マイナポータルの課題
1.マイナポータル(マイナンバーカード)と健康保険証の紐づけ問題
私個人の問題で恐縮ですが、マイナポータルの抱える課題としてひとつのサンプルになるかと思いますので共有させてもらいます。私には現在、マイナンバーカードと健康保険証の紐づけはしていなかったにもかかわらず、マイナンバーカード利用が「登録済」となっている事案が発生しており、デジタル庁に問い合わせをしている最中です。前述のように政府は閣議決定で紙の健康保険証を廃止すると正式に決定したと報道されています。しかし、当初はマイナンバーカードの健康保険証利用は任意であるとされていましたので、現時点で「登録済」に切り替わっているのは正直なところ不信感を抱かざるを得ませんでした。
私が間違って登録した可能性も否定はできませんが、本記事を作成するまでしばらくマイナポータルにはログインしておらず、マイナンバーカードの保険証利用の完了という更新通知が来ているのが利用を再開してからの2024年1月10日となっていることから、政府の意向の反映、もしくはシステムの刷新によってなんらかの不具合が発生している可能性もあるのではないかと考えています。昨年からマイナポータルを利用されている方は、早めのタイミングでログインして自身の登録状況を確認することをおすすめします。
2.マイナンバーカードに個人情報データを集約するリスク
社会保障の共通番号に関する制度は、住民基本台帳ネットワークシステムから続く国家的な課題で、マイナンバーという制度自体は非常に重要なシステムであることは政治信条を問わず、政策的な課題として共通認識となっています。しかし、マイナンバー "カード"というカードに一つの機能を集約する方式が果たして最適な方法なのかは、今後も国民が注視していく必要があります。特に紛失してしまった場合の手続きには問題があり自然災害などが発生した場合など、保険証や免許証の機能を付与してマイナンバーカードのみで全てを管理しようとした場合の、社会的なリスクは大きいと思われます。
加えて、普及の目的としてマイナンバーカードをチケット販売に利用する実証実験を行う案がすでに動き出していますが、重要な個人情報などが記載されているカードを、こうした用途に利用することに対しても、疑問を感じる方は多いのではないでしょうか。総務省の発表によれば、マイナンバーカードの保有状況は令和5年12月末時点で人口に対する割合で約73.0%にに留まっていますので、こうした施策によってかえって政府の焦りも見え隠れしているように思います。
3.システムをアップデートしていく上での課題
また先日、SNSでデジタル庁のサイトがNext.jsからPHPやjQueryに先祖返りしたのではないかと話題になっていました。正確なことはわかりませんが、実際には先祖帰りしたわけではなく、古いOSにも対応できるように両方を併用しているのではないかといった見立てがあるようです。
おそらく、新しいスタッフを登用する中で「もっと良いシステムを」といった思いが強まっているのではないのでしょうか。その思いはとても尊いものだと思いますが、マイナポータルに関しては昨年正式版としてリリースされたバージョンは現在も機能しているものの、デフォルト設定で実証ベータ版が表示されることで、かえってユーザーは使いづらいと感じるような気がしました。
特に高齢者は、昨年使ったサービスのデザインレイアウトが大幅に変更されるいるので、「どこに何があったか」「昨年はどのような設定をしたのか」を思い出し難いのではないでしょうか。システムを移行するには避けられない問題ですが、混乱が予想されるインボイス制度開始後はじめての確定申告である本年度が、システム刷新の実証実験するのに最適なタイミングであるのかは今一度考察してほしいと感じました。
※総務省:マイナンバーカード交付状況について
※TBS NEWS DIG:マイナカード所持者に東京ガールズコレクションのチケット先行販売へ
2024.01.22 Mon