
第17回 集客がゴールではない(1)~集客後のユーザー行動
これまで、SEOはサイトに多くのユーザーを集客することが最終目的ではなく、訪問後のユーザー行動を考えた集客が大切だと述べてきた。今回は、サイト訪問後のユーザー行動に視野を広げて解説する。
(解説:株式会社ディーオーイー コンサルタント 池松 枝美)
効果的なSEOとは?
SEOを実施し、Webサイトのユーザーが増えたとしても、それだけではまだ、施策が成功したとはいえない。ECサイトであれば“商品購入”、 保険サイトであれば“資料請求”など、それぞれにサイトが目標としているページ(以下、コンバージョンページ)に達するユーザーが増えて、ようやくSEOが効果的なマーケティングとして機能したといえるのだ。
さて、SEO施策後、多くのユーザーが訪れるようになったものの、肝心の目的達成度(以下、コンバージョンレート)はまったく上がらなかった、という声を聞くことがある。それはなぜだろうか。
SEOを行うと新規のユーザーが増加するため、一時的にコンバージョンレートが下がるケースは少なくない。しかし、全体的には訪問ユーザーが増えているため、コンバージョン数は増加するのが一般的である。
訪問ユーザーの増加とともコンバージョンレートが低下するようなサイトは、以下のような問題を抱えている可能性が高い。
(1)集客しているターゲットが間違っている。
(2)集客しているターゲットは合っているが、サイト訪問後の導線が最適化されてない。
(3)購入行動を起こした後のフローが最適化されてない。
(1)集客しているターゲットが間違っている場合
図1を見てみよう。
図1

その商品の属性(例:○○電機、中古)や行動(例:販売)を組み合わせたキーフレーズを選定し、絞り込んだ集客をすることが重要
このページでは、○○電機の中古パソコンを販売している。しかし「図1-a:悪い例」では、さまざまな目的で検索をしているユーザーをすべて取り込みたいと焦るあまり、自社のビジネスとはあまり関係のない、新品のパソコンの発売日を探しているユーザーや、パソコンの情報をぼんやりと探しているユーザーを集客してしまっている。
このように、訪問の入り口となったページに掲載されている情報と、訪問したユーザーが探している情報とに大きなズレがある場合は、ユーザーがすぐ帰ってしまう率(以下、直帰率)が高まってしまい、結果、コンバージョンレートが下がってしまうのだ。
一方、図1-bでは、○○電機の中古パソコン探しているユーザーをターゲットとして絞り込むため、「中古パソコン 販売」というキーフレーズを選んで設定している。ターゲットを適切に絞り込むことで、確実に行動を起こすユーザーの誘導が可能となる。
サイトに人をたくさん集めればよいというものではなく、効果的、かつ効率的な集客を行うことが重要だということが、おわかりいただけるだろう。
(2)集客しているターゲットは合っているが、サイト訪問後の導線が最適化されていない場合
図2を見てみよう。
図2

検索結果に表示される内容と訪問ページの内容を合わせ、行動を起こしやすくすることが重要
「図2-a:悪い例」は、検索結果と訪問の入り口となったページの情報が違っていたために、ユーザーが迷い、帰ってしまう例である。
「○○電機中古パソコン 販売」で検索したユーザーが、「○○電機の中古パソコンを買うことができる」ページを求め、サイトを訪問したとしよう。しかし、目当ての情報や、”購入ボタン ”を見つけることができないと、そのまま帰ってしまうだろう。これは、その典型的な例だ。
ユーザーは検索結果で見た情報によって、そのページを訪問するかどうか判断している。よって、検索結果に出ていたページ紹介の内容と、訪問したページの内容が大きく違う場合は、すぐに帰ってしまうことがよくある。
この場合は、図2-bのように、検索結果で表示されている文言と訪問の入り口となるページの文言を統一する、「購入」ボタンなどを目立つように配置する、などの対策が必要となる。
(3)購入行動を起こした後のフローが最適化されてない。
これは、ユーザーが コンバージョンにつながる行動を起こそうとした際に生じる問題である。フローがわかりづらかったり、面倒だったりするために、ユーザーが途中で混乱し、諦め、放棄してしまうことがある。
商品を購入したり、会員登録をしたりする際には、必ず、何らかの個人情報や配送に必要な情報、アンケート、マーケティングを目的とした情報などを入力することになる。その入力項目が必要以上に多かったり、合計金額がわかりにくかったり、手続き完了までのフローが長かったりすると、ユーザーは購入を途中で諦めて帰ってしまう。
このようなユーザーの途中放棄を避けるためには、簡単に使い方がわかるように、また、ストレスを極力感じさせないように、ユーザービリティやアクセシビリティに配慮して、購入フローを設計する必要がある。
訪問後のユーザー行動を考えたSEO設計を
SEOは単なるテクニックではないということを、本コラムでも何度か述べているが、訪問後のユーザー行動を考えた集客までを考えてこそ、本来のSEOなのである。つまり、検索エンジンだけを対象にサイトを作るのではなく、ユーザー視点に立って、キーフレーズを選定し、コンテンツを作成し、サイトの設計を行っていくことが、我々の考えるSEO であり、Webビジネスを戦略的に活用していくマーケティングに不可欠な要素なのだ。
次回につづく