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バイラルクリエイター養成講座


入門編 第4回 バイラル効果のプラスとマイナス

「良いバイラル」と「悪いバイラル」といきなりいわれてもわからない方が多いはずだ。しかし、バイラルの手法を考えるにあたって、「良いバイラル」と「悪いバイラル」を知しって、バイラルのプランを考えるべきである。今回は、「良いバイラル」と「悪いバイラル」の例と、「良いバイラル」の手法について考えていきたい。
解説:バイラルエンジン


[プロフィール]

バイラルエンジン●東京都出身。バイラルディレクター。オフライン・ソーシャルネットワーキング、完全紹介制の覆面クリエイターユニット「バイラルエンジン」代表。カンヌ国際広告賞、Eyeblaster Creative Awards、宣伝会議賞、東京インタラクティブ・アド・アワードなど受賞。世の中のムーブメントは、すべて人が仕掛けている。


悪いバイラル

伝統的な広告手法の繰り返しでは、一向に宣伝効果があがらない。売上アップが見込めない。そうしたとき、どうしても起死回生、一発逆転が必要となったときこそ、バイラルの検討が必要になってくる。

バイラルは、広告のカンフル剤だ。うまく使えば期待以上の成果をもたらすが、使い方を誤るとブログ炎上を起こすことがある。ブログ炎上とは、企業や商品に対する批判や非難など、ネガティブな噂が加熱して、ブログやコミュニティを埋め尽くして、企業経営やサイト運営に支障を来たすケースである。ブログ円状の図が図14だ。

図14(第1回からの継続図版)

図14(第1回からの継続図版)
ある商品の話題で盛り上がっているところへ、商品関係者が一般人を装って「こっちの方がいいよ」などと割って入るケースもあるという。企業側の都合がいいように情報操作をしようとしたり、誘導しようとしたりしたときに、その行為が見抜かれて企業姿勢そのものを疑われるケースだ。

バイラルを仕掛けるときには、噂の操作をしようとするのは危険が大きい。商品の話題であれば、みんなが知らない事実を伝えること。それが、広まるかどうかは、ユーザーの反応に委ねたほうがいいだろう。必要と思う人は飛びつくし、さほど、盛り上がらないとしたら、世間の興味やニーズが無いだけのことだ。そこを無理やり押しすすめれば反感を買うだけである。それだけ、企業にとっては導入するかしないかの適切な判断が必要である。

良いバイラル

バイラルは、商品そのもの商品周辺のバイラルシーズ(噂の種)から始まる。商品周辺というのは、商品を取り巻く販売員や販売店舗のサービス、使用感や優越感など気分も含めてブランド体験として蓄積されていく。広告やホームページなどメディア接点も、生活者の体験のひとつとして蓄積されていく。

一方で、バイラルCMで感動やおもしろさを与えると、果敢な企業姿勢が伝わって革新性や勇気を買われるケースもある。また、商品モニターを実施して、その商品価値を、使ってみてはじめて発見をした人はその商品の良さを広めようと、インフルエンサーとなって噂を拡大させていく。バイラルのよい例を図版化したのが、図15だ。

図15
図15

ビニール傘で考える

生活者にとって同じような商品が山ほどあって、どれを選んでも同等の価値しか得られないならば、ブランドなんてどうだっていいかもしれない。たとえば、雨が降って、ビニール傘を購入するとしよう。そのとき、目に飛び込んでくるのは、色と価格くらいで、ビニール傘のブランド名はおろかメーカーさえ知らずに購入しているのが現実ではないだろうか。ましてや、日本製か海外製かさえ、把握していないのではないだろうか。

このような商品の場合、どう打破すればいいだろうか。もともと潜在的な付加価値が高い商品ならばブランド戦略は有効かもしれないが、コモディティである以上、ブランド力が購買時点の鍵にはなりにくい。このとき、重要なのは、人に伝えたくなる要素だ。

商品開発の視点で発想すると、たとえば、100色あるビニール傘というのはどうだろう。見たことがない色のビニール傘を買ったら、人に言うかもしれないし、「そんな色もあるのか?」と聞かれるかもしれない。「どこで買えるの?」など、興味の度合いに応じて、心理欲求は購買に近づいていくかもしれない。また、どんなどしゃぶりの日でも、傘をたたんだ瞬間の水はけがよく、電車に乗ってもビショビショにならない。あるいは、台風の日でも、丈夫で折れないビニール傘はどうだろう。図16のように考えてみると、理解できるはずだ。皆さんも良いバイラルを考える参考にしてもらいたい。

図16
図16

次回につづく
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