
第1回 SEO、SEMとは?
検索サイトからより多くの潜在ユーザーを集めたいという企業のニーズが高まる現在、検索エンジンマーケティング(SEM)はサイト制作者にとっても避けて通れない道となった。デザイナーであれディレクターであれ、立場や役割にかかわらず、それぞれの担当分野で検索エンジンへの対応を求められることが、これからますます増えてくるはずだ。
この連載では、検索エンジン最適化(SEO)を取り入れたサイト制作について、順を追って解説していく。
(解説:株式会社ディーオーイー)
SEOの必要性が高まる背景
Webサイトが星の数ほど開設されている現在、自分が目的としている情報を探し出すのにも一苦労する。自分が求める情報をより早く、より正確に探したい。人々のそうした要求を満たすため、ポータルサイトには「検索エンジン」サービスが搭載されるようになった。
そして、検索エンジンの検索結果ページから訪れたユーザーは、その分野に関心を持って訪問している可能性が高く、優良な“見込み客”であることがサイト利用者の行動分析などからわかってきた。そのため、検索エンジンは広告媒体として積極的に活用されるようになり、検索サイトからより多くの潜在ユーザーを集めることが、インターネットビジネスにとって重要なマーケティング要素となっている。
それが、検索エンジンマーケティング(Search Engine Marketing - SEM)であり、その手法のひとつである検索エンジン最適化(Search Engine Optimization - SEO)である。
検索エンジンの仕組み
世界的には、Google、Yahoo Search Technology(ヤフー)、Live search(msn)の3つが有名な検索エンジンであり、ポータルサイトにはこれらのうちいずれかのエンジンが利用されていることが多い。Googleは、100を超える計算ロジックを元に検索結果の順位を決めているといわれているが、検索精度を上げるために、この計算要素は今後ますます増加するとされている。
そのようにして精度を上げる検索エンジンの目指すものは何か?
検索エンジンがゴールとしているのは、「多くの利用者に支持されているサイトを検索結果の上位表示する」ことだ。
例えば、「くまのぬいぐるみ」と検索された場合、情報を要求しているのはくまのぬいぐるみの購入を目的としたユーザーばかりではない。多くのユーザーが「このサイトはくまのぬいぐるみに関して、非常によく知ることができるすばらしいサイトだ」と認識するようなサイトを表示するためには、くまのぬいぐるみの歴史、発売しているメーカーの一覧、縫い方などの情報が掲載されている、幅広いサイトを網羅する必要がある。
膨大な情報量の中からほしい情報をどのように選び出すか、あるいは選んでもらうか。そのために各エンジンは互いにしのぎを削り多大な労力をかけて、検索結果の精度を上げるべく研究を継続しているのである。そして、それはすべて、ユーザーが望む情報を差し出すためである。
現時点では、ユーザー自身が検索方法を工夫して、結果表示の精度を上げるべく工夫を凝らさなければならない。だが、将来的には検索エンジンの進歩がそれを大きく助けることになるだろう。
SEO/SEMは=検索エンジン攻略法?
