日常をアートに彩る額縁の世界 第八回 ラピアーツ 〜額編〜 ③ | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-

日常をアートに彩る額縁の世界 第八回 ラピアーツ 〜額編〜 ③

2019.9.20 FRI

似て非なる画材、この差って何?
あべちゃんのサブカル画材屋 紀行


日常をアートに彩る額縁の世界 第八回/ラピアーツ 〜額編〜 ③


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額縁を組み立てている工場に潜入!
店頭で選んだ額縁は、どのようにして組み立てられるのだろう。

今回は特別に、ラピアーツが棹の輸入から組み立てまでをお願いしている、オーダーフレームの工場にご案内いただいた。 案内してくださったのは、「ケイプリモ」のファクトリーマネージャー・田中清敬(たなか・きよたか)さん。

「うちでは、イタリアやスペインを中心に、ドイツなどから棹を輸入しています。一概にはいえませんが、イタリアは凝ったデザインが多く、スペインは金箔などを使ったクラシックな額縁が多い。国や地域でデザインは大きく変わりますね」
倉庫には、長さ約3mの棹がところ狭しと並んでいる

倉庫には、長さ約3mの棹がところ狭しと並んでいる

ケイプリモでは200種類以上の竿を輸入している

ケイプリモでは200種類以上の竿を輸入している

田中さんのご好意で、実際に額縁を組み上げて もらうことになった。最初は、選んだ棹をカットする行程だ。四角に組むためには、まず棹を45度の角度にカットする。「ダブルマイターソー(double miter saw)」という機械に棹を入れると、右と左から丸い刃が交互にせり出してカットされた。
左右から丸ノコでカットするダブルマイターソー

左右から丸ノコでカットするダブルマイターソー

カットしたものを定規で計って、寸法を確認する

カットしたものを定規で計って、寸法を確認する

小口にも気遣いを忘れない

小口にも気遣いを忘れない

額縁に使われる木は自然のもの。温度や環境によって、どうしてもゆがみや膨張がある。

「モールディングの場合は、カットした小口を合わせると、ごくわずかですがズレが発生します。 このズレは、装飾が少ないプレーンな棹ほど目立ってしまう。濃色の棹ならなおさらです」

そういって、小口から木の色が見えないように、マーカーや塗料で塗装してから組み立てるそうだ。こうした一手間が、出来上がりのクオリティを高めている。

「次に小口に接着剤を塗ってから、クランプステイプラーという機械で、くさびを打ち、角を固定します。カットした時に、小口の上や下がわずかにせり出していても、垂直の角度を調整することで隙間なく接着できるんです」
下からくさびが飛び出して額を固定するクランプステイプラー

下からくさびが飛び出して額を固定するクランプステイプラー

ダストカバーと裏板を固定するトンボ

ダストカバーと裏板を固定するトンボ

バシン、バシン! と大きな音をたて動く機械は、まるで巨大なホッチキスのよう。あっという間にくさびが入る。両手で思いっきり引っ張ってみても、もうびくともしない。

最後にアクリルと裏板をいれ、裏にトンボ(留め具)と吊り金具を取り付けたらできあがり。さっきまで棒状の板だったものが、あっという間に額縁になった……!

額縁の可能性を大きく広げる「ドロ足」
額縁は組み上がったけれど、完成とは言えない。中にものを入れて、初めて額縁は完成する。お客さんが持ってくるものは、どんなものが多いのか。藤本さんに尋ねた。

「水彩画や版画が一番多いですね。購入したものもあれば、ご自分で制作されたものもある。次がポスターかな。でも、変わったものもありましたよ。子供用のバイオリンやワインのボトル、お皿とかね。今まで入れたことのないようなものを持ってきてもらうと、とても楽しいです」

額縁の内側に「ドロ足(どろあし)」と呼ばれる深さを出すことで、立体物も入れることができるという。バイオリンのような立体物を額装できるなんて、考えたこともなかった。
イヤーズプレートも、額装すれば立派なアート

イヤーズプレートも、額装すれば立派なアート

厚みのある立体物がダストカバーに触れないように、ドロ足で高さを出ししている

厚みのある立体物がダストカバーに触れないように、ドロ足で高さを出ししている

立体物を収められるならば、やれることはかなり幅広い。友人がつくってくれたお守りや、祖父からもらった万年筆も額装できそうだ。自分の机の引き出しの中を想像しては、「あれも額装できるな」と考えると、なんだか楽しくなる。

これまで、額縁とは「作品を装飾するもの」だと思っていた。でもどうやら、作品と鑑賞者をつなぐ役割をしているものに思えた。これまで私が美術館で目にしてきた豪華で派手な額装の作品は、かつて置かれていた環境を想像すれば納得がいく。宮廷や教会では、プレーンなフレームではそぐわない。

気になることはあっても、接する機会のなかった額縁。その未知なる世界は、とても自由で、どこまでも可能性が広がっていた。

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●LapiArts(ラピアーツ)
“アートとフレーミング”というコンセプトの額縁専門店。イタリアを中心に、輸入額1200種以上を取り揃えている。額に入れたいものを持ち込むと、知識豊富な店員さんが、適したマットや額についてアドバイスをしてくれる。オーダーしてから約1週間で受け取り可能(時期や入れるものにもよる)。小さなものや立体物もフレーミング可能なので、ぜひ一度足を運んでみては。

住所/東京都港区六本木5-17-1 AXISビル 2F
アクセス/営団地下鉄日比谷線・都営地下鉄大江戸線「六本木駅」より徒歩約8分、東京メトロ南北線「六本木一丁目駅」より徒歩8分
営業時間/11:00〜19:00(土・日曜日、祭日は12:00〜19:00)
休業日/夏期と冬期のビル休館日に準ずる
TEL/03-3583-0861
※ショップ情報については、「アクシスラピアーツ」で検索

●福岡工業株式会社
フレーム事業部 ケイプリモ
住所/埼玉県ふじみ野市大井武蔵野1351
TEL/049-257-7561
URL http://www.fukuoka-ind.com/

<作品協力>
箕輪千絵子(みのわ・ちえこ) https://www.chiekominowa.com/
山本花南(やまもと・かなん)
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