エキスパート編 第5回 バイラルクリエイター | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-
【サイトリニューアル!】新サイトはこちらMdNについて

バイラルクリエイター養成講座


エキスパート編 第5回 バイラルクリエイター

バーバリアングループのベンジャミン・パーマー氏をご存知だろうか。バーガーキングのサブサービエントチキンと言えば、わかるだろうか。彼は、世界を代表するバイラルクリエイターの一人である。世界のバイラルクリエイティブが今後どう動いていくか、彼の動きから見出してみよう。

解説:バイラルエンジン


[プロフィール]

バイラルエンジン●東京都出身。バイラルディレクター。オフライン・ソーシャルネットワーキング、完全紹介制の覆面クリエイターユニット「バイラルエンジン」代表。カンヌ国際広告賞、Eyeblaster Creative Awards、宣伝会議賞、東京インタラクティブ・アド・アワードなど受賞。世の中のムーブメントは、すべて人が仕掛けている。

アドフェストの動向

アドフェスト2007(アジア太平洋広告祭)が3月14日~17日にタイ(パタヤ)で開催された。毎年、世界各国から1500人もの広告クリエイターたちが一堂に集結するアジア最大の国際広告賞といわれ、広告の潮流を示唆する存在にもなっている。今年10周年ということもあり、クリエイターはもちろん企業からの期待と注目も大いに高まった。ベントスローガンは「ターニング10」。広告の転換期を意味するメッセージが強く込められている。

数々の受賞作品の傾向から新たな時流を捉えると、その答えはひと言で言うなら「カンヌ的」。アジアでありながら、広告作法が欧米化した。「カンヌっぽい広告が、このアジアで高い評価を受けていいのか」「もっとアジアらしい広告を評価すべきじゃないか」などと嘆く諸氏もいた。賛否両論、意見はどうあれ、「広告の転換期」を迎えて大いに物議を呼んだ広告祭となった。
3月14日~17日に開催されたアドフェスト2007(アジア太平洋広告祭)セレモニー
3月14日~17日に開催されたアドフェスト2007(アジア太平洋広告祭)セレモニー

カンヌ的ってなんだ

「カンヌ的」という言葉を、前向きに受け止めるならば、アジア広告は既に伝統的なアジアを表現する広告というよりも、世界基準の広告水準に到達したといえそうだ。広告も、グローバルスタンダードの時代。地元国のためにつくった広告であっても、アイデアが良ければグローバル広告として通用する時代になったといえそうだ。

アドフェスト2007で注目すべきはベンジャミン・パーマー氏が審査員を務めるを含むサイバーロータス部門である。今年、このバイラルカテゴリーで金賞を受賞したのは、PEPSI NEXのNEX GAME。「もはやこれが広告か、エンターテイメントかといった議論は不要で、審査員5人とも全員一致で決まった」という。重要なポイントは、「生活者と商品をつなぐ存在になること」。どうもここに、新たな広告のヒントがあるようだ。

ベンジャミン・パーマー氏自身、バーガーキングのサブサービエントチキンを制作した人物でもあり、バイラルクリエイティブを生み出している張本人でもある。現在、彼は、キャノン砲をつかったBriggs’ Beerのプロジェクトとして展開をスタートさせている。
YouTubeで「Beer Cannon」と検索すると、すでに多数の動画が現れる。ビール缶をキャノン砲から発射して、次々に標的を破壊するというものだ。交響曲「ウイリアムテル」を使用しているところが、映像の魅力を大いに引き出している。
ビール缶をキャノン砲から発射して、次々に標的を破壊するBriggs’ Beerのバイラルムービー「Beer Cannon」
ビール缶をキャノン砲から発射して、次々に標的を破壊するBriggs’ Beerのバイラルムービー「Beer Cannon」

バイラルクリエイティブの次なるヒント

「Beer Cannon」。ここまで来ると、広告か、エンターテイメントか、遊びかさっぱりわからない。しかし、確実にうわさを広げていることは間違いない。人から人へ語られる中に、ビールがあることも間違いない。広告といえば広告なわけであるが、もはや教科書的な分類なんかどうでもいいということに気づかされる。

ブランドが、一方的に伝えたいメッセージを伝えようとする手法はもう古い。そんなものは誰も見たくも聞きたくもない。生活者が見たいものを見せてあげればいいだけだ。実際の仕事で、おもしろい提案が難しい現実だってある。そういうときには、「OK、この仕事は退屈だ。どうやっておもしろく刺激的にしようか?」と聞くことにしている、という言葉で印象的な言葉は、「To Be Honest(正直になろう)」だ。バイラルクリエイティブの次なるヒントは、ここにある。つまらないものをお世辞でもおもしろい、なんて言ってはいけない。

「Beer Cannon」を紹介するベンジャミン・パーマー氏

ムーブメントは、マーケティングでは想像し得ないパワーがある。SEOやユーザビリティといった従来のWebマーケティングの概念を吹き飛ばしてしまうこともある

バイラル講座は、今回で終了です。
次回の企画もお楽しみに!!
twitter facebook このエントリーをはてなブックマークに追加 RSS
【サイトリニューアル!】新サイトはこちらMdNについて

この連載のすべての記事

アクセスランキング

8.30-9.5

MdN BOOKS|デザインの本

Pick upコンテンツ

現在