景の基本から応用まで徹底解説 
プロ絵師の技を完全マスター 魅せる背景 上達術

『プロ絵師の技を完全マスター 魅せる背景 上達術 決定版』     

難易度★★☆☆☆
ページ数208ページ 
価格2,420円(本体2,200円+10%税)
発売日2019年12月20日
著者サイドランチ 著、吉田誠治・吉川アキ・電鬼・ゼンジ イラスト
出版社インプレス

Amazonで見る

イラスト科講師 橋本 将先生オススメ 
「背景を描けるようになりたい人」への決定版

近景・中景・遠景や構図、パースといった背景の基本から始まるため、手を付けやすいのがこの本の特徴。その後、CLIP STUDIOの便利機能であるクリッピングや色調補正、マスク、レイヤーの合成モードについて丁寧に説明がされている。一つ一つの操作や工程、説明に細かな補足や画像が添付されており、教本を見ながら自分も操作して覚えていける非常に親切な作りだ。

画像付きで丁寧な解説がされている

中盤からは時間帯や世界観ごとの描き方をプロ絵師の手順に沿って解説する流れになっていく。作品数が多く、自然物、人工物問わず幅広いモチーフが収録されているため、ひととおりの描き方を覚えれば、かなり背景のバリエーションが増えるだろう。

また各工程で使う色のRGB値とレイヤー構成が載っているため、プロの技を真似しやすく、すぐに技術が身に付けられるのもポイントだ。まさに背景の上達を目指す人にとっての決定版と言える一冊だろう。

レイヤーの構成やRGB(色の割合)などが細かく記載されている

キャラクターだけじゃない! 本気の一枚絵を描きたい人に 
「「キャラの背景」描き方教室」

『「キャラの背景」描き方教室 CLIP STUDIO PAINTで描く! キャラの想いを物語る風景の技術』    

難易度★★★☆☆
ページ数208ページ 
価格2,420円(本体2,200円+10%税)
発売日2018年3月29日
著者よー清水 著、江原 康之・UGUME イラスト
出版社SBクリエイティブ

Amazonで見る

イラスト科講師 橋本 将先生オススメ 
キャラを引き立たせる背景が描けるようになる本

ブラシ素材や画像素材サイトの紹介があり実用的な一冊。屋内や屋外、時間帯などのシチュエーションごとに草木や雲、小物などの描き方や配置の仕方が紹介されている。

様々な花の描き方が載っている

パースの基本を解説しているページもあり、建造物の描き方や屋内の空間の作り方も知ることができる。

1〜3点透視図法の考え方が解説されている

背景メインの作品を描くというわけではなく、主役であるキャラを引き立たせるための方法が細かく記されており、一枚絵を書き始めるにはちょうどいい難易度と言えるだろう。

また収録されているイラストはCLIP STUDIOで制作されており、ソフト特有のブラシのカスタマイズやパース定規といった使い方が細かく解説されている。これからCLIP STUDIOを使い始める絵描きにとっても非常に親切な内容だ。

一枚絵には欠かせない「空気遠近法」や「ナチュラルハーモニー」といった色彩についての技法にも触れられているため、中級者にもオススメできる教本と言えるだろう。

絵をより魅力的にグレードアップさせる  
「○×でわかる風景作画(神技作画シリーズ)

『○×でわかる風景作画 神技作画シリーズ 単行本』       

難易度★★★★☆
ページ数136ページ 
価格2,200円(本体2,000円+10%税)
発売日2020年9月2日
著者さけハラス 著
出版社KADOKAWA 

Amazonで見る

イラスト科学科長 中泉達也先生オススメ 
絵を描く目的を持つ大切さが分かる1冊

さけハラス氏が得意とする写真加工技法「フォトバッシュ」を用いた作例をベースに、風景画をメインとしたデジタルイラスト制作のノウハウを学ぶことができる。パースや構図学の基本の解説に多くのページを割いているため、「イラストの構図が魅力的にならない」と悩んでいる人に向いている。

本書の根幹である「○×」形式の解説は、なんとなく絵を描き進めてしまい「ここはどうすれば良いのか?」と判断に迷う時に非常に良い判断材料になってくれる。何を目的に描くのかを考えることで絵の魅力が増すことに気づく実例が多く、その理由も明確なため、読み進める度に知識が増していく実感が湧くはずだ。

