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ドローソフト

待ち望まれていたいくつもの進化で洗練された使用感

Adobe Illustrator CS4日本語版
アドビシステムズ

今回のバージョンアップで印象的なのは、Illustratorで複数のアートボードが扱えるようになったことだろう。そのほかにもグラデーションやアピアランスなど従来の機能がとても使いやすく改良されており、なおかつ動作が軽快になっているのも嬉しい。


Adobe Illustrator CS4日本語版のパッケージ


やっと実現した複数のアートボード


Illustratorのアートボードは1つのドキュメントに1つだけ、というのは常識であった。しかし、CS4からは1つのドキュメント上に自由なサイズのアートボードを最大100個まで作成できるようになったのだ。驚きとともに、「やっとか」という感もあるのが正直なところ。ひとつのプロジェクトのツールを制作する際に、流用部分の複製などの作業が効率的になるばかりでなく、登録したスウォッチやシンボルをいちいち読み込む手間が省ける。アートボード同士は重ねたり積み上げたり、アートボードと内容を一緒に移動・複製するといった使い方もできる。アートボードは個別にも、全体を一括してでも保存・プリント可能だ。PDFへの書き出しは選択した範囲のみ、またはすべてのアートボードを複数ページのファイルとして行える。ただし、ノンブルやマスターページなどページレイアウト用の機能を備えているわけではなく、どちらかといえばCS3の「トリムエリアツール」を継承するような機能で、あくまでもページレイアウトソフトとは一線を画すもののようだ。


自由な位置・サイズにアートボードを作成可能。重ねたり積み上げたりできるので、アートワークの一部だけを流用したい、といった用途にも使える


描画関連の機能が充実

グラデーションの機能がいくつかの点で大幅に進化している。まず、不透明度が設定できるようになった点だ。カラーからだんだんと透明になるようなグラデーションが設定できるようになった。さらに、グラデーションツールを選択すると、選択中のグラデーションオブジェクトにグラデーションバーが表示される。このバーではグラデーションの角度と長さをコントロールできるばかりでなく、分岐点をダブルクリックしてカラーと不透明度の設定が行えるという優れものだ。グラデーションの操作が、ほとんどパネルを介さずに自由に行えるようになった。また、円形グラデーションを楕円形にも変形可能だ。



グラデーションツールを選択すると表示されるグラデーションバーでは、角度・カラー・不透明度をコントロールできる。楕円形のグラデーションも扱えるようになったのは画期的だ
新しい描画用ツールとして注目なのは「塗りブラシツール」だ。ブラシツールのようにドラッグすると、パスで囲まれた塗りのオブジェクトが作成される。塗りの設定が同じであれば、重ね描きしたパスが結合してひとつのオブジェクトになる。CS3で登場した消しゴムツールと併せて使えば、直感的な操作で図形の編集が行える。タブレットにも対応しており、イラスト描画には欠かせないツールとなりそうだ。



塗りブラシツールでドラッグすると、書いた部分がパスで囲まれたオブジェクトになる。同じカラーとアピアランスのまま重ね描きするとパスは結合する。タブレットを使えば、より直感的にイラストを描くことができそうだ

アピアランスパネルで設定をコントロール

線や塗り、透明・効果などを統括するアピアランスパネルの性能が大きく向上した。アピアランスの表示・非表示が切り替えられるようになったばかりでなく、アピアランスパネル上でパネル設定を変更できるようになったのだ。たとえば、従来であれば「不透明度」アピアランスを選択したあと、透明パネルで設定を行う必要があったが、CS4ではアピアランスパネルの「不透明度」の項目をクリックするとそこにスライダが表示されて設定を変更できるのだ。アピアランスのコントロールが大幅に簡単になった。



使いやすくなったアピアランスパネル。目のアイコンをクリックしてアピアランスの表示・非表示が切り替えられるほか、各項目の設定も行える
いくつかのアピアランスがセットになったグラフィックスタイルも使いやすくなった。複数スタイルを重ねて適用できるようになったほか、適用する前に大きめのサムネールで結果を確認可能となっている。サムネールは長方形か文字かを選択できるので、ロゴなどに適用したい場合の目安になる。グラフィックスタイルの中には実際の適用に多少時間のかかるものもあるので、サムネールで確認できるのはありがたい。



グラフィックスタイルパネルでcontrolキーを押しながらクリックすると、大きいサムネールが表示されるほか、プレビューをテキストの表示にできる。またoptionキーを押しながらクリックで、グラフィックスタイルを重ねて適用可能になった

新しい作業環境

Illustrator CS4を起動し、新たな書類で作業を始めようとすると「新規ドキュメント」ダイアログが表示される。このダイアログの内容が旧バージョンとはだいぶく様変わりしている。これは、「複数のアートボード」や「裁ち落とし」の設定項目が増えたせいだ。ドキュメントを作成すると、今度はコントロールパネルの上に新たに追加された「アプリケーションバー」が目につく。PhotoshopやInDesignなどのファミリー製品と共通で導入されたこのバーからは、Bridgeやワークスペースへのアクセス、またウインドウの並べ方の変更などが行える。複数のウインドウは、タブ切り替え表示や、レイアウトして整然並べるNアップ表示が可能になった。


