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モノづくり探訪記

2022.02.21 Mon

【第二十四回】素材感が際立つ!「Creed」の春色バッグ

構成:編集部 文:安倍川モチ子 撮影:下山剛志[ALFA STUDIO]

シンプルなのにバツグンの存在感を放ち、記憶に残る「Creed」のバッグたち。その裏には上質な素材へのこだわりと、素材のポテンシャルを最大限に生かすモノづくりの力があります。今回のモノづくり探訪記は、老舗メーカー・井野屋がその技術力と感性を結集して作ったバッグブランド「Creed」のデザイン力に迫ります。

戦後の大阪に誕生し、ファッションバッグの企画から製造、販売、卸売りまでを手がける井野屋が、2004年に立ち上げたユニセックスバッグブランドが今回ご紹介する「Creed」。ベテランディレクターの西堀さんを中心に、若い世代の感性をくすぐる高いファッション性と職人の技、さらに鋭い目利きで選び抜いた素材を融合させた製品群が特徴である。

そんな「Creed」から、シンプルに素材感を楽しめるいくつかのバッグをご紹介したい。ナチュラルに見えて実は考え抜かれた、老舗カバン店の実力にも注目だ。

馬革の表情を楽しむミニショルダー

WAX VINTAGE ミニショルダー

まずは、少しめずらしい「馬革」を使用した製品から。キャッシュレス化が進んで財布が小さくなる一方で、画面の大きなスマートフォンが流行しているいま、ちょっとしたお出かけには、この2つが一緒に入れられる絶妙なサイズ感が重要。それを解決したのが、ソフトな馬革のミニショルダーバッグだ。

軽さと厚みを持ち合わせたヨーロッパ産の馬革を、クロームなめしでソフトに。さらにクロームを抜きタンニンを加えることでソフトなヌメ革のような雰囲気を演出。タンナーと何度も試作を重ねて誕生した、まさに特別な革といえる。

運動量の多い馬は、元より革に傷が多いのが特徴の一つだが、「Creed」ではできるだけ傷の少ない部分を選んで使っているので、美しい銀面が楽しめる。

オイルがしっかり浸透しているため、柔らかくツヤがあるのも特徴。使うほどに色が濃くなり、ヴィンテージ感も増していく。まさに、革特有の経年変化を楽しめる大人のミニショルダーだ。

そして、今までにありそうでなかったのが、バッグの内側のキーリング。カン付きギボシを打ち込んで、キーホルダーや鍵などが引っかけられるようになっている。これにより、「小物がバッグの底に沈んでしまう」「指が底まで届かない」といった問題も解消された。

内側にリングがついており、カギなどをつけられる

●ビジネス用にはA4ファイルも入る「フラップショルダー」を

フラップショルダー(S)

こちらは同じ馬革を使った「フラップショルダー」。バッグの中には二重の内ポケット、背面には1アクションで中身が取り出せる大口ファスナーが付いている。見た目からはわからないこだわりが隠されているのは老舗バッグ屋ならではだ。

本体と内側の布地はバイカラーに。内ポケットは大きなポケットと仕切り付きの小分けポケットの二重構造になっている
カバンの内部に直接アクセスできる背面の大口ポケット。ファスナー部分は洋服などに引っ掛からないようフラップが付いている

東レ開発! マイクロファイバーで高級スウェードを再現したお洒落ショルダー

左:F-2 ショルダーバッグM、右:F-2 ショルダーバッグS

続いては、東レ株式会社が開発したスウェード調の生地を使った「F-2 ショルダーバッグ」。マイクロファイバーで、天然高級スウェードの見た目と質感を再現した素材だ。強度とハリコシ感を兼ね備えている上に、とても軽いのが特徴。さらに、天然皮革には出せない色味も出せるため、カラー展開も5色と豊富だ。

スウェードといえば、汚れや色落ちが気になる素材だが、F-2においては高発色で色落ちがほとんどなく、水洗いも可能。洗った際に毛が寝すぎたり、毛羽立ったりすることがないため、長く綺麗に使うことができる。

