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リーディングカンパニーのWeb戦略に迫る 第6回 三井不動産レジデンシャル

2024.4.16 TUE

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リーディングカンパニーのWEB戦略に迫る


第6回目 三井不動産レジデンシャル





三井不動産レジデンシャル株式会社
営業マネジメント本部 マーケティング部
ブランドマネージメント部 主査
末吉一敬 氏


伝統のダイレクトコミュニケーションをWebにも活用する
三井不動産レジデンシャル


2006年10月1日、不動産開発の大手企業である三井不動産の住宅分譲事業と不動産販売の大手企業である三井不動産販売の住宅販売受託事業を承継し、新たに開発と販売までをワンストップサービスする企業として三井不動産レジデンシャルは始動した。

住宅購入という人生設計における重大なる選択行為に対して、その開発から販売までのトータルプロセスをプロディースする企業として、同社はWebサイトを積極的に活用。単に個人住宅を中心とした商品、物件情報を案内するだけでなく、住宅をベースとしたライフプラン提案にも近い情報サイトや消費者同士で情報交換が可能なコミュニティサイトまでも展開している。

従来、Webの戦略的活用には遅れがちな側面のある不動産業界にあって、Web2.0も含む先進的な発案でさまざまなコンテンツ・サービスを実現している三井不動産レジデンシャル。今回は、同社における果敢なWeb戦略を積極的に推し進めるマーケティング部ブランドマネジメントグループ主査の末吉一敬氏にお話をうかがった。

文=仲町六朗 撮影=橘田龍馬



1 ライフフェーズに即した多元的サイト運営

Web STRATEGY(以下、WS) 三井不動産レジデンシャルは、去る10月1日に新たな企業として始動したものですが、まずはその経緯と事業内容からお聞かせください。

末吉氏 当社は三井不動産グループの一員として、グループの住宅事業の中核会社として営業を開始しました。従来三井不動産(株)が行っていた住宅分譲事業と三井不動産販売(株)の住宅販売受託事業を承継し、住宅・マンションの開発から販売・分譲までトータルに行う事業会社といえます。三井不動産グループにおいて、グループ経営の効率化を考慮すると同時に、多様性を増すマーケットニーズに対して、的確に対応する顧客志向の経営を展開すべく、「チャレンジプラン2008」が策定されていますが、当社はまさにこれに基づき設立されました。特に団塊ジュニアや次世代のお客様が住宅購入を検討し始める市場動向を見据え、住環境・ライフスタイルの変化に柔軟に対応するために、開発から販売までのトータルプロセスを一体化させることで、お客様とのコミュニケーションを深め、そのフィードバック情報をダイレクトに生かすことも目指しています。住宅の開発から販売までを担う事業会社としては、取扱高・売上高ともに国内最大級の企業といえます。

WS 設立に伴って公開されたコーポレートサイトのほかにも、さまざまなサイト運営を行われていますが、それぞれの役割についてお聞かせください。

末吉氏 当社直接運営による物件情報サイトが『三井の住まい』(31sumai.com)です。当社の商品である住宅物件に関する情報を提供するものとして、中核的な位置づけであり、リスティング広告などから誘導する正面玄関ともいえます。これに対して、住環境に関連したテーマで広くお客様とのコミュニケーションを図る目的で運営しているのが『みんなの住まい』(37sumai.com)です。さらに直接的に住宅購入をテーマとするのではなく、生活をより豊かにする話題などをマガジン的に提供する『楽しい暮らしの研究所-イエラボ』。また、いわゆる社史情報を紹介するサイトとして『Mitsuifudosan Residential story:spirits of the next』などがあります。

WS それらのサイトはどのような関係性をもっているのでしょうか。

末吉氏 住宅購入という行為は、ライフプランの中で大きな位置を占めるものですが、生涯を通じて何度も買い替えるというものではありません。また、実際にはつねに住宅購入を意識しているのではなく、まったく考えていない時期から何かをきっかけに次第に住宅購入を意識し始めるというように、初動心理としては緩やかにモチベーションが高まる商品です。ただ、実際に購入を検討し始めてからは積極的な情報収集を行い最終的な購入へとベクトルが急角度で進むことが一般的です。そして購入後は、住宅購入に関してのモチベーションは薄まり、住環境の向上やメンテナンスなどアフターケア的な関心へと移行すると思います。したがって、開発から販売までを担う当社としては、そのすべてのフェーズにおいて的確な情報・サービスの提供を行う必要があると考えています。