実際の作品を参考に良し悪しを見比べることができる構成になっている

デジタル特有のライティングやエフェクトを用いた効果も、レイヤーワークを含めて解説されているものが多く、すぐに試してみたい衝動に駆られる。使用ソフトはPhotoshopとCLIP STUDIO。一方にしかないフィルターや機能の紹介もされているため、自身のデジタル環境に合わせてチャレンジしてみると良いだろう。

ペイントソフトのレイヤーワークがわかるページが多く掲載されている

イラスト専門学校で講師として活躍している著者ならではの学生作品を添削したBefore&Afterコンテンツが掲載されているのも興味深い。

10点の作品添削実例を掲載。本書で学ぶテクニックを中心にブラッシュアップされている

本書で解説した技術を駆使することで、同じ画題でもここまで完成度が変わるということに感激しモチベーションが上がることだろう。

背景を完成させる喜びを知る   
「背景作画 ゼロから学ぶプロの技(神技作画シリーズ)」

背景作画 改訂版 ゼロから学ぶプロの技 神技作画シリーズ

難易度★★★★☆
ページ数160ページ 
価格2,200円(本体2,000円+10%税)
発売日2021年7月30日
著者mocha 著
出版社KADOKAWA

Amazonで見る

イラスト科学科長 中泉達也先生オススメ 
背景パーツの作り方が分かる1冊

本書は2017年に発刊された「背景作画」からの改訂版だ。新しい背景パーツのレクチャー追加はもちろんのこと、制作のメインソフトであるPhotoshopの操作方法に加えて、CLIP STUDIOの解説が併記されている点が大きな改訂ポイントと言える。

改訂前の本書を既に持っており「Photoshopは所持しておらずどう操作すれば良いのか?」とつまずいていたCLIP STUDIOユーザーも再度購入を検討しても良い内容だ。

Photoshopだけでなく、CLIP STUDIOを使用した描き方も併記されている
改訂版ではいくつかのパーツレクチャーが追加されている

レクチャーの構成は「初心者でも背景を完成させる達成感を得る」ことを念頭に、背景を考えるベースとなる基礎知識が学べる「CHAPTER 1」、空や雲、地面や草などの自然物が制作できる「CHAPTER  2」、ビル、教室、和室といった人工物が制作できる「CHAPTER  3」の3段構成。いきなり大作を制作するのではなく、背景パーツごとの質感や制作方法を知り、それらを組み合わせることで背景が完成するという非常に取り組みやすいと内容となっている。

背景パーツごとのレクチャーが数多く収録されている

パーツごとの完成度も非常に高く、本書を購入することでダウンロード可能なブラシセットを使うことで作例に近い表現が可能になるのは背景初心者にはとてもありがたい。今後の創作活動に使うことができる背景パーツをたくさんストックしてみると良いだろう。

マンガで楽しみながらパースを学ぶ 
「へたっぴさんのための背景の描き方入門 パースの取り方編」

『へたっぴさんのための背景の描き方入門 パースの取り方編』

難易度★★☆☆☆
ページ数128ページ 
価格1,320円(本体1,200円+10%税)
発売日2021年9月22日
著者森永みぐ 著
出版社インプレス

Amazonで見る

イラスト科学科長 中泉達也先生オススメ 
背景のことが楽しく学べる1冊

イラストの完成度を上げるために背景作画を勉強しようと教本を手に取った際「パースの教本は文字が多くて覚えられない……。」「絵画や美麗なイラストが作例ではそもそもそんな大作描けない……。」と言った悩みを抱えている人はぜひ本書でパースについて学んで欲しい。

絵は描けるがパース知識の乏しい生徒役と、画家風の指南役が登場するマンガの中で、パースや背景の解説が行われていく構成で、年齢問わずに楽しく読み進められる内容になっている。絵柄も非常にスッキリとしており理解しやすい。

読みやすい絵柄と内容でパースの知識をマンガで深めていく内容

また、パースを覚えたてのクリエイターが陥りやすい失敗ポイントの作例と、その改善方法が透視図法ごとに解説されている点が非常にありがたい。勉強したことを使って絵を描いたが上手くいかなかった、というつまずきが少なくなるだろう。

