日常をアートに彩る額縁の世界 第八回 ラピアーツ 〜額縁編〜 ① | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-

日常をアートに彩る額縁の世界 第八回 ラピアーツ 〜額縁編〜 ①

2019.7.24 WED

似て非なる画材、この差って何?
あべちゃんのサブカル画材屋 紀行


日常をアートに彩る額縁の世界 第八回/ラピアーツ 〜額縁編〜 ①

都内近郊に点在する画材や文具の専門店をめぐる連載企画。大型店ではカバーしきれないマニアックな商品と知識を求め、イラストレーター兼ライターの筆者が専門店に潜入します。今回訪れた専門店は、東京・六本木のAXISビルにある額縁(がくぶち)専門店・ラピアーツ。絵画や写真を入れて飾るのはもちろんのこと、「飾るものなんて持っていない」と思っているあなたにこそ知って欲しい、知られざる額縁の世界がありました。中に入れるものから額縁のデザイン、大きさ、形まで自由自在! その懐の深さに、きっと驚くはずです。

(取材・文・イラスト:阿部愛美)

<<< 第一回目「鳩居堂本店」〜筆編〜
<<< 第二回目「伊勢半本店」〜紅(べに)編〜
<<< 第三回目「喜屋」〜岩絵具編〜
<<< 第四回目「ならや本舗」〜墨編〜
<<< 第五回目「うぶけや」 〜はさみ編〜
<<< 第六回目「山形屋紙店舗」 〜和紙編〜
<<< 第七回目「インクスタンド」 〜カラーインク編〜
>>> 第九回目「箔座日本橋」 〜金箔編〜
>>> 番外編 「菊屋」 〜左利き用品編〜
>>> 第十回目 「宝研堂」 〜硯編〜
>>> 最終回  「岩井つづら店」 〜つづら編〜

作品における額縁の意味とは?
先日、生まれて初めて絵を購入した。友人の付き添いで入った画廊で、ある作品に心を奪われてしまったのだ。食べ物の絵が刷られた木版画の作品。キャプションに目をやると、残念ながら売り切れだ。

画廊の人にお願いして作家の作品ファイルを見せてもらったが最後、10分後には果物が描かれた作品を購入していた。まさか、自分が絵を買う日がくるなんて思っていなかったけれど、絵を買うなんて大人な気分。作品は後日額装されて配送してくれるという。

約1ヶ月後——。待ち望んでいた作品はやはり素晴らしく、「買ってよかった」と思うばかりか「この作家が描いた別の作品も欲しい」と思ったほど。けれど不思議なことに、本物を目の前にしても画廊で作品を見たときほどの感動がない。なぜだろう……?
絵を買うのが初めてならば「美術品につき代用なし」シールを見るのも初めて。フォントが独特……!!

絵を買うのが初めてならば「美術品につき代用なし」シールを見るのも初めて。フォントが独特……!!

あの日の画廊にはなく、この時初めてみるものがひとつあった。そう、額縁だ。シンプルだけれど、つくりもしっかりしている。けれど、作品の美しい色使いや世界感が、額縁によって失われているような気がしてならなかった。額縁によって作品の見え方が変わるなんて、絵を買うまでは想像しなかったことだ。

そもそも額縁って何だろう。美術館で開催された展覧会の図録を開いてみるけれど、どの作品にも額縁は写されていない。すると作品の一部ではなさそうだ。では、作品を保護するためか? 保護が目的ならば、装飾的な額縁は必要ないだろうか? 額縁は、本当に作品に必要なのだろうか……? 突然、額縁に対する疑問がどっと湧いて止まらなくなった。

こういう時は、いつものように詳しい人に話を聞きにいこう。たくさんの疑問を抱えて、六本木に向かう。今回は、額縁専門店・ラピアーツへ……!!

額縁縁専門店のラピアーツへ
日比谷線「六本木駅」から徒歩10分。言わずと知れたデザインビル・AXISビルの2階に 「ラピアーツ」は店を構えている。店内は、今までお邪魔したどの専門店よりもこじんまりしているが、壁にはものすごい数の額縁のサンプルが掛けられている。
シンプルな黒の額縁も種類はさまざま。シックなデザインの額縁はモノクロの写真とよく馴染む

シンプルな黒の額縁も種類はさまざま。シックなデザインの額縁はモノクロの写真とよく馴染む

なかには、虫喰いの木の風合いをそのまま活かした額も

なかには、虫喰いの木の風合いをそのまま活かした額も

「うちでは、約1200種類の額縁サンプルを置いています。モールディングといって、お客さまの注文に応じて棹(さお)を組み、ほかの部材を合わせて仕立てる額縁店です」とは、ラピアーツ代表取締役の藤本 定昭(ふじもと・さだあき)さん。棹とは、額縁を作るための装飾が施された棒のことだと教えてくれた。

額縁の種類は大きく3つ。まず、木を四角く組んでから装飾を施したり塗装する「本縁(ほんぶち)」。いわゆるフルオーダーだ。その対極にあるのが「組縁(くみぶち)」で、竿に加工を済ませてから組み上げるもの。そして、客さんの注文によって竿を組むのが「モールディング」だ。作り方は「組縁」と同じだが、竿のデザインや大きさなどを自由に選択できる。いわば、額縁のセミオーダーといえる。
モールディングなら、八角形の額縁に組み立てることも可能

モールディングなら、八角形の額縁に組み立てることも可能

これだけ豊富ならば、どんな作品にもぴったりな額縁が見つかるだろう。そこで持参したのは、2つの作品。ひとつは、自然の風景が描かれた水彩のイラスト。ただし、めだかのセリフ入り。もうひとつは、奇妙でちょっと怖いモノクロの版画。どちらもひとクセある、雰囲気が全く異なる二つの作品には、一体どんな額縁が合うだろう?
作者:山本花南

作者:山本花南

作者:箕輪千絵子

作者:箕輪千絵子

次のページは「選択肢は無限大。作品に合わせて額縁を選ぼう」

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●LapiArts(ラピアーツ)
“アートとフレーミング”というコンセプトの額縁専門店。イタリアを中心に、輸入額1200種以上を取り揃えている。額縁に入れたいものを持ち込むと、知識豊富な店員さんが、適したマットや額縁についてアドバイスをしてくれる。オーダーしてから約1週間で受け取り可能(時期や入れるものにもよる)。小さなものや立体物もフレーミング可能なので、ぜひ一度足を運んでみては。

住所/東京都港区六本木5-17-1 AXISビル 2F
アクセス/営団地下鉄日比谷線・都営地下鉄大江戸線「六本木駅」より徒歩約8分、東京メトロ南北線「六本木一丁目駅」より徒歩8分
営業時間/11:00〜19:00(土・日曜日、祭日は12:00〜19:00)
休業日/夏期と冬期のビル休館日に準ずる
TEL/03-3583-0861
※ショップ情報については、「アクシスラピアーツ」で検索

●福岡工業株式会社
フレーム事業部 ケイプリモ
住所/埼玉県ふじみ野市大井武蔵野1351
TEL/049-257-7561
URL http://www.fukuoka-ind.com/

<作品協力>
箕輪千絵子(みのわ・ちえこ) https://www.chiekominowa.com/
山本花南(やまもと・かなん)
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