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第8回 プラスアルファの情報が企業コンテンツの魅力を決める

2024.4.23 TUE

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AKIHIRO HARUSAWA
日本ブランド戦略研究所 代表

東京大学法学部卒。北陸先端科学技術大学院大学知識科学研究科博士前期課程修了。コーポレートディレクション、トーマツコンサルティング、デロイトトーマ ツコンサルティング(現アビームコンサルティング)を経て2003年に日本ブランド戦略研究所を設立。おもな著書に「知的資本とキャッシュフロー経営」 (生産性出版)、「図解ブランドマネジメント」(東洋経済)などがある。
url. japanbrand.jp/



第8回
プラスアルファの情報が
企業コンテンツの魅力を決める



企業のWebサイトの中で、会社概要、環境・CSR情報、IR情報などの企業情報を提供するコンテンツは基本情報を中心に構成されていることが多いが、ユーザーから高く評価される企業情報コンテンツでは、基本情報にプラスアルファの情報を付加することによって企業の魅力を伝えている。


会社概要では売上構成などを示す

会社概要は、基本情報が中心の企業情報コンテンツの中でも特に基本的な情報を提供するコンテンツであり、内容としては正式社名、英文社名、資本金、会社所在地、代表社名、設立年、事業内容などが該当する。  

多くの企業では、事業概要としてその会社が行っている主要事業の名称を単に列挙するにとどまっている。事業名称を数多く列挙している会社もあるが、定款に記載された内容をそのまま羅列し、かえって企業の実態とは離れた記述となっているケースも見受けられる。

これに対し、一部の企業では事業別や地域別の売り上げ構成をグラフなどのビジュアルを使って示している。売り上げ構成は財務情報の一部としてIR情報に記載すれば十分と考える企業が少なくない中で、企業の理解をサポートするこうした情報はありがたい。

さらに進んで、トヨタ自動車では「生産・販売・輸出実績」の過去からの推移を参照することができる。それも、自社の実績だけでなく、日本や世界市場の動向まで参照できる。このような情報があれば、世界の中でのトヨタ、日本の中でのトヨタ、という具合に同社の市場における位置づけを立体的に把握することができて有益である【1】。

【1】トヨタ自動車の会社概要コンテンツ内の「生産・販売・輸出実績」が見られるページ(www.toyota.co.jp/jp/about_toyota/monthly_data/)
【1】トヨタ自動車の会社概要コンテンツ内の「生産・販売・輸出実績」が見られるページ(www.toyota.co.jp/jp/about_toyota/monthly_data/


ニュースリリースでは検索機能を充実

ニュースリリースはもともとは報道関係者をターゲットとして作成されたものである。しかし、今日のようにWebサイト上でリリースが出されるようになると、閲覧者の多くは一般消費者であったり、取引先であったり、投資家であったりする。リリースは検索エンジンにかかりやすいということもあり、今日では閲覧者に占める報道関係者はごく一部となり、幅広い層の人が閲覧するコンテンツとなっている。

ニュースリリースでは、時系列で過去の記事を検索できるようにしている企業が多い。しかし、果たして日付で目的の記事を指定できるユーザーはどれだけいるのだろうか。多くの人は、新製品の情報や会社関連の情報など、探したい記事のジャンルはわかっていても、いつの記事かは特定できないことが多いのではないか。

したがって、検索キーとして、日付など時系列の切り口だけでなく、カテゴリ別(たとえば会社情報関係、製品関係、IR関係など)のような切り口が用意されているほうがはるかに利便性が高いといえるだろう【2】。

【2】キリンビールのニュースリリースのページ(www.kirin.co.jp/company/news/)。カテゴリでニュースを探せる
【2】キリンビールのニュースリリースのページ(www.kirin.co.jp/company/news/)。カテゴリでニュースを探せる


IRコンテンツは業績ハイライト

IRコンテンツはライブラリ的な性格をもつコンテンツである。決算短信、有価証券報告書、アニュアルレポートなどを主としてPDFファイルが最新版から過去のものまでずらりと並べられているサイトが多い。これらの資料を読み解けば、その企業の財務内容を詳細に把握することが可能である。

しかし、その会社の業績が「いいのか、悪いのか」、「上昇トレンドにあるのか、そうでないのか」を概略でいいから最初に把握したいというニーズは、投資初心者はもとより、プロ投資家まで、多くの投資家に共通するものと考えられる。業績の重要な部分をハイライトしたコンテンツはこうしたニーズをもつ投資家にとって極めて有益なはずである。

広告媒体としてWebサイトを活用しようと考えると、どうしても華やかなキャンペーンに注目が集まる傾向にある。しかし、企業情報コンテンツはWebサイトを通じて企業をPRし、ユーザーからの信頼を獲得するためのもっとも基本的な手段である。製品・サービス情報と並び、企業が運営するWebサイトの中で最初に充実させるべきコンテンツとして、けっしておろそかにしてはならない。


本記事は『Web STRATEGY』2007年7-8 vol.10からの転載です


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