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バイラルクリエイター養成講座


上級編 第5回 バイラルキャンペーン

アイデアを考えるとき、コアターゲットは誰か? 製品の差別化ポイントはなにか? コンセプトは何か?といったことを意識しながら思考錯誤を行う。ところが、似たようなWeb、似たような広告キャンペーンが多い中、これらに埋もれないクリエイティブ表現を行うには、新たな視点からのアプローチが急務である。そこで、情報伝達の基本原則からあらためて考察していこう。

 

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解説:バイラルエンジン

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[プロフィール]

バイラルエンジン●東京都出身。バイラルディレクター。オフライン・ソーシャルネットワーキング、完全紹介制の覆面クリエイターユニット「バイラルエンジン」代表。カンヌ国際広告賞、Eyeblaster Creative Awards、宣伝会議賞、東京インタラクティブ・アド・アワードなど受賞。世の中のムーブメントは、すべて人が仕掛けている。

情報伝達の基本原則

 

情報伝達における基本原則として5W1Hがある。「いつ(When)」「どこ(Where)」「誰(Who)」「なぜ(Why)」「何を(What)」「どのように(How)」がそれである。広告視点からそれぞれを見ていくと、以下のような役割となる。

●マーケティング視点
What(何):広告メッセージで何を伝えるか?
Why(なぜ):なぜいうか。裏づけはなんなのか?

●メディア視点
When(いつ):広告を打つタイミングはいつか?
Who(誰):誰にいうか。ターゲットは誰か?

●プロモーション視点
Where(どこ):どこでいうか。店、家、外などどこか?
How(どのように):どうやって伝えるか?

●クリエイティブ視点
Who(誰):誰にいうか。ターゲットは誰か?
What(何):何をいうか。広告メッセージで何を伝えるか??

情報伝達における基本原則5W1H。これらのポイントを網羅しながら企画策定を行っていく

情報伝達における基本原則5W1H。これらのポイントを網羅しながら企画策定を行っていく

伝え方の新しさで勝負

クリエイティブ開発においては、とくに「誰(Who)に何を(What)言うか」が基本といわれ、広告の新しい切り口や視点を見つけ出すことが良し悪しの要にもなるといわれている。ところが、この原則が崩れだしている。


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理由は大きく2つあり、1つは生活者のメディア接触が変わってきていること。もう1つは、製品の差別化が難しい時代に入ってきていることである。このような動向は、日本よりも海外が顕著で、海外の最先端のクリエイティブを見ていると、広告作法の潮流が見えてくる。


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もはや、何をいうかよりどのようにいうかに、クリエイティブの重点が置かれるようになってきているのだ。伝えようとすることは競合ブランドと同じであっても、伝え方が違うことで独自の魅力を伝えることができるのだ。

海外事例:Rexona(レクソーナ)

 

デオドラント製品レクソーナが新CMをスタートさせた。朝寝坊した男が大慌てでレクソーナをシュシュッと体にスプレーして、家の窓からジャンプしてバスに飛び乗る。まさにスタントマンさながらだ。汗ひとつかかず汗の臭いさえ気にならないという内容だ。

爆走する車やバイクが横行する街を舞台に、激しいアクションを繰り広げながら出勤する男。最後は天井を突き破ってオフィスに到着するといったもの

爆走する車やバイクが横行する街を舞台に、激しいアクションを繰り広げながら出勤する男。最後は天井を突き破ってオフィスに到着するといったもの
Webは、誰が何の目的でスタートさせたかわからないステルス(正体不明)サイト「THE STUNTMAN(スタントマン)」。ここから、もうひとつのサイトへのリンクが用意されていて、キャンペーンサイトAction Cityにつながっている。猛スピードで横行する車など街全体が、過激なアクションであふれている。このAction Cityではじめてレクソーナの存在が明らかとなり、デオドラントキャンペーンの全貌がわかる仕掛けだ。

Rexonaが仕掛けた3つのWebサイト。Webを入り口にこのキャンペーンに接触する人は、「スタントマン」→「アクションシティ」→「実はデオドラント製品のキャンペーン」といった流れでキャンペーンに巻き込んでいく。

FLICKRには、モトクロスのハイライトショットの画像が多数公開されている

ステルスサイト手法

THE STUNTMANは「過激なバイラルゲームのWebサイトがある」と日本にもすぐにうわさが飛び火した。

ゲーム内のスタントマンに扮する男の首をつかんで放り投げると、ビル壁面に激しく体を打ち付けられたり、窓ガラスを割って建物の中へ放り投げられたりする。そのほか、車の天井に叩きつけられたり、道路に投げつけられたあげく、突然車が飛び出してきてひかれてしまったりとまったくひどい惨状である。

しかし、男はどんなに激しい目にあってもいたって平静で、まったく怪我をしないどころか、顔色を変えることなく汗ひとつかかない。「そこはゲームの世界だから」と思う人も多いかもしれないが、実は「汗をかかない。体臭がきにならない」点がポイントのデオドラントブランドのステルス(正体不明)サイトを活用したバイラル広告のひとつだったのだ。
THE STUNTMANは、生身の人間がまるでフィギュアのようにパッケージにおさめられているオープニング。これからなにが始まるのか期待をあおってくれる。ゲームはいたってシンプルで、制限時間内にスタントマンである男をつかんで、壁や窓や道路に投げ飛ばすゲームだ。マウス操作で男をつかんで投げつけるほか、「スペース」「p」「z」などキーによる裏技操作も隠されている
THE STUNTMAN(www.thestuntman.la)は、生身の人間がまるでフィギュアのようにパッケージにおさめられているオープニング。これからなにが始まるのか期待をあおってくれる。ゲームはいたってシンプルで、制限時間内にスタントマンである男をつかんで、壁や窓や道路に投げ飛ばすゲームだ。マウス操作で男をつかんで投げつけるほか、「スペース」「p」「z」などキーによる裏技操作も隠されている

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