パースの違和感に気づける失敗ポイントと改善方法が掲載されている

知識を得た後、実際にどうやって白紙の状態からパースを決めたら良いのか悩む人も多いだろう。本書ではアイレベルから決める方法や、ラフから決める方法など、数種類の描き進め方を紹介してくれているので、迷わず実践段階へと進めそうだ。

やりやすい方法でパースを決める手順を紹介している

クリエイター自身が描きたい画面作りを助けてくれる1冊と言えるだろう。

背景は敷居が高いと感じているなら   
「吉田誠治作品集&パース徹底テクニック」

『吉田誠治作品集&パース徹底テクニック』           
 

難易度★★★☆☆
ページ数159ページ 
価格2,860円(本体2,600円+10%税)
発売日2020年5月29日
著者吉田誠治 著
出版社玄光社

Amazonで見る

イラスト科学科長 中泉達也先生オススメ 
背景イラストのテクニックが分かる1冊

吉田誠治氏の作品が70ページにわたり掲載され、巻末には描き下ろしイラストのメイキングありインタビューありとファンには嬉しい内容。

パース徹底テクニックとあるが、テクニック解説開始後最初の20ページあまりはパースの話は登場しない。これがパースを学ぶ際に起こりがちな「理論から入ることで絵を描くこと自体が楽しめなくなってしまう」という敷居の高さを下げてくれており、背景制作初心者にはとても取り組みやすい構成となっている。

パースの理論を用いずに魅力的な絵の見せ方から解説がスタートする

和室、洋室、教室などイラスト背景に頻出する場面における「物」の基本的なサイズが人物と比較して掲載がされており、デジタルイラスト中級者以上の読者でも非常に参考になる。

メジャーがなくてもサイズを測る方法も紹介されている

練習方法として写真風景の模写が紹介されているが「モノクロ写真がオススメ」「グリットを引く」など練習方法についても細かく紹介されており、パースの知識がなくても取り組めるようになっている。実際のイラストの作例や手書きの解説コメントもモチベーションアップに繋がるようになっているため、初級者、中級者でも楽しく学びながら背景練習にチャレンジすることができるだろう。

背景制作初心者が陥りがちな失敗を回避してくれるアドバイスがありがたい

ペイントソフトにおいてのブラシの設定や使い方については中級者向けとなるので、キャラクターイラスト制作経験があるが、背景があるシーンイラスト制作は未経験であったり、完成度が上がらずに悩んでいる人にベストな1冊である。

パースを理論からしっかり学ぶ 
「建物&街角スケッチパース」

『建物&街角スケッチパース』           
 

難易度★★★★☆
ページ数144ページ 
価格2,750円(本体2,500円+10%税)
発売日2016年9月20日
著者マシュー・ブレーム  著、森屋利夫 翻訳
出版社マール社

Amazonで見る

イラスト科学科長 中泉達也先生オススメ 
基礎から応用までパースが理解できる1冊

美しく描かれた豊富な作例スケッチを通じ、遠近法の歴史やパースについて理論からしっかりと学びたい人にはもってこいの1冊だ。全編アナログでの技術解説と習得を目指した内容になっており、巻末付属のパースグリッドガイドが描かれたワークブックを使用して、本書で学んだ技術を練習することができるのが特徴。グリッドデータはダウンロードも可能なので繰り返しの練習やオリジナル作品制作時に活用できる。

大きめのグリッドガイドと描き込み例が付いている

透視図法ごとに観察→仕組みを理解する→応用する→描き方・描く順番を知る、といった手順で解説が進んで行くため、学びのペースが一定で理解しやすく学習を進めやすい。実際の風景を題材にパースラインをわかりやすくスケッチした作例が豊富で、複雑なパースも理解しやすいようになっている。

またダンボールや小物など身近なアイテムで単純化した解説もあり、パースを理解するさまざまなきっかけを用意してくれている。パースや背景技法書には多点透視図法の解説をしているものが多くないため、基礎から応用までを紐解いている本書は自然な背景画を描くための知識をしっかりと与えてくれる一冊と言える。

