3DCGソフト
新機能も装備した待望の大型バージョンアップ
Shade 9 シリーズ
イーフロンティア

Shadeシリーズの開発は、米国と日本にまたがっているものの数少ない国産3DCGソフトといえるだろう。ここしばらく、あまり目立った改良は無かったが、今回のShade 9は待望の大型バージョンアップ。プロフェッショナル、スタンダード、ベーシックの3製品がリリースされた。パワーアップした新機能に着眼して、Shade9の世界をみていこう。
インターフェイスのカスタマイズが自由自在
今回の改良点でまず目につくのはレンダリング速度の改善である。Shadeは伝統的に「遅い」とされてきたが、それは静止画品質が良いためであって、単純に速度だけ比較することはできない。だがビギナーレベルでは単純に速度に対する不満もあろうし、3DCGの製作はテストレンダリングの繰り返しであり、作業効率はレンダリング時間に大きく左右される。プロでも、いやプロの現場だからこそ品質を犠牲にしても速度が要求される場面は多々ある。
そういう意味で、高速化は最も求められていたことと言えるが、Shade 9ではレイトレーシングで速ければ2倍、なんと“イラディアンス・キャッシュ”という手法を導入した“パストレーシング”はイメージによっては8~10倍!速くなったという。
イラディアンス・キャッシュには速いぶん品質が落ちる欠点もあるが、少なくとも作業途中の段階で使えば大幅に作業時間を短縮できるはずだ。
レンダリング速度が劇的に高速化された。従来とは違い、イメージウインドウで解像度が設定できるなど、イメージウインドウにも改良が加わっている
デジカメ画像を活用する数々の機能
特筆すべき新機能が、新たに搭載された"ヘアサロン"と"パーティクルフィジクス"である。気になる"ヘアサロン"だが、その名の通り美容室感覚で毛髪を作れる実に簡単なプラグインである。ベースとなるガイドヘアを生やし、ハサミで刈ったりドライヤーで整えるようにして、感覚的なマウス操作だけで誰でも簡単に毛髪が作れる。技術的には、ポリゴンにテクスチャを貼った、いわゆる「短冊ヘア」を作り出す機能なので、表現力の限界はあるが、簡単さと表現力のバランスを考えれば素晴らしく優秀と言える。
ヘアサロンは、クリックでガイドヘアを生やし(青い部分)、生やした毛をマウスドラッグでカットしたり整えていく感覚で、簡単に毛髪を作りだせる

ヘアサロンで生成された毛髪。どこまで使えると思うかはユーザー次第だが、パーソナルレベルで購入できる価格で、なおかつ簡単さと柔軟性/表現力のバランスにおいて満足できる毛髪プラグインというのはいまだにどの3Dソフトにも少ない。それだけに、簡単にこれだけのものが作れるのは優秀である
“パーティクルフィジクス”は、これまた簡単に煙や雲などのパーティクルを発生させるプラグインだ。発生源を置き、簡単な設定だけでパーティクルを作成できる。このパーティクル機能は設定こそ簡単だが、煙などを表現できるだけではなく、巻き起こる風によって動きを変えたり、衝突の判定や引力などの物理演算もしっかりできる簡単ながら実用的なものだ。

パーティクルフィジクスは非常に簡単な設定で煙や雲、物理演算を作り出せる。風を起こすのも扇風機を置くような感覚で簡単にできる
なお、従来搭載されていた"毛生え"プラグインの"マリモ"は難解だという理由で廃止された。また、パーティクルフィジクスとヘアサロンはBasicには搭載されていないので、ヘアサロンを使ってフィギュアを作りたければ最低でもstandardを購入する必要がある。
初心者からベテランまでのニーズに応えた製品
廉価版の発売や一時の3DCGブームで、初心者層にも強くアピールするようになった現在のShadeは、3Dソフトの中では異質な存在と言える。通常、これほどハイレベルな3Dソフトは明確に上級ユーザー層をターゲットとするため難しくても許される。だが、現在のShadeは、初心者層にメジャーになりすぎたため、プロレベルの機能を持つのにビギナーレベルの要求も満たさねばならないという無理のある立場にいる。
柔軟性を限定しても扱い易さを優先したパーティクルフィジクスやヘアサロンの搭載などに代表される今回のバージョンアップは、闇雲に高機能を目指すのではなく、むしろそのあたりのバランスを消化しようとしているバージョンアップと言えるだろう。
初心者や中級者側に気をつかっている印象を受けるものの、決してベテランユーザーの反発を買うような安易な改良ではない。より扱いやすくなったShade 9は、ビギナーからプロまでユーザーレベルを問わず、クリエイターのビジョンを表現するパワフルなツールとなるだろう。
(藤田伸二)
■価格 通常版13,980円(税込)
■動作環境
対応OS:Windows 2000 、 Windows XP(Home、Professional、Media Edition、Tablet PC Edition、64bit Edition)
対応CPU:Pentium III 466Mhz以上
メモリ:256MB以上
ハードディスク空き容量:500MB以上
ディスプレイ:1024×768以上の解像度
その他:CD-ROMドライブ
■問い合わせ先
コーレル
03-5977-3793