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CGMから考えるWeb制作とコミュニケーション

6 企業のWebサイトの管理・運用のあり方

6.3 Web担当・Webマスター(1)

これから何回かにわたって、「リード/ライトインターネット時代のB to C to Cコミュニケーション」を司る企業サイトの担当部署・部門のあり方・仕事術などをみていきたいと思います。その中で、まず今回は、「リード/ライトインターネットだ」「CGMの時代だ」という以前に、そもそも企業のWeb担当部門のあるべき姿・仕事術について確認しておいたほうがよいのでしょう。

解説:加藤 智明(つくねパパ)



[プロフィール]かとう・ともあき● 株 式会社クリエイティブガレージ インタラクティブコミュニケーションプロデューサー兼株式会社グロース・パートナーズIRコミュニケーションコンサルタント。市場調査会社での R&D業務経験を活かし、1999年よりWebマーケティング、ネットビジネス支援、Eコマースコンサルティングに携わる。プライベートでは、 ペットのミニチュア ダックスフントを愛する「つくねパパ」としてblogging。



ITと組織の企業内変遷


まだまだインターネットという言葉さえも認知されていなかった1980年代前半まで、企業のIT化といえば、汎用コンピュータによる演算処理とスタンドアローンのワープロが主役だった頃、多くの企業には「電算室」とか「総務部文書課」などの組織が存在したことを記憶しています。それらの組織は、財務・経理・総務・人事などの経営管理部門のほか研究・開発部門・マーケティング部門、広報・広告宣伝部署が主体の業務を支援する社内共用サービスとしての色が濃い組織として機能していたと考えられます。

その後、OA(オフィスオートメーション)やビルのインテリジェント化の名のもとに、「情報システム部門」主導によるネットワーク化・データの共有化と、端末機のパーソナル化が進みました。社内向け文書(コンテンツ&ドキュメント)の部署内内製化と情報の社内共有化が図られたこの時代でも、企業の社外コミュニケーション(情報発信)コンテンツは、広告宣伝や広報・PR部門の管理するところが大きかったわけです。

こういった状況下で、1990年台の半ばからインターネットが登場し普及しはじめました。2003年くらいまで、Webサイトによる情報発信にはコストと技術が要求される時代で、このころまでのインターネット環境は、まさに「リード/オンリー」インターネットとして、企業の情報発信内容をユーザーが(無料で)入手するといった形で活性化していきました。

多くの企業は、会社案内・リクルート用資料・財務指標・製品カタログ・広告などといった従来から存在していたコンテンツのE化・ネット化という形で、企業サイトやブランドサイトなどを次々と構築していった訳です。

こうやって、企業にとって比較的低予算で、世界中に情報発信できるOWNメディアとしてWebサイトが企業に与えられました。ただ、上記のような既存コンテンツのE化・ネット化といった形で産声をあげた企業のサイトは、サーバー管理やアクセス解析は「情報システム部門」「インターネット室」または「広報部門」などが担いながら、コンテンツ主体・管理はバラバラといったところが多いようです。商品画像や広告コピーの取扱いもあったからなのでしょうか、1ドメインのサイトでデザインやトータルナビゲーション構造は統一されていたとしても、企業紹介ページは広報部門が、経営ディスクロージャーは財務部が、リクルート用ページは人事部が、商品・ブランドページは各ブランドマネジメント部門や広告宣伝部が・・・といったように責任とコミュニケーション管理がバラバラのところが多いようにうかがえます。

企業サイトとして1ドメインで展開できているところはまだよいのですが、ホールディングカンパニーによる連邦経営企業、カンパニー制をしいている企業、ブランド(専用)サイトなどどのブランドの階層レベルでWebサイトを管理することが効率的なB to Cコミュニケーションにつながるのでしょうか?


そもそもWeb担当部門のあり方


新聞の紙面やテレビ番組の時間枠のようなコンテンツ量の制限をあまりうけることのないWebサイトは、とかく安易に新規ドメインによるサイト構築に走りがちです。

また、組織が大きくなればなるほど、部門ごと支店ごとにもWebサイトを構築し、特定の商品名・ブランド名での検索上位結果を、グループ企業内や支店間、企業サイトとブランドサイトとで競争するような状態に陥っているケースをよく目にします。

アクセス管理を日々実施している企業なら既に気がつかれていると思いますが、サイトの来訪者の多くが検索エンジン経由での来訪であり、その来訪者の多くが数秒以内に立ち去ってしまう「直帰者」であったりする傾向が、ますます強まっています。企業名・サイト名のブランディングによるTOPページへの検索エンジンからの誘導はもちろん大事な誘導ラインです。ただ、それだけに価値を見出すのではなく、また、自らの組織が表現したいようにページをデザインできたことで満足するのではなく、インターネットユーザーが欲している内容を明示してくれている検索行動に対し、どのページを案内し、ランディングしたときにナビゲーションよくまた、ユーザーへの適切な情報提供とかコンバージョンへの誘導を以下に効率的に行なえるかといった視点が、B to Cコミュニケーションを目的としたサイトでも必要ということなのだと考えられます。

企業名・ブランド名でも検索行動に対し、どのサイトのどのページを検索結果の上位に表示するかといった、「検索エンジンをTOPページとした、関連サイト全体のコンテンツ編集・管理」ができる体制が、Web担当部門の大きな仕事となっているのです。また、一歩進めて、企業名・ブランド名以外の業界・商品ジャンル等を表すいわゆる「ビッグワード」に関しても、関連サイトごとで連携しながらSEOによりユーザーを誘導する体制が、B to Cコミュニケーションの効率向上につながる時代といえましょう。

さて、このような状況下で、いわゆる企業サイトのWeb担当(部門)は、どうあるべきなのでしょうか?
下記のような典型的な階層構造の企業サイト内のコンテンツ・サーバー管理・アクセス解析はもちろん、たとえ企業サイトと別ドメインのブランドサイトやリクルート専用サイトなどが構築されたとしても、それらのサーバーとアクセス解析・ひいてはコンテンツ編集権をも担う組織がB to Cコミュニケーションを目的とした企業のコミュニケーション活動にも、求められるようになってきているのです。

企業サイトの典型的階層(例)
企業サイトの典型的階層(例)

次回もお楽しみに!!




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