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CGMから考えるWeb制作とコミュニケーション

3 CGMと企業Webサイトのあり方

3.1 Webサイトの「目標・目的」と「手段」の変化

「企業とユーザーの関係性の変化」といったCGMの隆盛がもたらす「リード/ライト」インターネット時代のコミュニケーションの大きなうねりまでご紹介してきました。ここからは、企業のWeb担当者レベルでの企業サイト・Webコミュニケーションの管理・運営のあり方を具体的に考えていきたいと思います。

解説:加藤 智明(つくねパパ)



[プロフィール]かとう・ともあき● 株 式会社クリエイティブガレージ インタラクティブコミュニケーションプロデューサー兼株式会社グロース・パートナーズIRコミュニケーションコンサルタント。市場調査会社での R&D業務経験を活かし、1999年よりWebマーケティング、ネットビジネス支援、Eコマースコンサルティングに携わる。プライベートでは、 ペットのミニチュア ダックスフントを愛する「つくねパパ」としてblogging。


Webサイト管理の基本の確認

「CGMから考えるWeb制作とコミュニケーション」というメインタイトルで、第1章では「CGM(消費者生成メディア)の隆盛」を、第2章では「CGMがもたらすリアルビジネスへの影響」についてまとめてきました。

本章では、「CGMと企業Webサイトのあり方」を具体的に考えていきたいと思いますが、そのとりかかりにあたり、CGMや「リード/ライト」インターネットの影響以前に、そもそも企業サイトの管理・運用のあり方について、まとめておくことにしましょう。

ひと口に企業サイトといっても、ショッピングサイトであったり、商品カタログサイトであったり、商品・サービスブランドの広告キャンペーンの一部であったりと、その目的は多岐にわたるといえますが、今回は、以下のような情報構造をもった、典型的な企業サイトの管理・運用をイメージしていただきたいと思います。


【企業サイトの典型的な情報構造】



上記のような企業サイトの場合の目的は、「いかに多くのユーザーに、そのユーザーが必要とする情報を提供するか」「いかに多くのユーザーに、企業が伝えたい情報・イメージを提供するか」といったものになります。

企業によっては、トラフィック量(ユーザー数・セッション数・PVなど)以外の目標値として、ブランド浸透度・イメージ調査結果や、マスコミへの記事露出量、売り上げ増、株価、問い合わせ・商談量などを設定しているところもあるかもしれません。ただ、「いかに多くのユーザーに」といった共通の目的のため、企業のWeb担当者が、アクセス解析のもと、ユーザーの来訪状況を日々管理し、それに基づきSEO(検索エンジン最適化)、ユーザビリティ向上施策、頻度の高いコンテンツ更新を展開・運用するということがベースとなって、はじめてトラフィック量以外の指標も設定できるものと考えられます。

この、トラフィック目標を設定し、アクセス解析の下、SEO、ユーザビリティ向上施策、頻度の高いコンテンツ更新を展開・運用するという、「リードオンリー」インターネット時代からの企業のWebサイト管理さえもされていない企業がありましたら、その企業は、コーポレートコミュニケーションそのものを戦略として位置づけることができていないともいえるのではないでしょうか。

GoogelAnalytics等無料ツールも普及している現在、是非ともアクセス解析の下、ユーザーの来訪状況の把握は実施していただきたいと思います。



WebサイトをプラットフォームとしてのWebに最適化


さて、CGMの普及により、企業サイトの管理・運用には、どのような変化がもたらされているのでしょうか?


それには、以下のような大きく2つの方向性があると考えられます。

まず、最初にいえるのは、従来からのサイトの目標である「いかに多くのユーザーに」といったトラフィック誘導のために、CGMの隆盛がもたらす「リード/ライト」インターネット環境をどう活用できるかといった視点です。

このうちプロモーション施策としては、検索連動型・コンテンツ連動型広告といったリスティング広告を主体としたSEM(検索エンジンマーケティング)及び、SMO(ソーシャルメディア最適化)が、まずあげられましょう。


そして、サイトの効率的な運用・コンテンツ施策としては、CMS(コンテンツマネジメントシステム)導入による頻度の高いコンテンツ更新が、あげられるといえます。大規模なCMSを導入している企業はもちろんそれを活用すれば済むことですが、Movable Typeなどのブログツールをカスタマイズして簡易CMSとして活用することも、サイト運用の効率化に有効に機能するはずです。ビジネスブログの導入なども、この頻度の高いコンテンツ更新の一部と考えれば、導入のハードルも低くなるのではないでしょうか。

そして、次に大きな方向性となるのが、トラフィック誘導を必ずしも主目的としないWebサイト・Webコミュニケーション管理の方向です。

前章まででみてきたように、CGMの隆盛は、企業とユーザーとの関係性にも大きな影響を与えています。

それにより、例えば、
●マーケティングコミュニケーションにおいては、CGM上での商品・ブランドへの評判がシェアされることが、売上げに大きな影響を与えるようになり、広告するまでもなく完売になった事例

●SNS「LinkedIN」のような、企業の採用担当者も実名で求人情報をUPし、広告やエージェントを活用せずとも、紹介者を介して適職者をリクルーティングできるサービスの登場
LinkedIn: Relationships Matter

●大手企業の情報取得における、Wikipediaなどオープンコンテントサイトの影響力の高まり

●SNS「mixi」の公式コミュなどでの、コミュニティマーケティング

●ビデオシェアリング「YouTube」などへの企業広報動画のUPや、その他バイラルCM・CGCMでの話題づくり

といった、具体的な成功事例・効率化事例が登場しつつあります。

上記のような事例は、企業サイトのプロモーション施策としてのSMO(ソーシャルメディア最適化)の範疇をとびこえ、企業人としてまたは個人として、社員が企業コミュニケーションを有効に展開できる環境を示してもいるのです。

この時に、企業のWeb担当者は、企業人としてまたは個人としての各社員のCGMコミュニケーションとどのように向き合っていけばよいのでしょうか?

企業サイトのプラットフォームとしてのWebへの最適化策は、各社員のCGMコミュニケーション管理とも隣り合わせであるといえるのです。

通常はサイトプロモーションのために広告を展開しない典型的な企業サイトにおいても、SEO施策のためのSEMという広告の(予算)管理が求められるようになったり、広告でもなく自社WebサイトでもないCGM上での各社員の言動管理が求められるようになったりと、企業サイトの担当者のコミュニケーション管理の範囲は、ますます拡大し、その管理手腕が求められることになるのでしょう。



次回もお楽しみに!!
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