ライフフェーズに対応したサイト展開
■ライフフェーズに対応したサイト展開


たとえば住宅購入を具体的に考えていない層にも、潜在的顧客は多数いるわけです。その方々にいきなり物件情報を提供してもモチベーションを喚起できないでしょう。ですから、そういった層に対しては『イエラボ』によってふだんの暮らしをより豊かにする情報をご提供し、家のある暮らしへの興味を喚起することで住宅購入を意識する層へとステージアップしていただけると考えています。

WS 『イエラボ』は、潜在的顧客の掘り起こしの目的をもっているということですね。ほかのサイトはどういうフェーズに即したものなのでしょう。

末吉氏 実際に住宅購入を検討し始めた方に対しては、もちろん物件情報サイトとしての『三井の住まい』が中核的なサイトとして機能しています。ただ、ネット時代となり、消費者同士での幅広い情報交換が可能となった今では、物件情報だけでは不十分だと考えています。そこで『みんなの住まい』では、CtoCで消費者同士が積極的に情報交換できる場としてサービス展開をしています。

WS 購入モチベーションをより向上させるためのサイトとして『みんなの住まい』は位置づけられるわけですね。

末吉氏 そうです。『みんなの住まい』では、すでに住宅を購入したお客様と検討しているお客様がコミュニケーションしていただくことができます。住宅購入に関しては、販社からの情報提供に不足を感じたり、不安をもつことで、購入決定直前で検討段階へと立ち戻ってしまうケースも多いのですが、すでに購入した方からのリアルな情報がそれをフォローする可能性があります。また、一部の物件では購入後のお客様に対しては、購入者専用サイトをご用意し、購入時のオプションや内覧会のご案内、ローン組み替えといったサービスから、アフターケアまでを行っています。Webサイトでは、お客様のライフスタイルに対して全方位でリーチできる可能性があり、それを取りこぼすことなくアプローチするというのが現在のサイト運営の狙いといえます。


2 家に関する知の集積を図るコンテンツ展開が
企業ファンを生み出す


WS 『三井の住まい』は三井不動産レジデンシャル設立以前からあるサイトですね。

三井不動産レジデンシャル・コーポレートサイト(www.mfr.co.jp/)は、オフィシャルなコーポレートサイトとして企業情報を掲載するシンプルなつくり。関連サイトのトップという位置づけではないが、各関連サイトへのリンクはすべて掲載している
■三井不動産レジデンシャル・コーポレートサイト(www.mfr.co.jp/)は、オフィシャルなコーポレートサイトとして企業情報を掲載するシンプルなつくり。関連サイトのトップという位置づけではないが、各関連サイトへのリンクはすべて掲載している

本業の商品としての物件情報ポータルとして機能するのが『三井の住まい』(www.31sumai.com/)。150件以上の物件サイトを配下に置き、月間500万PVを稼ぎ出す中核的なサイトである。このサイトに限らないが、ログ解析は徹底的に行い、導線検証・改良なども随時行う。また、サイト内検索に入力されたキーワードも詳細に分析し、非マッチワードをつぶしていくという作業をつねに行っているという
■本業の商品としての物件情報ポータルとして機能するのが『三井の住まい』(www.31sumai.com/)。150件以上の物件サイトを配下に置き、月間500万PVを稼ぎ出す中核的なサイトである。このサイトに限らないが、ログ解析は徹底的に行い、導線検証・改良なども随時行う。また、サイト内検索に入力されたキーワードも詳細に分析し、非マッチワードをつぶしていくという作業をつねに行っているという


末吉氏 そうですね。もともと三井不動産(株)において1994年ごろにオープンしたもので、2003年7月にリボーンオープンいたしました。それまではチラシ的に物件情報を提供するだけのものでしたが、資料請求によって営業にまで誘導する機能を盛り込み、さらにCRM導入によってお客様との長期リレーションシップを図れる基盤としてリボーンさせました。

WS さらにユーザー1人ひとりへのサービスとして『三井パーソナルWebサービス』も提供していますね。

『三井の住まい』がオープンな物件情報サイトであるのに対して、ユーザー登録することによってパーソナル向け情報をリコメンドしてくれるのが『三井パーソナルWebサービス』(www.31personal.com/)
■『三井の住まい』がオープンな物件情報サイトであるのに対して、ユーザー登録することによってパーソナル向け情報をリコメンドしてくれるのが『三井パーソナルWebサービス』(www.31personal.com/


末吉氏 三井不動産(株)ではブランディングと物件情報のお知らせを目的としてライフスタイル情報などを提供する会員誌『こんにちは』を発行していました。すでに20年以上の歴史をもつ媒体ですが、アンケートをはじめとした読者からの反応が実に高く、それらを商品開発などにもフィードバックしてきたという経緯があります。この『こんにちは』で起きていたコミュニケーションをWebで展開できないだろうかというアイデアがありました。さらにWebであればより多くの人に、しかも1人ひとりに対してパーソナライズした情報を提供できます。

