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CGMから考えるWeb制作とコミュニケーション

1 CGM(消費者生成メディア)の隆盛

1.2 CGMの種類と規模

CGM(Consumer Generated Media)に関しては日本では2006年から議論が盛んになり、その定義もいろいろみられます。また、英語圏では、その共有される情報内容の視点からUGC(User Generated Content)という使われ方も一般的なようです。リアル企業のWebサイト&コミュニケーションを考察していく上で、CGMを簡単に定義づけてみましょう。

解説:加藤 智明(つくねパパ)



[プロフィール]かとう・ともあき● 株式会社クリエイティブガレージ インタラクティブコミュニケーションプロデューサー 兼株式会社グロース・パートナーズIRコミュニケーションコンサルタント。市場調査会社でのR&D業務経験を活かし、1999年よりWebマーケティング、ネットビジネス支援、Eコマースコンサルティングに携わる。プライベートでは、ペットのミニチュアダックスフントを愛する「つくねパパ」としてblogging。


CGMとは?

CGMの定義のうち、最も広義のものは「インターネット上の個人の情報発信を促す場(ツール)」ということができます。日本では90年代から、2ちゃんねるなどの「匿名掲示板」、まぐまぐ等を利用した「個人でのメールマガジン配信」や「大規模メーリングリスト」、「個人ホームページ」などでの情報発信など、広い意味でCGMに含まれるインターネットの利用も顕在化していました。

その後、2000年くらいから、個人の情報発信内容を分類・整理・蓄積し、データベースサービスとして提供し"コミュニティ"を形成するサイトが現われだしました。価格.comや@コスメ等の「ユーザーレビュー/クチコミサイト」や、人力検索はてな・OKweb・教えて!gooなどの「Q&Aサイト」などがそれにあたり、現在もますます利用者を増やし、まさにメディア化するまでにいたっています。

そして、日本では2004年くらいから、さまざまな情報(コンテンツ)をWWW上に公開・共有する"ソーシャルメディア"が続々登場し、現在のCGM・「リード/ライト」インターネットの隆盛に結び付いています。

ソーシャルメディアは、「だれにでもオープン」「蓄積された情報でその個人のアイデンティティ(個性)が表現される」「情報共有・コミュニケーションの連鎖の仕組みが備わっている」などの特徴をもっており、代表的なサービスの種類としては、ブログ、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)、フォトシェアリング(写真共有サービス)、ビデオシェアリング(動画共有サービス)、ミュージックシェアリング(音楽共有サービス)、ソーシャルブックマーク、ソーシャルニュース、ポッドキャスティング、Wiki(Wikipedia)、WebサービスとしてのRSSリーダーなどがあげられ、また、Second Life、twitterなどの新しいサービスもこの中に含めることができるでしょう。

このようにあげてみると、例えばWikiというツール・機能がCGMなのか? 公開・共有されたコンテンツがCGMなのか? WikipediaというサイトがCGMなのかといった疑問も生じます。本連載では、ソーシャルメディアの特徴を厳密にとらえ、下図のようにCGMを整理さしてみました。
CGM概念図
CGM概念図
日本のSNSにはmixiのように招待制をとっているところが多く、「だれにでもオープン」といった特徴に反しているとお考えの方もいると思います。ただ、下記英語版Wikipediaを見ていただけばわかるように、世界レベルではSNSはオープン化が当たり前となっています。また、SNSの中で写真や動画や音楽等さまざまなコンテンツを共有したり、SNSがブログサービスを併設したりするなど、SNSはそれ自身機能の拡張と他機能との融合が進みソーシャルメディアの中核的なものとなっていますのでCGMとして規定してあります。

参考:List of social networking websites(SNSの一覧)- Wikipedia, the free encyclopedia

実は、測定が難しいCGMの規模


このようにひと口にCGMといっても、さまざまなツール・サービスが存在しています。さて、このようなCGMを積極的に活用しているユーザーは、この日本にはどれくらいの割合で存在しているのでしょうか?

「ウエブ進化論」(ちくま新書)で著者の梅田さんが、Webの「あちら側」という表現を使っています。CGM積極活用層を「あちら側」の住人として考えることもできるのですが、この割合を把握するのは、実はとても難しいです。
その理由としては、以下のようなものがあげられます。

●CGMユーザーとは、コンテンツ(情報)をアップロードしている人のことなのか? ただ、ダウンロードだけしている人も含めるのか?
●各CGMの重複利用の構造が把握できない。また、同種のCGM内でも重複登録状況は把握できない。
●CGMへのアクセスが、パソコン以外のケータイやゲーム機などのデバイスからの例も増えていると考えられ、それぞれの単独・重複利用状況が把握できない。また、家庭からと会社・学校などからのCGM利用の重複利用状況もなかなか把握できない。
●日本人が利用しているCGMは、米国等発のサービスも多く存在している。
などがあげられます。

全国規模の面接調査等のリアルアンケート調査結果を待たなければ、「あちら側」の住人規模の把握は難しそうです。ここでは、いくつか参考となるオープンデータを並べますので、CGMの規模の把握の礎としていただきたいと思います。

●日本語ブログサイト数
→世界の7000万以上のブログサイトのトラッキングをしているブログ検索サービスtechnoratiによると、更新されるエントリーの割合では、日本語のブログが全体の37%を占めている。
参考:Technorati Weblog: The State of the Live Web, April 2007

●日本のブログ開設者数
→総務省は、2007年3月末にブログ利用者数は延べ約782万人、アクティブブログ利用者数は約296万人に達すると予測
参考:総務省:ブログ・SNS(ソーシャルネットワーキングサイト)の現状分析及び将来予測(平成17年5月17日)

●SNS利用者数
→『mixi』、ユーザー数1000万人突破。mixi全体のページビュー(PCからとモバイルからのアクセス合計)は、3月末に月間109億PV(内訳:PCが約69億PV,モバイルが約40億PV)。
参考:『mixi』、ユーザー数1000万人突破:株式会社ミクシィ | プレスリリース
→携帯電話専用SNS&ゲームサイト「モバゲータウン」の会員数が500万人を突破。
参考:ケータイゲーム&SNSサイト 「モバゲータウン」の会員数が500万人突破 1日の最高PV数は4億超に:プレスリリース 株式会社ディー・エヌ・エー
→総務省は、2007年3月末にSNS参加者数は約1,042万人、アクティブSNS参加者(SNS参加者のうち、少なくとも月に1度はSNSを利用(日記、 メール、掲示板等)しているユーザ)数は約751万人に達すると予測。
参考:総務省:ブログ・SNS(ソーシャルネットワーキングサイト)の現状分析及び将来予測(平成17年5月17日)

●CGM閲覧者
→CGM閲覧者は、年間2,700万人規模。ビデオリサーチインタラクティブ調べ。
参考:SNSサイト・ブログサイトへの2006年1年間トータルの訪問者は、2,700万人超
→YouTube、"史上最速"で(日本からの)利用者1000万人に到達
参考:ネットレイティングス株式会社-プレスリリース

といった具合です。皆さんは、これらのデータをみてCGMのアクティブユーザーをどの程度と推察しますか? インターネットへの接続可能者数が9000万人程度、家庭内パソコンによるインターネットの月間アクティブ利用者数が約4,500万人という状況の中、閲覧・共有レベルでは3000万人規模のCGMユーザー数という推測は、バブリーでしょうか?

次回もお楽しみに!!
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