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バイラルクリエイター養成講座


実践編 第5回 アクセルワードの活用

バイラルを加速させるテクニックとして、アクセルワードの活用がある。アクセルワードとは、バイラルに拍車をかける言葉のこと。その言葉を聞いた人が、行動に移そうというきっかけになるキーワードをいう。好奇心を刺激したり、損得勘定に訴えたりして、今すぐ行動しようという気にさせるものである。

 

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解説:バイラルエンジン

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[プロフィール]

バイラルエンジン●東京都出身。バイラルディレクター。オフライン・ソーシャルネットワーキング、完全紹介制の覆面クリエイターユニット「バイラルエンジン」代表。カンヌ国際広告賞、Eyeblaster Creative Awards、宣伝会議賞、東京インタラクティブ・アド・アワードなど受賞。世の中のムーブメントは、すべて人が仕掛けている。

アクセルワードってなんだ?

 

アクセルワードは、車のアクセルを踏み込んで一気に加速させるように、即効力のあるユーザーの行動を引き出すダイレクトマーケティングにおけるコピーラインティング手法だ。

「今すぐお店に行こう」「今すぐWEBに行ってみよう」という気持ちにさせるばかりでなく、知らないと損する感覚を刺激して「すぐに友達に教えてあげよう」という気持ちにさせることがバイラルを加速するポイントになっている。

アクセルワード有無の対比
アクセルワードの有無での対比

アクセルワードの種類

 

レトリックが美しすぎたり、上から見下ろすような言い方だったり、ウソっぽい言葉はバイラルではまったく通用しない。だから、CMやポスターで使用されているからといって、安易に広告コピーをそのままホームページのデザインとして置いてもまったくなんの情緒も伝わらず、伝えるべきメッセージも伝わりにくい場合も多々ある。

それよりも、自然に口をついて出そうな言葉のほうが浸透力をもっている。ダジャレや言葉遊びをするよりも、自然体で「そうそう!」という感覚に訴えるとよさそうだ。アクセルワードは大きく分けて3種類ある。それぞれみてみよう。

アクセルワードの3分類
アクセルワードの3分類
(1)損得勘定に訴えるアクセルワード
そのうわさを知ることで、具体的になにか得をしそうなイメージがすぐに湧く言葉をいう。たとえば、お得、割引、今だけ、限定、先着、プレゼント、特典、特別、プレミアムなど。これらの言葉を添えるか、添えないかでレスポンスが大きく変わってくる。「○○○キャンペーン実施中」とただ言うよりも、「先着100名様にプレゼント」「プレミアムチケット進呈」「今だけ5割引」などキーワードを付け足すことで、勢いが増した感じになってくる。

(2)パーソナルにフォーカスするアクセルワード
「お客さまに、特別にこちらを差し上げます。よろしかったらどうぞ」と言われて、怒る人はいないだろう。たとえば、今月お誕生月の方だけに特別な情報をお知らせするなど、あなただけ、ここだけの話、ある特定条件に該当する人だけといったケースがある。

(3)好奇心を刺激するアクセルワード
たとえば、世界初、日本初、ハリウッドが絶賛、ギネスブックに挑戦、業界ナンバーワン、大人気など。とくにここ最近では、CMからWebへ誘導する「続きはWebで」や、商品に貼られたキャンペーンシールからWebへ誘導するシリアル番号のパスワードの活用などがある。

アクセルワードの露出場所

バナー広告、テキスト広告、リスティング広告、メールマガジン、テレビCM、ポスター、雑誌広告、新聞広告、ニュースリリースなど、生活者との第一接点となる告知物にこれらの言葉を散りばめるとよいだろう。
ただ一方で、アクセルワードを露出させる場所は、店頭またはホームページが望ましいと思います。

しかし、自分だけの楽しみに大事にしたい場合や、広まりすぎると希少価値が低下したりしそうになるとブレーキがかかってしまうので配慮が必要だ。今すぐ友達に教えたくなる気持ちを、どうくすぐるかがポイントだ。

事例研究"LIVE STRONG"

ガン生存者としてスポーツ界で活躍するランス・アームストロング氏の活動に注目して、ナイキは2004年に"LIVE STRONG"キャンペーンを開始した。1ドルで販売されたリストバンドにナイキのロゴはなく、"LIVE STRONG"(強く生きる)の文字だけが刻まれている。その収益は、ガン研究を支援する基金へと寄付された。

今すぐ友達に教えたくなる気持ちを上手に活用した

今すぐ友達に教えたくなる気持ちを上手に活用した"LIVE STRONG"
海外では、こうした社会貢献をサポートする企業の製品を支持し、より購入したいという欲求が高まる傾向があるといわれている。日本では、どこまでその現象が当てはまるかわからないが、これまでスポーツメーカーに強い執着の無かった筆者自身も、ナイキのこの活動を知って、大いに心が傾倒するようになった。このときのアクセルワードは、「実は、ナイキ」である。「実は…」とか「ここだけの話だけど…」といった言葉こそ、バイラルに拍車を駆けるアクセルワードとして強い力をもっている。



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