ダンボールや車、建物などを用いた解説がわかりやすい

デジタル制作での解説は掲載されていないが、アナログでパースを学びたいと考えている人なら基礎をしっかりと身につけることができるはずだ。

パースの高度な知識と技術を身につける  
「いちばんやさしいパースと背景画の描き方」

『いちばんやさしいパースと背景画の描き方』

難易度★★★★☆
ページ数195ページ 
価格2,420円(本体2,200円+10%税)
発売日2020年11月1日
著者中山 繁信 著
出版社エクスナレッジ

Amazonで見る

イラスト科学科長 中泉達也先生オススメ 
建築知識に基づいた専門的なパースが分かる1冊

普段生活を送っている自身の部屋を眺めているとき、「あのパーツは何なのだろう?」「そもそも名前があるのか?」と思ったことはないだろうか。本書は、和風建築の各部位の名称や洋室、キッチンなどの基本構造を知るところから始まる。

設計知識に特化しているので、建築を学んでいる人はもちろんのこと、アニメーターや漫画家、イラストレーターの資料としても大いに役立てることができるだろう。アイテムの寸法についても細かく記載されているため、正しいサイズ感の背景イラストを制作するための専門的な知識を得ることができる。

背景部位の各名称や寸法などが細かく掲載されている

ページの多くが透視図法を用いた建物の内観や外観の作図工程となっており、とても実践的である。便利だなと感じたのが、描きたいイメージに合わせた透視図法を選択できるフローチャートである。透視図法の知識を身につけたが、実際の背景作画にどう使えば良いかという悩みの解決に役立つと感じた。

描きたいイメージから透視図法を選択できるチャートがおもしろい

正確に描いた背景に、正確な陰影をつける方法も丁寧に解説している。これまでなんとなく背景を着色していたという人は本書で学んだパースの知識が陰影にまで活かせることに気づくはずだ。

透視図法を応用した陰影の付け方が掲載されている

全く絵を描いたことがない初心者には少し敷居が高く感じるかもしれないが、自身の習熟度が増すほど読み込みたくなる内容になっている。スキルに合わせて長く使い込んでいくと良いだろう。

幻想的な背景の専門性の高さならこの1冊 
「ファンタジー風景の描き方」

『ファンタジー風景の描き方 』           
 

難易度★★★☆☆
ページ数159ページ 
価格2,420円(本体2,200円+10%税)
発売日2015年12月25日
著者ゾウノセ 著、角丸つぶら 著
出版社ホビージャパン

Amazonで見る

イラスト科講師 橋本 将先生オススメ 
ファンタジー特有のシーンを徹底解説

冒頭は背景の基本的なパースやライティング、岩や水などの質感ごとの塗り分けを解説していく流れで始まる。その後、基本編で解説した知識をもとに田舎の自然風景を描きつつ風景画の基本的な処理を覚えていく。

リアル寄りのタッチで制作と解説が進行していき、その後にファンタジー要素を追加していくという制作の流れは「これまで現実世界の背景は描いていてもファンタジー背景を描いたことが無い」という読者には頭に入りやすい構成なのではないかと思う。

現実世界の風景をファンタジー風景にしていくページ

中盤からは「地・風・火・水」といった属性をテーマにした風景の解説に入っていく。ゲームイラストではおなじみの溶岩地帯や天空に浮かぶ島といった王道のシチュエーションを学ぶにはもってこいの内容だ。

属性別のモチーフ紹介

また、各属性の風景ごとに技法に焦点を当てた解説をしており、時短の方法や奥行きの出し方、視線誘導といった専門性の高い解説をしてくれるのもこの本の特徴と言えるだろう。

使う色のRGB指示やレイヤー構成が載っていて真似しやすい

特にゲームイラストに使われるようなファンタジー風景を描きたいなら、この本を読んでおいて損はないだろう。

オリエンタルの魅力を深掘りする 
「東洋ファンタジー風景の描き方」

『東洋ファンタジー風景の描き方 CLIP STUDIO PAINT PRO/EX 空気感のある背景&キャラのなじませ方 』           
 

難易度★★★☆☆
ページ数159ページ 
価格2,420円(本体2,200円+10%税)
発売日2017年9月30日
著者ゾウノセ、藤ちょこ、角丸つぶら 著
出版社ホビージャパン

Amazonで見る

イラスト科講師 橋本 将先生オススメ 
東洋のモチーフやディテールを学びたいならこの1冊

この本の特徴は何と言っても東洋をテーマにしていることだろう。背景そもそもの描き方というよりもシチュエーションやモチーフごとの描き方がしっかりとまとめられている。

キャラクターが身につける衣装で世界観が決まるように、背景も描かれる壁材や家具、模様で相手に与える印象ははっきりと変わるものである。そのため建造物の紹介や柄、使われている色などが細かく記載されており、かなり細かくメイキングが紹介されている。また制作データや使われている素材がダウンロードできるため、読みながら素材を触っているだけでも描けるものの幅が広がっていくだろう。