しかし、多くの検索エンジンが人手によらず統計学的な計算式によって検索結果を出しているために、計算を欺くようなテクニックが効いてしまうこともある。これが検索結果のノイズのように利用者の目に映る。
くまのぬいぐるみをすぐに購入する目的で「くまのぬいぐるみ」と検索した場合を例にしよう。その場合、利用者が目的とする情報は、くまのぬいぐるみをネット購入できるページである。にもかかわらず、おもちゃ会社のトップページが表示されてしまった場合、利用者は目的とした情報がズバリ表示されないので落胆し、検索結果の一覧に戻るだろう。これはブランディング上、おもちゃ会社にとってマイナスの印象を利用者に与えていることになる。しかし残念ながら、スパム的なテクニックによって、検索語句に関係なく自社サイトのトップページを表示させようとする会社は多い。
欺くテクニック(SPAM-スパム)に関しては、検索エンジンを提供しているサービス会社も黙ってはいない。このようなスパム行為については、検索エンジンは数多くの判定ロジックをもっている。テクニック的なことにあまり頼ると、そのサイトが検索エンジンを騙すノイズを多く発生させるとして、ドメインを検索結果の対象からはずされてしまうことにもなりかねない。(詳しくは、
第3回「誤解されているSEO」参照)
スパム行為の代償はあまりにも大きく、そのわりに報われるものは少ない。安直な「上位表示テクニック」、「検索エンジン攻略法」は存在しないのだ。
検索エンジンマーケティング~Search Engine Marketing (SEM)
誤解されがちだが「SEM=ネット広告」ではない。PPC(Pay Per Click=クリック課金型広告)などの広告やSEOは、SEMの手法のひとつである。従って、「SEMとSEOどちらが効果的か」という比較がよくなされるが、その比較は成立しない。
検索エンジンの検索結果は、純粋なる検索結果とキーワードに連動したリスティング広告の2つが表示される。したがって検索エンジンマーケティング(SEM)は、純粋なる検索結果の“キーワードグリップ力”を上げる検索エンジン最適化(SEO)とリスティング広告の、2つの構成要素によって成り立つと考えてよい。PPCとSEOは相反するものではなく、その特徴を生かして補完し合うように利用すべきものなのだ。
検索エンジン最適化~Search Engine Optimization (SEO)
「SEO」はSearch Engine Optimizationの略で、「検索エンジン最適化」などと定義されている。日本では、弊社が雑誌社等に紹介したことが発端となり、2001年末頃より広がり始めた。
検索エンジン最適化では、キーワードの網羅性を広げるということが何よりも重要なポイントとなる。さらに検索結果にサイトが表示された後も、検索結果の一覧の中でクリックしてもらいやすい表現をすることが重要だ。
ある企業が「クイーンサイズ」という言葉でユーザを呼び込むことができると考えていても、実際には「大きいサイズ」、「大きなサイズ」というより自然な言葉で検索することのほうが多い。このことに、企業は意外に気付いていない。また、「宇多田ヒカル」と「うただひかる」も別の検索キーワードとして扱われる。
「上位に表示されたサイトを訪れたものの、探している情報が見つからなかったり思ったページと違っていたりして、すぐに離脱」という行動は、誰しも日々当たり前に行っているだろう。サイトを検索結果の上位に表示させる、それだけでは意味がないのだ。ユーザーが求める情報をサイトに織り込み、見つけやすくし、それによって検索エンジン経由でWebサイトを訪れてもらうことが、SEOを行う本来の目的である。
クリック課金型広告~Pay Per Click(PPC)
検索エンジンの検索キーワードに連動した広告であるが、オークション形式であるため企業が費用対効果に見合った効果を出せるかどうか、常に見極めながら買い付けを行わなければならないので手間はかかる。しかし、キーワードによっては非常に目的達成度が高い。検索エンジンにキーワードを入力している利用者は、なんらかの情報を探す目的で利用していることが多いからである。ただし、人気のあるキーワードは入札により高額となってしまうケースもあり、緻密に費用対効果を分析しながら利用する必要がある。
検索エンジンが好むWebサイト制作とは?
検索エンジンが好むWebサイトを作るにはどうすればよいのか。
それは、多くの利用者が望んでいるWebサイトを、ユーザーの視点で素直に作り上げていくことである。また検索エンジンは、情報を吸い上げる際に好む特性のようなものを持っている。それらを知った上で、準拠した作り方をする必要がある。
しかしこれらの多くは、SEO/SEMを意識した特別な作り方というわけではない。HTMLページを作る上での基本的な“お作法”なのである。検索エンジンに正しく認識させるためには、構造的に正しく記述する必要があるからだ。
今後、Webクリエイターには、情報設計とマーケティングのスキルがますます必要となるだろう。Webサイトの見栄えのみならず、マーケティングの視点からのサイト構築を要求されるようになるからだ。特にマーケティングスキルにおいては、検索エンジン対策の知識と技術は、欠かせないものになってくるはずである。