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モノづくり探訪記

2022.04.08 Fri

【第二十六回】モーターカルチャーを取り込んだ「Neu interesse」のハイブリッドレザーウォレット

取材・構成:編集部 ●文:石黒直樹 ●撮影:下山剛志[ALFA STUDIO]

車好きなら必ずハマるのが愛車のカスタム&ドレスアップ。買った後にパーツを交換したり、購入時にメーカーが用意している本革内装などのオプションを吟味したりとアプローチは人それぞれだろう。そんなモーターカルチャーを毎日持ち歩ける「財布」や「カバン」に取り込んだのが、今回のモノづくり探訪記で登場していただく革製品ブランド「Neu interesse(ノイインテレッセ)」だ。車好きに人気の高いカーボン柄や、プレミアムカーの内装のような質感とディテールを盛り込んだ、男心をくすぐるレザーアイテムの数々に注目したい。

モーターカルチャーと革製品の融合

「Neu interesse」誕生のきっかけは、とある雑誌とのコラボ企画だった。本格的な革製品で人気を博していたレザーブランド「CYPRIS(キプリス)」(株式会社モルフォ)が「これまでにない素材で財布を作ろう」というコンセプトのもとに、車やバイクレースに使われる「ハイブリッドレザー」を使った財布を製作したのが始まりだ。

このコラボ財布は大きな反響を呼び、百貨店でテスト販売をしたところ問い合わせだけで完売。モーターカルチャーとファッションが融合した新しい革製品ブランド「Neu interesse」が本格的にスタートすることになった。

自動車メーカーからの要望に応えて開発された「ハイブリッドレザー」は、高級車のステアリングホイールなどに使われる耐久性の高い革素材で、グリップ力強化のために表面にウレタン・エンボス加工を施したり、極薄フィルムを圧着してカーボンの見た目を再現したりと、一般的なレザーとは異なる質実剛健な雰囲気をまとっている。

高級車の内装革「ファイバーキュア」を使った革財布

「Cucire(クチーレ)」

牛床革にカーボン柄のウレタンフィルムを熱処理で貼り合わせ、光の当たり方で光沢が変化するイタリア・キオリーノ社製のハイブリッドレザー「ファイバーキュア」を使用した「Cucire(クチーレ)」シリーズ。高級外車の内装やステアリングなどに使用される「ファイバーキュア」は、独特の手触りと手にしっくり馴染むグリップ感がある。革の風格とカーボン仕上げならではのマテリアルが楽しめる仕上がりだ。

プレミアムカーの内装にも使われるこの革は、夏場に車内が高温になっても劣化しないか、度重なる摩擦に耐えられるかなど、通常の革製品より高いスペックが求められる。そんな高いハードルをクリアした、耐水・退色性、革製品離れした耐久性もこの製品の特長である。

綾織りのカーボン柄も美しく、ステアリングホイールを意識したステッチで見た目のアクセントを付けるなど、車の一部のようなスポーティーなデザインも魅力的だ。

綾織りカーボン模様が美しい。光沢のある黒と鮮やかな赤いステッチとのコントラストが目を惹く仕上がりだ
本革巻きステアリングホイールをイメージしたステッチや、アクセルペダルをモチーフにしたファスナーヘッドがモータースポーツのテイストをより一層盛り上げてくれる
内装にも赤を使用し、ブランドのイメージカラーである赤と黒を基調とした仕上がりに
内側に使用している革は車のシートなどに使われているナチュラルなシュリンク(シボ)レザー。肌触りも抜群だ
ロングウォレットには、CYPRISでもおなじみの大容量カードホルダー「HONEYCELL/ハニーセル®」が備わっている

「ハイブリッドレザー」×「フルグレインレザー」で作るスポーツカーのような革財布

表側には車のステアリング用に開発された「ハイブリッドレザー」、内側には耐久性の高い「フルグレインレザー」を使った、まるでスポーツカーのような革財布「Saal(サール)」と「Farbe(ファルベ)」。「フルグレインレザー」は、皮の繊維が最も密な体毛の真下の部分を厳選し、その耐久性・通気性を活かしてなめしたもので、表裏共に丈夫な素材を組み合わせているのが特徴だ。