とても柔らかいがハリのあるスウェード調の生地

「F-2 ショルダーバッグ S」は、財布・スマートフォンが収納できるコンパクトサイズで、A5の手帳や本なども収納可能。ごくシンプルなデザインで、金具は口元を留めるボタンがひとつだけ。内側には大きなポケットがついていて、ちょっとした買い物や散歩などのお出かけで活躍してくれる。

デザイン性を保つため、ショルダーの紐は結んで長さ調節ができる仕様に。柔らかくて縛りやすい素材のために滑りにくく、綿のようにクシャっとする心配もない。

縛って長さを調節する紐部分が、カジュアル感を生み出している

かばん屋ならではの凝ったギミックが盛り込まれているのが、1サイズ大きい「F-2 ショルダーバッグ M」。バッグの内側には、ポケット付きのインナーバッグが配置されているため使い勝手がよく、小物の収納にも困らない。外出がより楽しく、快適になりそうなバッグだ。

「F-2 ショルダーバッグ M」の内側にはインナーバッグを内蔵。外観からは想像できない凝ったディティールが使い勝手をよくしている

外出時は荷物が多いという人には、同シリーズのワンショルダーがオススメ。高さ28cm×幅24cm というビッグサイズの本体を、太めのストラップが支えている。男女ともに使えるシンプルなデザインなので、使う人を選ばないのも嬉しい。

「F-2 ワンショルダー」。スマートフォンと並べると、その大きさに驚かされる

口元をホックで留めると、上部中央がたわみ、美しいフォルムに。また、内側にはオープンポケットが付いていて、鍵などの小物も収納できるようになっている。

内側には深くて大きな内ポケットが付いている。基本は肩掛け、取っ手を引き出せば手提げバッグに

使い勝手のよさをさらにアップさせているのが、2WAYになっている点。普段は肩掛けバッグとして使いつつ、電車内で邪魔になる場合は手提げバッグとして持つこともできる。状況に合わせて使い方を変えられる頼れる味方だ。

遠州の風が吹き抜ける爽やかな春色トート

左:F-7 ワンショルダー L、右:F-7 ワンショルダー S

最後は、独特な風合いとヴィンテージ感を備えた「F-7」シリーズのバッグ。サイズはSとLの2サイズで、カラーはホワイト、ブラック、ベージュ、サックスの4色展開。

こちらの素材は、遠州産のツイル(綾織り)生地に丁寧な手染めと天日干しを繰り返して完成させている。そうすることで、クシャッとした風合いと、わずかな色ムラが生まれ、バッグ一つひとつに個体差を生みだしているのだ。素材の特徴を生かすために、袋縫いでふわっとした柔らかさや空気感を演出しているのもポイントだ。

独特な風合いとムラ染めで、ナチュラルさが感じられる

内ポケットもアップデート。F-2ワンショルダーではオープンポケット1つだったが、F-7ワンショルダーではファスナーポケットがプラスされ、より便利になっている。鍵などの小物が多い人でも迷子になることがなく、重宝すること間違いなしだ。

バージョンアップした内ポケットは、2段ポケット+ファスナー付き

「Creed」が考える愛されるバッグ

「Creed」の制作チームは少数精鋭。西堀さん自身も、企画・営業・生産管理といったほとんどの工程に携わっているため、すぐにユーザーの声を反映できるのが強みだという。そのため、「Creed」のバッグの見えない部分には、「痒い所に手が届くアイデア」がいくつも盛り込まれている。

また、ユーザーの声に耳を傾けると同時に、「常に新しい素材を探し続けている」と西堀さん。今後もファッショナブルな見た目と丁寧な内装を兼ね備えた製品を次々と生み出していくのだろう。

「Creed」ではトートやショルダーバッグのほかに、ビジネスバッグや財布、リュックサックなどもラインナップされている。かばん屋のこだわりが詰まった逸品との出会いが、外出時の楽しさをワンランクアップしてくれそうだ。

「Creed」(クリード) 
幅広いファッションアイテムで知られる井野屋が、これまで境界線で区切られていたメンズ、レディースといった固定概念をなくし、ファッション性、機能性に溢れた感度の高いバッグ&小物づくりを目指して2004年に立ち上げたバッグブランド。独自のアイデアとシーズントレンドを捉えた新作を毎シーズン2~5シリーズほど発表している。 「Creed」オンラインショップ:https://creed-online.com/
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