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CGMから考えるWeb制作とコミュニケーション

5 話題性・評判を「目標」としたコミュニケーション管理

5.2 クロスメディア(広告)


Web広告というリアルタイムに効果が測定できる広告手法の登場や、既存マスメディア広告のリーチ効率の低下傾向などを背景に、クロスメディア(広告)が注目されています。CGMから考える「クロスメディア(広告)」とは?

解説:加藤 智明(つくねパパ)



[プロフィール]かとう・ともあき● 株 式会社クリエイティブガレージ インタラクティブコミュニケーションプロデューサー兼株式会社グロース・パートナーズIRコミュニケーションコンサルタント。市場調査会社での R&D業務経験を活かし、1999年よりWebマーケティング、ネットビジネス支援、Eコマースコンサルティングに携わる。プライベートでは、 ペットのミニチュア ダックスフントを愛する「つくねパパ」としてblogging。



マルチメディア、メディアミックス、クロスメディア


クロスメディア(広告)を語る前に、マルチメディアやメディアミックスといった、似たような言葉との違いを整理しておきましょう。

マルチメディアとは、当初、文字・写真・図・映像などのコンテンツ(情報の中身)を同時に扱うことができるマシン(端末、メディアプレーヤー)のことを指していましたが、そのことがコンピューターにより当たり前になってからは、複数のメディア(プレーヤー)そのものを表すようになってきました。「マルチメディア音楽配信」といった場合、CD/MD、ダウンロードによるPCやケータイなど複数のメディア(プレーヤー)へ配信することを意味しています。

マルチメディアとは違い、メディアミックス及びクロスメディアは、広告コミュニケーションの手法のことを指しているといえます。

「メディアミックスで広告を打つ」といった場合、広告業界でATL(Above The Line)と称されるマス4媒体(テレビ、ラジオ、新聞、雑誌)を主な対象として、リーチの有効獲得に向けた媒体及びそのビークルの選定手法及びそれぞれでの表現の工夫を指しています。

それに対し、クロスメディア(広告)は、伝えたい広告訴求内容によりターゲットに効果的に届くようメディアを組み合わせて使うということで、利用者側のメディア接触プロセスからの見方である点がメディアミックスとは異なると考えます。

メディアミックスでは、TVCMと新聞広告では表現内容の違いはあっても、TVCMで「より詳しい内容は、明日の朝刊の広告でご確認ください」という表現はあまりなされなかったわけですが、クロスメディア(広告)では、「続きはWebで」とか、検索キーワードやQRコード付の広告のオンパレードとなっています。

メディアミックスが、主としてブランディング目的のため、広告予算を目一杯使い切るために広告代理店にとって都合のよい戦術キーワードであったのに対して、クロスメディア広告は、クライアントのコンバージョン目標達成のための戦術であるといった側面もみられます。売上げや資料請求・問い合わせ件数などといったそれぞれのコンバージョン目標に対し、因果や効果測定ができるというWeb広告やダイレクトマーケティング広告の特性の下、クロスする最終到達メディアをWeb(オンラインショップなど)に設定するケースが多くなっています。

このようにクロスメディア広告では、ATLだけでのブランディングではなく、未だにBTL(Below The Line)と位置づけられるインターネット広告や、その他OwnメディアであるWebサイトやコールセンターなどとの効率的な連携がプランのしどころといったところも特徴といえましょう。


CGM時代のクロスメディア(広告)の対象範囲


このように注目されるクロスメディア(広告)ですが、ソーシャルメディアを含めたCGMの隆盛により、その管理すべき対象メディアが拡がっていることを表したのが下図です。

従来のメディアミックス等でのブランディングのための広告は、下図の右上の広告出稿を管理するものでしたが、ブランディング目的にしてもコンバージョン目的にしてもクロスメディア(広告)の場合は、ATLメディアに加え、BTLメディアやOWNメディアそしてソーシャルメディアでの評判発生状況も管理の対象となることでしょう。

CGM時代のクロスメディア(広告)の対象メディア

CGM時代のクロスメディア(広告)の対象メディア

リーチ目的のブランディング広告でも、クロスメディア(広告)手法を採用しているところが沢山あります。「続きはWebで」「詳細はWebで」とのTVCFでWebへの大量の来訪を促したクレジットカード会社やPCメーカーの事例は記憶に新しいところでしょう。この場合、Webサイトへの来訪促進の結果、ブランド認知度・理解度・興味関心度・購入意向喚起度などといったブランド浸透状況の変化を広告効果と捕らえることになろうかと思います。ただし、Webサイトへの来訪促進を図ったコミュニケーションを展開しても、ブランディングを目的としたクロスメディア広告である限りは、売上増・契約増との因果を把握することは難しいため、より購買促進に繋がりやすい「CGMでのクチコミ発生件数」を効果指標とするアプローチも始まりつつあります。

流通対策・流通支援目的も多分に含むブランディング広告とは違い、ダイレクトマーケティングやEコマースでの購買をコンバージョンとしたクロスメディア(広告)の場合は、その効果がまさにリアルタイムで測定できます。広告出稿の対象とするメディアやそれぞれの表現の変化・組み合わせにより、誘導数やコンバージョンレートを逐次管理し、売上向上を目指し続ける「運用型のマーケティング・コミュニケーション管理」の予算・体制が必要になることでしょう。


大切なのは、Webサイトの位置づけとコンバージョン管理


クロスメディア(広告)手法が注目されるにつけ、重要となるのがその最終到達点と位置づけられやすい、PCやケータイからアクセスされるWebサイトのつくりの問題です。

ATL広告メディアによるブランディング広告表現をWebでも展開するといった、広告の一部としてのブランドサイト・カタログサイトのままでは、クロスメディア(広告)の成果も半減してしまいます。

OWNメディアとして、かつ、クロスメディア広告の最終コンバージョンの場として、あるべきWebサイトを運用していきたいものです。できればランディンページとして一過性のキャンペーンページを設定するのではなく、Web担当者の下、B to C to Cコミュニケーションの中核としてのWebサイトが、クロスメディア(広告)全体を管理することが、有効なコミュニケーションに結びつくのだと考えられます。


次回もお楽しみに!!


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