●パンチングディンプルが特徴的な「Saal(サール)」

「Saal(サール)」

「Saal」は表側のハイブリッドレザーにパンチングディンプルを施して、ステアリングホイールのようなグリップ性を付与。内側のフルグレインレザーはしっとりとした風合いが特徴で、使い込むごとに経年変化が進み、ハイブリッドレザーとのコントラストが深い味わいになっていくのが魅力だ。

外装のハイブリッドレザーは、ブラック・レッド・ガンメタルの3色を用意(写真はレッド)。ブランドエンブレムは海外のナンバープレート風の細長いアイコン仕立てになっている。

ステアリングホイールでは滑り止めとして機能するパンチングディンプルが表面に施されているので、ウォレットにしても手の中でしっかりホールドできる実用的な仕上がりだ
内部も凝ったデザイン。表と同色のハイブリッドレザーが差し色として使用されておりアクセントになっている

●スポーツカーの曲線美を表現した「Farbe(ファルベ)」

「Farbe(ファルベ)」

「Farbe」は平織りカーボン柄のカラフルなハイブリッドレザーと曲線カットのフルグレインレザーの組み合わせ。スポーツカーを思わせる流線形のカット、ヘッドライトをモチーフにしたエンブレム。さらに裏地は赤と黒のチェッカーフラッグ柄で飾るなど遊び心にあふれた仕上がりだ。

イギリスの名車・ミニクーパーを思わせる落ち着きあるカラーと、黒のフルグレインレザーの組み合わせが印象的で、写真のグリーンの他にも、レッド、ネイビー、オレンジ、イエローがラインナップされている。

ハイブリッドレザーは圧着させるフィルムで手触りや見た目に変化を付けられるのが特徴。こちらのカーボン柄は「Cucire」シリーズとは異なる平織り仕立てだ
ブランドイメージの赤と黒でチェッカーフラッグ模様を描き出した裏地デザインはレース好きにはたまらない演出。ロングウォレットはたっぷり入るギャルソン型のコインケースと「HONEYCELL/ハニーセル®」を備えているので使い勝手も抜群だ
ブランドエンブレムはヘッドライト風のデザイン。ハイブリッドレザーと同色のパーツがきらりと光る

レーシングスーツの革「プロトコアレザー」で作った薄くて柔軟な革財布

「Drei(ドライ)」

むき出しの体でバイクに乗り込み高速で走るレーサーを守るため、バイク用のレーシングスーツが本革で作られていることをご存じだろうか。転倒した際に化学繊維では激しい摩擦でスーツ自体が溶けてしまい、布などの繊維では引き裂き強度が足りずに破けてしまうためだ。

体の動きを邪魔しない柔軟性と強度を持ち、雨や汗を吸ってスーツが重くなるのを防ぐ撥水加工も施された高機能皮革が、レーシングスーツブランド「クシタニ」が開発した「プロトコアレザー」である。そんな特別な革を使ってバイク乗り向けに開発されたのが「Drei(ドライ)」シリーズ。手にしっくり馴染む柔らかさなのでヒップポケットにも違和感無く収まる。

表側にはレーシングスーツ風のラインを境に「Neu interesse」らしい型押しのディテールが施されており、カラーはブラック&レッド、ネービー&グレイ、ガンメタル&ホワイトの三色展開(写真はネイビー&グレイ)。内側には「Neu interesse」と「クシタニ」のロゴが入ったダブルネーム仕立てだ。

「Drei」シリーズはクシタニのショップでも販売されており、バイク乗りの間でも好評を博しているそうだ。

ヒップポケットに入れたまま座っても違和感がないように、チャックヘッドは薄型のモノを使用。色違いのポケットのデザインも洒落ている
バイク乗りはチェーンでウォレットを繋いで使うことが多いので、ナスカンも備わっている

ヴィンテージカーの雰囲気を味わう「クラシックスタイル」

工業的なマテリアルであるハイブリッドレザー製アイテムとは別に、日本を代表する栃木レザーを使った「クラシックスタイル」というシリーズも展開中だ。これまで紹介したアイテムのコンセプトが「モータースポーツ」なら、こちらは50~60年代のヴィンテージカーといったところか。

