エキスパート編 第1回 クリエイティブマインド | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-
【サイトリニューアル!】新サイトはこちらMdNについて

バイラルクリエイター養成講座


エキスパート編 第1回 クリエイティブマインド

事件か! エンターテイメントか! 個人の仕業か! 企業の広告か! そのギリギリのラインで制作され広まっているのが、バイラルクリエイティブである。一過性のWebマーケティングの流行語ではなく、新たな広告手法のひとつとしてどこまで根付くか、企業や広告会社から期待が熱い。

解説:バイラルエンジン


[プロフィール]

バイラルエンジン●東京都出身。バイラルディレクター。オフライン・ソーシャルネットワーキング、完全紹介制の覆面クリエイターユニット「バイラルエンジン」代表。カンヌ国際広告賞、Eyeblaster Creative Awards、宣伝会議賞、東京インタラクティブ・アド・アワードなど受賞。世の中のムーブメントは、すべて人が仕掛けている。

バイラルしないCM

広告がやばい。記憶に残らないCMが増えている。CMの最後に、検索文字を入力してクリック、カチャッ!という、Webサイトへ誘導するパターンも増えた。ますますどれも同じ見える。広告としての印象が薄い。本来であれば、テレビCMそのものがバイラルすればいいわけで、わざわざバイラルCMなんてコトバはなくてもいいのかもしれない。

裏を返すと、バイラルしないようなつまらないCMが増えているにほかならない。その原因はいったいなんだろう。メディアが増大したこと? 規制に縛られて自由な表現がしにくいこと? 企業サイドの都合や顔色を伺ったような作品が増えていること? 突飛な表現をすると誇大広告として訴えられてしまうこと? さまざまな要因があるように語られているが、言い訳はどうでもいい。クリエイティブマインドの低下が背景にあるだけじゃないのだろうか。

クリエイティブパワー

バイラルCMの中にはゴミのような作品も山ほどある。しかし、人から人へ伝染するように広まっている作品も出始めている。テレビCMのように、たまたまテレビを見ている人に一方的に押し付けるわけではなく、生活者が積極的に人に伝え、わざわざそれを見に来るのだ。それだけに、これまでの広告とはクリエイティブパワーがまったくちがう。

バイラルの原動力となるのは、生活者の心をつかむ7つのツボある。これらのツボのあわせ技で、見事にバイラルを成功させているケーススタディーが増えている。
(1)笑いのツボ。笑えるものやおもしろいものに人は弱い。(2)恥辱のツボ。人に見られたら恥ずかしい姿を人は見たがる。(3)事実のツボ。リアリティのあるマジさ加減が人を呼ぶ。(4)エロのツボ。異性の肉体美が欲望を刺激する。(5)ホラーのツボ。怖いもの見たさの感情に訴える。(6)感動のツボ。美しさや愛らしさが人の心に響く。(7)スケールのツボ。壮大さや卓越した能力が人の心をつかまえる
(1)笑いのツボ。笑えるものやおもしろいものに人は弱い。(2)恥辱のツボ。人に見られたら恥ずかしい姿を人は見たがる。(3)事実のツボ。リアリティのあるマジさ加減が人を呼ぶ。(4)エロのツボ。異性の肉体美が欲望を刺激する。(5)ホラーのツボ。怖いもの見たさの感情に訴える。(6)感動のツボ。美しさや愛らしさが人の心に響く。(7)スケールのツボ。壮大さや卓越した能力が人の心をつかまえる
これまでの広告にあふれる作られた世界や嘘の表現に生活者はうんざりしている。このため7つのツボの中でも「事実のツボ」におけるマジさ加減はバイラルクリエイティブの重要なツボのひとつといえる。

クリエイティブ・ボーダーレス

新しいパソコンが欲しいときは、パソコンを選ぶための判断材料となるネタが欲しい。映画を見に行こうと思ったら、最新映画のネタが欲しい。生活者にとって、広告と情報の境界線はもはやいらない。受け手からすればどっちだっていいのだ。

たとえば、ただ退屈なときは「退屈ならテレビでも見てれば?」、「退屈なら映画でも見に行けば?」なんて時代は終わった。あらゆるものに慣れすぎてしまい、飽き足らなくなっている。だから、昔だったらおもしろかったことも、今では驚きも少なくなっている。それよりも本当か嘘かわからない狭間のネタに、心をわくわくさせるのだ。

無条件に「いい!」「おもしろい!」と思えるものや、「マジで? それ本当?」と感じるものに踊り出す。心と感覚に響くことだったら、情報でも広告でもなんだっていい。欲しいのはネタだ。ネタが人を動かし、新たなコミュニケーションをつないでいく。コミュニケーションを連鎖させる実態はここにある。いまだに決まったメディア枠の中だけで広告を作ろうとしているクリエイターは気の毒だ。

バイラルクリエイティブは、バイラルCMに限ったことではない。大事なのはコミュニケーションをどう生むかだ。今のあらゆる広告に見失われがちになっているクリエイティブの魂にほかならない。だから、バイラルポスター、バイラルラジオ、バイラル雑誌、バイラルゲーム、バイラルカレンダーだってなんだっていい。クリエイティブは今、メディアに縛られないボーダーレスの方向へと動き始めている。

今までの広告クリエイターは、決まったメディアの枠内で広告制作をすればよかった。しかし、生活者からすると広告でも情報でもどっちでもいい。このため、これからのクリエイターは、広告と情報の境界線を取り払ってコミュニケーションをどうクリエイティブするか考える必要がある

今までの広告クリエイターは、決まったメディアの枠内で広告制作をすればよかった。しかし、生活者からすると広告でも情報でもどっちでもいい。このため、これからのクリエイターは、広告と情報の境界線を取り払ってコミュニケーションをどうクリエイティブするか考える必要がある

次回につづく
twitter facebook このエントリーをはてなブックマークに追加 RSS
【サイトリニューアル!】新サイトはこちらMdNについて

この連載のすべての記事

アクセスランキング

8.30-9.5

MdN BOOKS|デザインの本

Pick upコンテンツ

現在