国ごとの模様や柄について触れられているページ

タイトルにもなっている空気感や背景とキャラのなじませ方についてもしっかり解説されているので、背景とキャラが描けている中級者以上の読者にも更なる画力がアップが期待でき、専門的な知識も身につく一冊だろう。

流れる水の奥をぼかしてなじませる方法が載っているページ

イラストの完成度をワンランク上げる   
「デジタルイラストの「エフェクト」描き方事典」

『デジタルイラストの「エフェクト」描き方事典 CLIP STUDIO PAINT PROで描く! 効果と仕上げのテクニック50 (デジタルイラスト描き方事典)』           
 

難易度★★★★☆
ページ数192ページ 
価格2,420円(本体2,200円+10%税)
発売日2018年4月20日
著者スタジオ・ハードデラックス 著
出版社SBクリエイティブ

Amazonで見る

イラスト科学科長 中泉達也先生オススメ 
エフェクトの描き分けとCLIP STUDIO PAINT機能の理解が深められる1冊

本書は、CLIIP STUDIOの基本的な操作を覚えたクリエイターが、イラストをより魅力的に見せるためのエフェクトを学ぶことができる一冊だ。「火、煙、水、雷といった形のないもののエフェクト」と「実際のイラストのシチュエーションをより魅力的に見せる仕上げ効果としてのエフェクト」を解説する2部構成になっている。

ページの多くが前者のエフェクト作成レクチャーになっており、自然現象を観察した作画的な描き方の手順はもちろん、CLIP STDUIOにそんな機能があるのか!そんな素材を使うのか!と思わず唸ってしまう描き方が掲載されている。作画技術もソフト知識も同時に高めることができる内容だ。どのエフェクトも数名のイラストレーターがそのテクニックを惜しげもなく公開してくれているのも魅力である。

ブラシの設定など手順が細かく掲載されている
吹き出しを利用したエフェクトは、マンガ作成機能も充実しているCLIP STUDIOならでは

イラスト仕上げエフェクトが掲載されたPart.2では、朝・昼・夜など時間帯別効果や背景と馴染ませる方法、光源に合わせた光の演出などが掲載されており、すぐにでも使いたくなる内容ばかりである。

レイヤー分けがされていれば後からでも使えるテクニックなので、過去作でも学びが活かせる

デジタルが得意とする汎用性の高いエフェクトが多数紹介されているので、すでに描き上げているイラストにもこれから取り組む創作活動にも活かせるはずだ。

代々木アニメーション学院
44年間にわたりアニメ・エンタメ業界を牽引し、12万人以上もの優秀な人材を輩出してきた、歴史あるエンタメ専門校。全国に10校舎を構えており、2022年10月からは業界初の全日制オンラインスクール「フルリモート校」を新たに開校した。フルリモート校では、基本すべてオンラインで授業を実施。授業はライブ配信視聴やアーカイブ視聴することが可能で、ライフスタイルに合わせて自由に学べるほか、放課後もバーチャル空間で自宅から楽しむことができる。

▼代アニ「フルリモート校」
https://www.yoani.co.jp/lp/full_remote/

●紹介してくれた人

中泉達也 
代々木アニメーション学院イラスト科学科長を担当。ソーシャルゲームカードイラスト制作や海外アーティストのCDジャケットイラストなどを手がけた経験を基にカリキュラム開発や産学連携、就職サポートなど教育支援に注力している。

橋本将 
代々木アニメーション学院 名古屋校にてイラスト科を担当。 主にキャラクターの彩色、配色、ポートフォリオデザインなどの講座を担当。スマホ向けゲームのキャラクターやヴィネットイラストの制作、配信用Live2Dモデルの制作、イベント販促グッズのデザインなどを手掛ける。

読込中...

Follow us!

SNSで最新情報をCheck!

Photoshop、Ilustratorなどのアプリの
使いこなし技や、HTML、CSSの入門から応用まで!
現役デザイナーはもちろん、デザイナーを目指す人、
デザインをしなくてはならない人にも役に立つ
最新情報をいち早くお届け!

  • Instagram