味のある経年変化が楽しめる栃木レザーをメイン素材に、優雅にドライブを楽しむような、大人っぽい落ち着いたテイストでまとめ上げられている。デザインも「Neu interesse」らしいエンボス加工を施しながら、トラディショナルな雰囲気で統一。年月を重ねるごとに味わい深く変化する「革」という素材の特性を最大限に活かしたシリーズだ。

イギリスのヴィンテージカーのフロントグリルのようなディテールをエンボス加工で加えている

●使うほど味わいが増す「Geshichte(ゲシヒテ)」シリーズ

オイル分を多く含んだオイルヴァケッタレザーをメインにした「Geshichte(ゲシヒテ)」シリーズは、ブランドエンブレムもクラシックカー風の真鍮仕上げ。革と共に経年変化し、深みのある表情を見せてくれるはずだ。札入れ部分は、内側にも銀面(革の表面)を張り合わせた贅沢な作りになっている。

クラシックカーのエンブレムのような真鍮製のブランドロゴ
札入れの内側には銀付き革を贅沢に使用

本体とカラーの異なるセパレートパーツが内蔵されており、取り外して別々に使うことも可能。こちらに使われているのは、次に紹介する「Lange(ランゲ)」シリーズのメイン素材「アニリンレザー」で、質感の違いがいいアクセントになっている。

取り外して単体でも使える、鮮やかなアニリンレザーのセパレートパーツが付いている

●透明感のあるカラーが魅力の「Lange(ランゲ)」シリーズ

透明感のある色と光沢を持つアニリンレザーをメイン素材に使用した「Lange(ランゲ)」シリーズ。こちらは内側に「Geshichte」のメイン素材であるヴァケッタレザーが使用されており、「Lange」と「Geshichte」で革の表裏が真逆になっているのが面白い。どちらも経年変化が楽しめる素材なので、エイジングを重ねて醸し出されるコンビネーションを楽しみたい。

「Lange」は表側にあざやかなアニリンレザー、内側にオイルバケッタレザーを使用。革の使い方が「Geshichte」と逆になっている

●キャンバス地と組み合わせたバックパック「Zeit(ツァイト)」シリーズ

「Zeit(ツァイト)」

オイルヴァケッタレザーと、トラックの幌にも使われていた岡山県・倉敷帆布のパラフィン帆布を使用したヴィンテージなバッグシリーズ「Zeit(ツァイト)」。レザー部分には「Geshichte」と同じフロントグリル風ディテールが加えられ、真鍮製のブランドロゴも革の台座付きでさりげなくあしらわれている。

「Geshichte」シリーズと同じフロントグリル風ディテールと真鍮製のブランドロゴ
メイン開口部は防犯性の高いベルトタイプだ
背面にジッパーがついており、ここから素早く中身にアクセスできるようになっている

<クラシックスタイルをより楽しむために>

栃木レザーを使ったクラシックスタイルの製品は、メンテナンスをしながらエイジングを楽しむのがコンセプト。「Neu interesse」では適正なお手入れグッズも推奨しているのでチェックしてみて欲しい。

オイルバケッタ用には、M.モゥブレイのリッチデリケートクリーム、アリニンレザー用にはクリームエッセンシャルがベストマッチだ。

「Neu interesse」が届けたいもの

「Neu interesse」はアイテムの販売と並行して、国内最高峰の四輪レース・スーパーGTレーサーや、二輪の全日本ロードレース&世界耐久に参加するライダー達とアンバサダー契約をしてサポートしている。ブランドの普及を通してモータースポーツや車&バイクのファンを増やしたいという思いあるからだ。

「Neu interesse」はドイツ語で「新しい興味」という意味。レーサー達が戦っているように、このブランドも新たな素材を探求し続け、従来の革製品とは違う魅力を発信しつづけている。「Neu interesse」が、これからどんなアイテムを届けてくれるのか楽しみである。

「Neu interesse(ノイインテレッセ)」
「モーターカルチャーとファッションの融合」をテーマに2005年に誕生した革製品ブランド。車やバイクの世界観を感じさせる素材「ハイブリッドレザー」をメインに使い、スポーティーなファッション性と強度や使い勝手といった実用性を併せ持ったアイテムを次々と発表。国内で活躍するレーサーのサポートやYouTube CH「ハイブリッドスタイル」を通してモーターカルチャーの普及にも力を注いでいる。 Webサイト:https://neuinteresse.com/
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