バイラルクリエイター養成講座
入門編 第5回 バイラルのケーススタディ
[プロフィール] バイラルエンジン●東京都出身。バイラルディレクター。オフライン・ソーシャルネットワーキング、完全紹介制の覆面クリエイターユニット「バイラルエンジン」代表。カンヌ国際広告賞、Eyeblaster Creative Awards、宣伝会議賞、東京インタラクティブ・アド・アワードなど受賞。世の中のムーブメントは、すべて人が仕掛けている。 |
自然発生するバイラル
歌舞伎俳優・九代目、中村屋華右衛門の「結婚式スピーチ」は、笑わずに最後まで見続けるのは困難なほど大爆笑できるバイラルムービーだ。あまりのアクセス集中によりサーバがダウンするほどの騒ぎを引き起こした。クイズに正解しないと下車できないというナンセンスなFlashムービー「山手線チャレンジングクイズ」も根強い人気だ。
ある歌手が還暦を迎える日までをカウントダウンするブログパーツ「ヒデキ還暦」などもブログを中心に話題が広がっている。秋葉原を舞台に、カラフルなヒーロー連隊が、地味なビジネスマンを見つけては取り囲む「NikeCosplay」など、バイラルムービーでハートをギュッとわしづかみにするのがうまい。そのサンプルが図17だ。
海外のバイラル事例「STILL FREE」
マス広告では到底不可能なコスト効率で、計算できない広告効果を生み出してくれる。だからこそ、バイラルムービーに企業の視線が熱く注がれているのだ。
国内事例「ダイドーD-1」
ちょうど時期を同じくして、「D-1プレゼンツ SHINJO引退記念キャンペーン」が展開された。引退報道と広告出演とが重なって、D-1コーヒーのPR効果は一気にヒートアップした。店頭では、特別なパッケージデザインのSHINJO引退記念缶が販売された。そして、ブログやSNSなどCGMへと話題が広がっていった。ところが、驚くのはそれだけではなかった。
図19のように、Webサイト上にバイラルムービー「新庄さんはまだですか?」をスタートさせたのだ。それは、You Tubeでも流され、個人ブログを中心に急激にブログへとバイラルが広まっていった。バイラルムービーには、記者会見場で新庄さんの到着を待つ、PRスタッフが登場する。新庄さんの到着を待ちわびる記者たちに、詰め寄られて困り果てる姿がなんともリアルである。
生活者を上から見下ろすような企業メッセージではなく、お客様と同じような目線での新たなコミュニケーションが始まっている。バイラル活用は、今後のブランド戦略に大きな効果を発揮しそうだ。