WS 『みんなの住まい』でも、やはり顧客1人ひとりの意見の集積を意識して、BtoCおよびCtoCコンテンツを展開されているのでしょうか。

コミュニティサイトとして位置づけられる『みんなの住まい』(www.37sumai.com/)は、BtoCコンテンツとして暮らし・ライフスタイル情報を提供するほか、CtoCとして消費者同士での情報交換も可能。特にすでに三井不動産レジデンシャルの物件購入者を“先輩”とした『住まいの先輩の声』はアクセス数の高いコンテンツだという。また、実質的には消費者からの不満や意見などをダイレクトに吸い上げるCtoB的な機能性も強い
■コミュニティサイトとして位置づけられる『みんなの住まい』(www.37sumai.com/)は、BtoCコンテンツとして暮らし・ライフスタイル情報を提供するほか、CtoCとして消費者同士での情報交換も可能。特にすでに三井不動産レジデンシャルの物件購入者を“先輩”とした『住まいの先輩の声』はアクセス数の高いコンテンツだという。また、実質的には消費者からの不満や意見などをダイレクトに吸い上げるCtoB的な機能性も強い


末吉氏 『みんなの住まい』に関しては、当初は「暮らしのアイデア」に関する情報提供やブランディングコンテンツが主軸になると考えていたのですが、実際公開してみると『住まいの先輩の声』などすでに住宅購入経験者とのコミュニケーションがもっともアクセス数が高い結果となりました。お客様はリアルな情報や共感を求めてくる方が多いことが数字としてもはっきり出ました。ですから、現在では情報交換を中心としたコミュニティ的な位置づけとなっています。

WS 一般消費者からの書き込みを許容するサイト公開には、企業としてはかなり勇気のいることだと思いますが、社内の懸念などはなかったのでしょうか。

末吉氏 もちろん、ネガティブな意見もありました。2004年当時は、企業ブログなども展開され始めたころですが、まだコメントやトラックバックを許可していないサイトも多かった。しかし、それではダメだと感じていました。不動産企業として自負をもって仕事をしていますし、業界のリダーシップを見せなければいけない。ネガティブな書き込みにおびえるよりは、お客様の意見を真摯に受け止め、それを仕事へとフィードバックすることのほうが価値があると考えています。同時に『こんにちは』の経験によって、社内にもお客様の意見を排除してはいけないという考え方が多くあったこともCtoCに踏み切った要因ですね。お客様の生の意見をいただき、それを真摯に受け止め、回答することで企業姿勢が評価され、結果的に業界全体のイメージ向上にもつながると考えています。もちろん、本業をきちんと押さえていることは社内の合意形成には不可欠です。その意味では、やはり『三井の住まい』が中核であり、ほかのサイトは最終的には本業へ集客するものという位置づけなのです。

WS 『イエラボ』では、放送作家の小山薫堂さんをメインパーソナリティとしたサイトですが、この狙いは?

放送作家であり、ラジオ番組のパーソナリティなども務める小山薫堂氏を編集長として、より豊かな暮らしに関する情報を掲載するWebマガジン的サイトが『楽しい暮らしの研究所-イエラボ』(ielab.jp/)。三井不動産レジデンシャルという看板はあえて露出せず、あくまでもオピニオンリーダーである小山氏が企画・セレクトした情報を提供。同世代の共感のもと、豊かな暮らしという切り口から住宅への関心を喚起することが狙いだ
■放送作家であり、ラジオ番組のパーソナリティなども務める小山薫堂氏を編集長として、より豊かな暮らしに関する情報を掲載するWebマガジン的サイトが『楽しい暮らしの研究所-イエラボ』(ielab.jp/)。三井不動産レジデンシャルという看板はあえて露出せず、あくまでもオピニオンリーダーである小山氏が企画・セレクトした情報を提供。同世代の共感のもと、豊かな暮らしという切り口から住宅への関心を喚起することが狙いだ


末吉氏 先ほどもいったように『イエラボ』は潜在的消費者層へのリーチを考えたサイトです。ですから、三井不動産レジデンシャルからの情報というよりも、よりターゲット層に近いオピニオンリーダー的な方に前面に出ていただこうと企画しました。『イエラボ』で提供する情報は、どちらかといえばライフスタイルに寄った情報および提案です。ユーザーはそこで住宅というよりも、暮らしを豊かにするアイデアや情報を得ることで、その先にある住宅を意識してもらえればいいと考えています。

