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作業が捗る!クリエイティブワークが楽になる作業効率化「Tips」

2023.05.25 Thu

【Google系ツールを完全マスター(3ーA)】

ついに日本語対応!クリエイターも知っておきたいGoogle Bardの使い方(基礎編)

文・画像:塚本建未

以前紹介したChatGPTの解説記事で、Googleは「Google Bard」というAIチャットサービスの開発を前倒しで発表したことをお伝えしました。Google Bardは、2023年の3月21日にウェイティングリストを公開し、米国と英国ではすでにサービスが提供されています。そしてついに、5月11日に日本語への対応がスタートしました。

多くの人がChatGPTを体験し、文章作成AIの可能性を感じているところだと思いますが、今後ChatGPT(Microsoft勢)とGoogle Bardの覇権争いは熾烈なものになるだろうと予測されます。コンテンツ作成AIの登場によって、職を奪われるのではないかという懸念を抱く人も多いかと思いますが、これからクリエイターとしてどのようにAIと向き合っていくかを見定めるためにも、まずは体験してみることが重要になるでしょう。そこで、今回は日本語対応となったGoogle Bardの基本情報を解説いたします。 

※今回の記事制作にあたり、Google Bardで構成案の作成を試みてみました。その過程を紹介した「Google Bardの記事(実践編)」も参照ください

Google Bardとは

Google Bardは、Googleが開発・提供する対話型AIです。Googleは2021年にLaMDA(Language Model for Dialogue Applications)という高度な会話能力を持つ大規模言語モデル(LLM:Large Language Models)の開発を発表しており(考案されたのは2017年)、このLaMDAをベースにBardが開発されました。2023年5月からは計算能力などが向上したPaLM(Pathways Language Model)という大規模言語モデルに切り替わっていますが、LaMDAもPaLMも、機械学習において人気の高いTransformerというライブラリをベースにした機械学習モデルです。この言語モデルが数兆個の単語を「読み取って」人間の言語を構成するパターンを学習するため、適切な回答の予測に優れているのです。

また、BardはジェネレーティブAIと呼ばれる機械学習の手法が使われています。従来型のAIは大量のデータから特徴を学習して予測を行います。一方で、ジェネレーティブAIは、与えられた入力から新しいデータを作成しアウトプットできるAI技術です。Google Bardと同様にChatGPTもジェネレーティブAI技術が用いられていますが、Google BardのジェネレーティブAIはChatGPTよりもトレーニングされたデータ量が多く大きなモデルが使用されているのです。

Google BardとChatGPTの違い

Google BardとChatGPTは、どちらも大規模な言語モデルです。大規模な言語モデルとは、大量のテキストデータでトレーニングされた人工知能(AI)の一種で、テキストの作成、言語の翻訳、さまざまな種類のクリエイティブコンテンツの作成、質問への回答などを行える技術です。ただし、2つのツールには、いくつか重要な違いも存在します。

【Google bardとChatGPTの違い】
1.訓練データ量
2.言語サポート
3.検索機能
4.ユーザーインターフェイス

1.訓練データ量   
Google Bardは、Google検索を通じて常に新しい情報にアクセスしているため最新のデータでトレーニングされています。一方で無料版のChatGPTは、2021年までのデータでトレーニングされているため、最新の情報に精通していない可能性があります(有料版のChatGPTに関しては最新のデータでトレーニングされている)。また、BardはGoogle Alの大規模言語モデルであるのに対し、ChatGPTはOpenAIのGPT-3言語モデルに基づいている点も大きな違いです。    

2.言語サポート   
Google Bardは、ChatGPTよりも多くの言語をサポートしています。

対応言語の比較(2023年5月現在)          

Google Bard(30以上の言語をサポート)          
英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、中国語、日本語、韓国語、ポルトガル語、ロシア語、イタリア語、トルコ語、オランダ語、インドネシア語、スウェーデン語、デンマーク語、ノルウェー語、フィンランド語、チェコ語、ハンガリー語、ポーランド語、ギリシャ語、ルーマニア語、ブルガリア語、セルビア語、クロアチア語、ウクライナ語、ベトナム語、タイ語、インドネシア語、マレー語、アラビア語、ヘブライ語、ペルシア語、トルコ語

ChatGPT(6つの言語をサポート)          
英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、中国語、日本語


3.検索機能   
Google Bardは、ChatGPTよりも強力な検索機能を備えています。BardはGoogle 検索を通じて現実世界の情報にアクセスして処理することが可能なので、より正確かつ関連性の高い情報をユーザーに提供できます。

