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バイラルクリエイター養成講座


実践編 第1回 バイラルシーズの発見

バイラルクリエイティブにあたって、まず大切なのは攻略すべき製品周辺からバイラルシーズ(うわさのタネ)を発見することにある。バイラルシーズの良し悪しが、そのプロジェクトの成功を左右するといっても過言ではない。それでは、実際にどうやってそのバイラルシーズを見つければいいか。バイラルシーズ発見のポイントを探っていこう。

 

解説:バイラルエンジン

 

 

 

 

 

 

 


[プロフィール]

バイラルエンジン●東京都出身。バイラルディレクター。オフライン・ソーシャルネットワーキング、完全紹介制の覆面クリエイターユニット「バイラルエンジン」代表。カンヌ国際広告賞、Eyeblaster Creative Awards、宣伝会議賞、東京インタラクティブ・アド・アワードなど受賞。世の中のムーブメントは、すべて人が仕掛けている。


 

 

 

うわさのタネはどこ?

 

広告づくりのセオリーでは、製品のコンセプトや競合ブランドとの差別化ポイントをよく知ることからはじめがちだが、そこからはじめると企業側の意識に偏重しがちになるので、できるだけ予備知識は少ないほうがよい。

バイラルを企画するときには、基点を製品に置くのではなく、人に置くこと。このため、製品コンセプトや製品仕様書を読み込むことよりも、生活者の視点に立って製品ブランド周辺を自然な目でよく観察することが大切である。
バイラルシーズづくりのためのチェックポイントは、3つある。ネーミング、アイキャッチ、フォルムだ。さっそく、そのそれぞれのポイントを見ていこう
バイラルシーズづくりのためのチェックポイントは、3つある。ネーミング、アイキャッチ、フォルムだ。さっそく、そのそれぞれのポイントを見ていこう

おもしろいネーミングをつけよう

 

基本中の基本は、製品名、サイト名、キャンペーンタイトルがおもしろいこと。これらのネーミングに、ひねりやおもしろさがあるとそれだけでもバイラルシーズになる。そもそも、なぜそのようなネーミングになったのか、「おお、なるほど!」と思えるアイデアや、笑いのエッセンスが潜んでいると人に伝えたくなる。

ここで注意しなければならないのは、口頭で伝えやすいことと、文字にしたときに書き間違いにくいこと。せっかくバイラルシーズがあっても、このせいでバイラルの勢力を弱めてしまったり、バイラルが製品とは関係のない方向へ形を変えてしまったりしないようにあらかじめ注意しておきたい。ポイントは、ネーミングが誤認することなく読める、言える、書けること。
ネーミングが口頭で伝えやすいことと、文字にしたときに書き間違いにくいこと。クチコミもカキコミもイコールであることが望ましい
ネーミングが口頭で伝えやすいことと、文字にしたときに書き間違いにくいこと。クチコミもカキコミもイコールであることが望ましい

 

アイキャッチにドラマがあるか?

目を奪われる要素はなにか? キャラクターや有名なタレントがすでに広告で起用される場合もある。しかし、ここでは製品そのものに着目して、視覚的に心ひかれる要素を探ってみてほしい。


たとえば、「クールミントガム」を見てみよう。パッケージの側面を見ると、5匹のペンギンが横一列に並んでいる。みんな同じポーズかと思いきや、前から2番目のペンギンだけが、手をあげているではないか。なんでこのペンギンだけ手をあげているのか、理由はわからなくてもいい。だけど、そこからなにか物語が生まれそうだったり、もともとなんらかの逸話がありそうだったり感じさせることが大事である。

実は2番目のペンギンがなにかを見つけて、列の仲間に知らせようとした瞬間とも読み取れる。現状ではバイラルシーズをもった段階であるが、そんな前後の物語を展開したら、バイラルがさらにふくらむかもしれない

実は2番目のペンギンがなにかを見つけて、列の仲間に知らせようとした瞬間とも読み取れる。現状ではバイラルシーズをもった段階であるが、そんな前後の物語を展開したら、バイラルがさらにふくらむかもしれない。

フォルムにワクワクを見つけよう

製品そのものの形や、パッケージに特徴があるかどうか。そのフォルムが言葉で表現しやすいものであるといい。せっかくいいフォルムをしていても、言葉で言い表しにくいものはバイラルしにくい。目立つフォルムならいいかというとそうじゃない。大事なのは、フォルムからワクワク感が伝わってくるかどうかだ。

 

たとえば、でこぼこしているペットボトルのドリンクがあったとしよう。それだけじゃ、いまひとつわざわざ人に伝えるほどの価値にはならない。なにかそのフォルムに、ワクワクするような奥行きが潜んでいたり、遊び心があったりするといい。

 

どうせだったら、でこぼこしているだけじゃなくて、ブロックみたいな形のペットボトルのほうがおもしろい。

底面にくぼみがあって、ペットボトルのボトルキャップ部分がドッキングできるようになっている。ペットボトルの側面にもくぼみがあって、もう一本ドッキングさせられる

底面にくぼみがあって、ペットボトルのボトルキャップ部分がドッキングできるようになっている。ペットボトルの側面にもくぼみがあって、もう一本ドッキングさせられる
ブロックみたいにどんどんドッキングさせると、ロボットになったり、飛行機になったりいろんなものになる。もしも、そんな容器のドリンクを開発できたら、さらにバイラルが大きくなるにちがいない。人の心を弾ませるエッセンスが、バイラルを生みだすきっかけになるのだ。


次回につづく
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