WS 『イエラボ』からは、さらに『イエはてな』というリンクがありますが、こちらはどういった目的で開設されたのでしょう。

末吉氏 『イエラボ』はマガジン的に情報提供するサイトですが、さらに別のアプローチとしてユーザー同士で「家」を語る場があってもいいと思ったのです。それも、三井不動産レジデンシャルという看板で運営されるサイト上ではなく、あくまでも消費者同士が純粋に「家」に関して議論する場が。それで最適と思われたのが「はてな」さんでした。「はてなクエスチョン」を利用して家に関する議題を立て、「いわし」によって現在では10万件以上のご意見をお寄せいただきました。これは、Web2.0的にいえば、家をテーマとした集合知ですよね。そしてこの集合知は、われわれの業務においても非常に重要なものであると同時に、消費者の方々にとってもお役に立つものだと思います。それで、ここで集積したご意見を別の形で公開できないかと考え、12月11日にオープンしたのが『イエカキ』(rakugaki.iekaki.jp)です。単に集積したご意見をテキストとしてアーカイブするのではなく、ハイクリエイティブなコンテンツとして展開してもいいんじゃないかな?と考えて、ラクガキの西田幸司氏に依頼し、西田氏が考えるアウトプットとして表現していただいたものです。クリエイティブ的にも非常におもしろいアプローチとなっていますので、ぜひアクセスしてほしいですね。


3 Webを積極的に活用することで
生まれる効果


WS これだけ膨大かつ多様なサイトがあるわけですが、運営体制はどのようになっているのでしょう。

末吉氏 実はWeb担当のプロジェクトマネージャーとしては、私を含めて1.5人といったところです。細かな現場作業をこなすスタッフを含めれば8人ほどですね。

WS 実務的にはかなりたいへんな作業なのではないでしょうか。

末吉氏 そうですね。ただ、全体を把握するという必要性はあります。ブランディングも含めて統括して管理する必要性もです。たとえば『三井の住まい』には、その配下に150以上の物件サイトがリンクしていますが、それらすべてを私が所属している部署で制作しているわけではない。しかし、個人情報を取り扱うナイーブな面と、ユーザビリティやアクセシビリティなどの品質に関してはすべてわれわれでワークフロー管理しています。また、パートナーとして制作・運営協力をいただいている会社の方々も含めれば、およそ80人程度のスタッフ体制で運営しています。スタッフの皆さまの協力なしには運営できません。実は、パートナー企業のデザイナーさんなどには、当社の物件を実際に見に行くツアーを組んで参加してもらったりしています。肉眼で見ることによって、当社の業務をリアルに感じていただき、それがデザインなどの制作物にも反映されていると思うのです。

WS 業務効率化など、Web活用によって得られた社内効果に関してはいかがでしょう。

末吉氏 インターネット広告の急増もあって、実際、ここ3~4年で広告費はコストダウンできています。従来、折込広告などのチラシだけで行っていたことが、Webでカバーすることで、より費用対効果のある広告戦略が組めていると思います。また、インターネットの影響もあると思いますが、お客様側での不動産に対するリテラシーも向上しています。その意味でも、物件情報サイトだけでなく、『みんなの住まい』や『イエラボ』へのアクセス数も伸びていますし、従来よりも広範囲なお客様へのアプローチが可能となったと考えています。したがって、考えられる限りのネットを利用したアプローチは今後も拡充していくつもりです。たとえば、不動産業界には実際に現地までお客様に足を運んでいただくまで、詳細な間取り情報などは伝えないといった商習慣もあったりするのです。実際に対面して営業することが基本ですから。一方で、インターネットユーザーはそれこそネットですべての情報が得られることを当然と考えています。情報がなければ、それだけで企業としての信頼性を失う可能性もある。ですから、物件情報はすべて掲載するし、同時にそれをWebサイトまで見に来ていただくというのではなく、RSSで配信してお届けするのが当然と考えています。

WS 信頼性という意味でも、企業は情報公開を促進する必要があるということですね。

末吉氏 そうですね。最初にも述べましたが、自分たちの仕事に自負をもっているならば、情報公開やCtoC、さらにCtoBコミュニケーションは積極的に行うことが重要だと思います。ただ、当社が現在のようなWeb戦略を取れるのは、お客様とコミュニケーションを図る経験を積んできたという土壌があったからだといえます。実は社史情報を紹介する『Mitsuifudosan Residential story:spirits of the next』はお客様に対して企業の成り立ちや変遷をきちんとお見せしようというものであると同時に、社内へのインナーブランディングの意味合いも強いのです。当社の先輩たちがどんな仕事してきたのか。どんな事業を積み重ねてきたのか。それをわれわれ社員が知ることで会社を再認識し、社員としての自負をもつと同時に、企業DNAを次世代へと引き継いでいければ、と願っています。


役職、部署名、取材内容等は取材当時のものです。


本記事は『Web STRATEGY』2007年1-2 vol.7からの転載です
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