4.ユーザーインターフェイス

Bardの優れたUI

Google Bardには、回答欄の下部に「良い回答」「悪い回答」のボタンがあり、回答に満足できたかどうかをフィードバックする機能が搭載されています。また、「回答をエクスポート」「Googleで検索」といったボタンも搭載されています。  

その他にも、質問内容によっては回答欄の右上に「他の回答案を表示」というボタンが表示されることがあり、これをクリックすると複数の回答案の中から、自分の求める答えに近い内容を選択可能です。こうしたユーザーインターフェイスでは、後発であるGoogle Bardのほうが機能面で充実しているように思います。    

これらの違いを意識して、実際にGoogle Bardを使ってみましょう。

Google Bardの基本的な使い方

Google Bardの利用方法は非常に簡単です。すでにGoogleアカウントを所有している場合は、新たにアカウントを作成する必要もありません。また、ChatGPTでは電話番号の登録が必要でしたが、Google BardはGoogleアカウントにログインしていれば、個人情報を入力する必要はありません。加えて、複数アカウントを持っている場合は、アカウントごとに使い分けることも可能です。

【Google Bardの基本的な使い方】
1.Google Bardの公式ページへアクセスし「Bardを試す」をクリック
2.メッセージを入力して送信マークをクリック

以下に利用方法を説明します。

1.Google Bardの公式ページへアクセスし「Bardを試す」をクリック

 TOPページの「Bardを試す」をクリック
 利用規約とプライバシーを確認し「同意する」をクリック

Google Bardの公式ページにアクセスし、TOPページにある「Bardを試す」をクリックします。画面が遷移して利用規約とプライバシーのページが表示されますので、これを確認し問題がなかったら「同意する」というボタンをクリックします。

2.メッセージを入力して送信マークをクリック

「続行」をクリック
 メッセージを入力して送信マークをクリック

「同意する」ボタンをクリックすると、現在はBardが試験運用中であることを警告するポップアップウィンドウが表示されます。このパネルの内容を確認して問題がなければ「続行」をクリックします。設定はこれで完了です。ポップアップウィンドウが消えて操作画面が表示されますので、画面下部にあるメッセージ入力欄に質問を入力します。質問が入力できたら、送信マーク(紙飛行機のアイコン)をクリックすると回答が出力されます。

回答の出力に関しては、テキストが一文字ずつタイピングされるようなスタイルではなく、少しのタイムラグを挟んで全ての文章が同時に出力されます。回答が出るまでに、数秒かかる場合もありますが基本的には通常のチャットボットのようなスピード感で会話のやりとりができます。

Google Bardがクリエイティブな作業でどのように役立つのか

Google Bardがクリエイティブな作業でどのように役立つのかをついて考えてみましょう。

【Google Bardがクリエイティブワークでどのように役立つか】
1.アイデアのブレインストーミング
2.Google検索と組み合わせたリサーチ
3.デザインの多言語対応
4.Googleの他ツールと連携して作業効率をアップ
5.UI・UXデザインの在り方を変える

1.アイデアのブレインストーミング   
Bardはクリエイティブなアイデアをブレインストーミングする際に、優秀なアシスタントになってくれます。

 Google Bardにアイデアを考えてもらった例

上の画像はBardにアパレル企業のキャッチコピーを考えてもらった結果です。Bardは回答案を複数提示してくれました。それぞれの回答案は、テキスト量も異なり簡潔なものと詳細なものがあります。ブランドのターゲットやコンセプトも想定してキャッチコピーを考えてくれたようです。ChatGPTの記事でも同様の質問をしていますので、比較してみましょう。

chatGPTにアイデアを考えてもらった例

ChatGPTのほうが考えてくれたキャッチコピーの数が多いです。ただ、キャッチコピーの内容自体は、両者に大きな差はないように思われます。このように、アイデアのブレインストーミングに対話型AIは役立ちます。

フリーランスのクリエイターは、1人でアイデアが煮詰まってしまう時などもあるかと思いますので、アイデアを考えるときに優秀なアシスタントとして活躍してくれるでしょう。さらに、テキストだけでなくコーディングなどについても、アイデアや修正案などを提案してもらうことも可能なところが文章作成AIを使うメリットです。