「新規ドキュメント」ダイアログではアートボードの数や並べ方と、裁ち落としの設定ができる

コントロールバーの上にはアプリケーションバー。画面は3アップ表示にしたところ

ミスのない作業のための様々な機能

作業者のうっかりミスを未然に防ぐ便利な新機能や強化も満載だ。まず、InDesignには既に備わっていた「分版プレビューパネル」が、Illustratorにも登場した。アートワークの色分解出力の状態を確認できる。不要な特色や、オーバープリントのチェックに使える。


新登場の分版プレビューパネル。不要な特色や、オーバープリントの確認ができる。CMYKモードでのみ使用可能だ

おなじみのスマートガイドには、ポイントの座標・作成中の図形の大きさなど、様々な情報がポップアップ表示されるようになった。また図形同士やアートボードへの整列・スナップが容易にできるようになった。視覚的に従来より目立たないよう改善されているので、様々な情報が表示されるわりに煩わしさはなく、整列パネルや変形パネルにアクセスしなくても正確な操作ができてとても使いやすい印象だ。



スマートガイドは、整列する位置や、描画中のオブジェクトのサイズのほか、変形時には角度や%が表示されるようになった。表示がひかえめなので邪魔にはならない。表示内容のON/OFFは環境設定で設定できる

クリッピングマスクの機能は、クリップされた範囲だけが表示・選択できるようになった。マスクで隠れている部分をうっかり選択してしまうといった誤操作は大変イライラするものであったが、CS4からはそのようなストレスとも決別できそうだ。前バージョンから登場の編集モードが改善されていて、クリッピングパスやマスクされたオブジェクトの編集がしやすくなっている。





クリッピングマスクを選択ツールで選択するとクリップ部分のみ表示される(上)。ダブルクリックで編集モードにするとマスクされたオブジェクトが選択できる(中)。さらにダブルクリックすると、マスクされたオブジェクトだけがアクティブに(下)。そのほかコントロールバーの「クリッピングパスを編集」「オブジェクトを編集」の各ボタンでも編集可能だ
編集モードは、CS3ではグループやサブレイヤーを分離して編集する機能という感が強かったが、今バージョンでは、パスひとつだけでも分離することができ るようになっており、前述したクリッピングマスクのほかメッシュオブジェクトのメッシュの編集などに大変便利だ。ほかの図形の背面に隠れて一部分しか見え ていないようなオブジェクトを一時的にアクティブにして編集するといった使い方もできる。そのほかキーオブジェクトの扱いが容易になった整列の機能や、い ままで選択メニューの「共通」にあったコマンド群がコントロールパネルの「共通オブジェクトを選択」ボタンとして配置されるなど、細やかな部分にも改良が 行き届いている。
新しくスタートしたサービスのAdobe Kulerは、ネット上のコミュニティで配色を共有するというもの。自分で作成した配色を公開することも可能だ。IllustratorやInDesignなどの製品には標準で組み込まれており、CS4製品がなくてもWebサイト上からアクセスしたり、Kulerデスクトップというソフトをダウンロードして使用できる。



オンラインで提供される新しいサービスのAdobe Kulerは、コミュニティで配色の共有ができる。Kulerパネルですぐにアクセスでき、スウォッチパネルに直接ダウンロード可能だ

今回のバージョンアップではユーザーが待ち望んでいた納得の新機能や強化が印象的で、全体にすっきりと洗練された使用感となっている。

(山崎澄子)

■価格 Adobe Illustrator CS4 日本語版
84,000円(通常版)
26,250円(※1アップグレード版)
26,250円(※2 Macromedia Freehandからの特別提供版)
29,400円(アカデミック版)
※1アップグレード版の対象ユーザは、Adobe Illustrator(CS/CS2/CS3)
※2対象製品:Macromedia Freehand(9/10/MX)

■Macintosh版
CPU:PowerPC G4、G5、またはインテルプロセッサ
OS:Mac OS X v10.4.11-10.5.4日本語版
メモリ:512MB 以上の RAM(1GB 以上を推奨)
HDD:2GB 以上のHDD空き容量(インストール時には追加の空き容量が必要)(大文字と小文字が区別されるファイルシステムを使用している場合や、フラッシュメモリを利用したストレージデバイス上にはインストール不可)

■Windows版
CPU:2GHz以上のプロセッサを搭載したパーソナルコンピュータ
OS:Microsoft Windows XP(Service Pack 2)日本語版(Service Pack 3 を推奨)、またはWindows Vista Home Premium、Business、Ultimate Enterprise(Service Pack 1) 日本語版(32bit Windows XPおよびWindows Vista対応)
メモリ:512MB 以上の RAM(1GB 以上を推奨)
HDD:2GB 以上HDDの空き(インストール時には追加の空き容量が必要)(フラッシュメモリを利用したストレージデバイス上にはインストール不可)

■問い合わせ先
アドビカスタマーサービス
0570-067337 
http://www.adobe.com/jp
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