2019年12月6日
(取材・文/編集部)
● 迫力満点! 宮崎駿監督の直筆スケッチを展示した「“天空の城ラピュタ”と空想科学の機械達展」コーナー
「天空の城ラピュタと空想科学の機械達展(2002年10月2日~2004年5月9日)」は、この映画を生んだ“発想の原点”を宮崎監督自らが披露したものだ。映画に登場させた乗り物、炭鉱の町で起こった追撃騒動、空に浮かぶラピュタの詳細なイラストも当時新たに描き起こされ、宮崎監督が映画では語りきれなかったことをいっぱいに詰め込んだ内容となった。
作中の“おっかけ”を説明するために「赤錆谷」と「エメンタールヒル」の詳細なスケッチが描き起こされている。「“天空の城ラピュタ”と空想科学の機械達展」では、フルカラーのパネルが制作されて壁に大きく飾られていたが、今回の展示ではパネル制作の元となった宮崎監督直筆の詳細なスケッチが展示されており、見どころの一つとなっている。ラピュタの全体像も内部の構造まで詳細に描き起こされた。
「アルプスの少女ハイジ展―その作り手たちの仕事―(2005年5月21日~2006年5月7日)」では、アニメーション制作の現場で作り手たちが挑んだことを中心に紹介。共に制作に取り組んだ高畑勲監督をはじめ、厳しいスケジュールの中で絶対に手を抜くことがなかったスタッフたちの仕事ぶりが漫画で紹介されている。
高畑監督は風景の広がり、空気、奥行きなどを表現するために、背景を0.25ミリ(撮影台の最小メモリ)というこれまでにない遅さで動かして撮影した。宮崎監督もこんなに細かい数字をあつかう仕事があるのかと思い知ったのだという。
「幽霊塔へようこそ展(2015年5月30日~2016年5月8日)」では、宮崎駿監督が強い影響を受けたという江戸川乱歩作「幽霊塔」の世界を自ら描いたパネルで紹介。この怪奇大ロマンは宮崎監督が中学生の頃に出会って夢中になって読み、「ルパン三世カリオストロ」は「幽霊塔」の記憶と憧れをもとに作られたのだという。映画に登場するカリオストロ城や時計塔、隠れた主役となる二つの湖などの細かい設定、演出の方針についても、解りやすい漫画の形で語られている。
2019年11月~ 「手描き、ひらめき、おもいつき」展 ~ジブリの森のスケッチブックから~(展示中)
2018年11月~ 「映画を塗る仕事」展
2017年5月~ 「食べるを描く。」
2016年7月~ 「猫バスにのって ジブリの森へ」
2015年5月~ 「幽霊塔へようこそ展」―通俗文化の王道―
2014年5月~ 「クルミわり人形とネズミの王さま展」~メルヘンのたからもの~
2013年6月~ 「ジブリの森のレンズ展」
2012年6月~ 「挿絵が僕らにくれたもの」展~通俗文化の源流~
2011年6月~ 「ねこバスから見た風景展」
2010年11月~ 「ジブリの森のえいが展~土星座へようこそ~」後期/前期
2009年5月~ 「崖の上のポニョ展―エンピツで映画をつくる―」
2008年5月~ 「小さなルーヴル美術館」展
2007年5月~ 「3びきのくま展―映画にできないとっておきのおはなし―」
2006年5月~ 「アードマン展 イギリスの友人を紹介します。」
2005年5月~ 「アルプスの少女ハイジ展―その作り手たちの仕事―」
2004年5月~ 「ピクサー展」
2002年10月~ 「天空の城ラピュタと空想科学の機械達展」
2001年10月~ 「千と千尋の神隠し展」
▷ 「三鷹の森ジブリ美術館」の構想と実現までの道のりを辿る
さらに美術館全体を再現した立体模型も。複雑な構造の美術館館内を巡っていると、つい自分がどこにいるか分からなくなってしまうが、こうやって外側から眺めると美術館の全体像がつかみやすい。細かい部分まで緻密につくられており、近寄って見るとまるで模型の中に吸い込まれるようだ。
●常設展示「映画の生まれる場所」
http://www.ghibli-museum.jp/exhibition/013177/
会期:2019年11月16日(土)~2021年5月(予定)
入場:日時指定予約制(10:00~/12:00~/14:00~/16:00~)
場所:三鷹の森ジブリ美術館
問い合せ先:0570-055777
入館料:大人・大学生 1,000円、中高生 700円、小学生 400円、幼児(4歳以上) 100円
ジブリ美術館のチケットは、全国のローソンで、毎月10日午前10時から、翌月入場分のチケットを販売しています。
※Web、電話、店頭Loppiにて予約、ローソン店頭で引き換えになります。