このブレインストーミングに関しては、「Google Bardの使い方(実践編)」の記事でも詳しく解説しています。

2.Google検索と組み合わせたリサーチ   
Google Bardの強みはGoogle検索と組み合わせたときに真価を発揮します。前述のようにChatGPTは現在のところ有料版でなければ最新のデータによる回答が得られません。一方でGoogle Bardは、Google検索と連動しているため、最新のデータによる回答を無料利用で得られます。Google検索にインデックスされたサイトのデータ全てにGoogle Bardがアクセスできるわけではありませんが、大半のサイトがGoogle検索に対してSEOを実施しているので、こうした側面でChatGPTよりも優位性があると言えます。今までの検索による調査と組み合わせることで、リサーチの精度もさらに高まるでしょう。

3.デザインの多言語対応   
前述のようにGoogle Bardは、ChatGPTよりも多くの言語に対応しています。国際的な市場で事業を展開する企業のWebサイトデザインにおいては、多言語対応が重要になる場合も多いので、翻訳という観点からもGoogle Bardは大いに役立ちます。

4.Googleの他ツールと連携して作業効率をアップ   
Google Bardに限ったことではありませんが、Googleツールは他のGoogleツールと連携して作業効率のアップを図ることができます。現在は試験運用中なので連携機能は「Googleで検索」ボタンくらいですが、今後こうした連携機能が強化されていくことが予想されます。

5.UI・UXデザインの在り方を変える   
Webサイト制作では、Google BardのようなAIチャットボットの利用も視野に入れた視点が重要になると予想されるという内容をchatGPTの解説記事でも述べました。Google Bardの場合はGoogle Workspaceのサービスの中に、AIチャットボット機能が搭載される可能性もあります。新たにアカウント作成したり、サービス契約をせずに利用できるのであれば、Googleのサービスを利用している企業にとって大きなメリットであると言えるでしょう。こうした観点からも、企業にGoogle BardとChatGPTのどちらが選択されるのかは注視しておく必要があります。

Google Bardの注意点

最後に、Google Bard利用する上で注意点も確認しておきましょう。

【Google Bardの注意点】
1.現在は試験運用中
2.利用情報は調査データとしてGoogleに提供されている
3.より高度なメディアリテラシーが必要となる
4.今後有料になる可能性がある

1.現在は試験運用中   
繰り返しになりますがGoogle Bardは現在試験運用中です。ChatGPTの興隆により発表を前倒しにした経緯も鑑みると、まだ不完全な部分も多いように感じます。無料版の利用に限定した場合、Google BardとChatGPTを比較してどちらが精度の高い回答を得られるかという点は、SNSの反応などを見ても意見が分かれるようです。Google BardもChatGPTも、得意分野・不得意分野があるようなので用途に応じて両者を使い分けていくのが良いのかもしれません。

2.利用情報は調査データとしてGoogleに提供されている   
ChatGPTと同様に、利用情報は調査データとしてGoogleに提供されます。Googleアカウントを所有している時点で、個人情報などを含めたデータをすでにGoogleに提供していることになりますが、利用規約とプライバシーのページはしっかりと目を通しておきましょう。

3.より高度なメディアリテラシーが必要となる   
文章作成AIでは、わからない質問をわからないと答えるのではなく嘘の回答が作成されることがあります。また、AIが作成した回答の中には、著作権的に問題があったり、偏見や倫理的な問題が潜んでいる可能性があります。

特に著作権に関しては、画像作成AIにおいて法的なトラブルに発展している事例もあり、文章作成AIツールにおいても同様の著作権トラブルが生じる可能性があり注意が必要です。作成される文章の質が高い分、今まで以上に高度なメディアリテラシーがユーザーに要求されるでしょう。

4.今後有料になる可能性がある  
現在は試験運用中として無償で提供されていますが、今後有償のサービスになる可能性もあります。ただし、Googleは今までも有料級のサービスを無償で提供することで、後発のサービスであるのにもかかわらずシェアを伸ばしてきた実績が数多くあります。この点は、ChatGPTと関係の深いMicrosoftのソフトウェア提供スタンスと大きく異なるので、個人利用に関しては試験運用が終了しても、引き続き無償で利用できる可能性が高いと思われます。

まとめ

数多くのコンテンツ作成AIが利用されるようになってきて、その問題点も明確になりつつあります。そして、クリエイターの中にも、AIをうまく活用する人がいる一方で、AIから距離を置く人も出てきています。いずれのスタンスを選択するにせよ、AI技術を知っておくことが、今後のクリエイター人生において重要になっていくことは間違いないでしょう。本記事でGoogle Bardに興味を持たれた方は、ぜひ自分でもトライしてみましょう!

※Google Bardで記事構成案を作成してみた、その過程「Google Bardの記事(実践編)」も参照ください

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