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CGMから考えるWeb制作とコミュニケーション

1 CGM(消費者生成メディア)の隆盛

1.8 企業のCGM活用は緒に就いたばかり

Webサービス・ツールとしての定義づけ・紹介を兼ね「CGM(消費者生成メディア)の隆盛」というテーマで、数回にわたり話をすすめてきました。CGMが牽引する「リード/ライト」インターネットの時代に、企業サイトや企業のコミュニケーション活動のあり方について、この辺りで一度、方向性をまとめておこうと思います。

解説:加藤 智明(つくねパパ)



[プロフィール]かとう・ともあき● 株 式会社クリエイティブガレージ インタラクティブコミュニケーションプロデューサー兼株式会社グロース・パートナーズIRコミュニケーションコンサルタント。市場調査会社での R&D業務経験を活かし、1999年よりWebマーケティング、ネットビジネス支援、Eコマースコンサルティングに携わる。プライベートでは、 ペットのミニチュア ダックスフントを愛する「つくねパパ」としてblogging。


だいぶ変わってきた、企業の"クチコミ"をみる目

ひと昔前まで、Web上のユーザーによるクチコミというと、大規模掲示板への匿名の書き込みなどのことを示し、風評被害の素、ブランド価値低下の素などといったように、企業にとっては「ノイズ」として扱うものというのが一般的でした。

ところが、価格.comや@コスメに代表される「ユーザーレビュー/クチコミサイト」での書き込み内容が与える購買への影響を知り、ブログやSNSの情報伝播力が企業活動上も無視できない状況となっていることを知るなどを経て、漸く、リアルビジネス企業も「ブログでのキャンペーンサイトの展開」「SNSの公式コミュやアフィリエイト、お金を払ってブロガーに記事を書いてもらう仲介サービスなどでの広告展開」といった形で、「リード/ライト」インターネットとの付き合いを、まるで腫れ物にでも触るかのように試行錯誤をはじめたところといえましょう。

Web制作、企業サイトの管理・運用への影響

企業からの発信情報をユーザーがダウンロード(閲覧)することが主だった「リードオンリー」のインターネット時代から、自社サイトのアクセス解析を実施している企業でしたらすでにお気づきのことと思いますが、企業サイトへの自然来訪の状況(来訪元や検索キーワード)や、媒体ごとの広告の誘導効果は大きく変化しています。

SEOひとつをとっても、企業名での検索結果なら一位表示を獲得している企業サイトであっても、商品名での検索結果表示の一位の座は、いつのまにかCGMにあけ渡しているケースも多いのではないでしょうか?

数回にわたり「CGM(消費者生成メディア)の隆盛」というテーマで話をすすめてきましたが、その中で言及してきた「リード/ライト」インターネットが企業サイトに与えている主要な影響については、以下のようにまとめられます。

●Web価値指標の変化
ページビュー中心のWebコミュニケーション価値指標から、「ユニークユーザー数」や「総滞在時間」等、目的に応じた価値指標選択の時代へ
●多様なデバイスへの対応
PCからのアクセスだけでなく、携帯電話やゲーム機など多様なユーザー活用デバイスへの対応の必要性
●サイトユーザビリティ(使い勝手)基準の変化
読み物や画像を迷わず閲覧できる機能だけでなく、ユーザーのコミュニケーションや情報アップロード行動を支援する機能もサイトに求められる
●ロボット型検索エンジンへのSEO(検索エンジン最適化)とSEM(検索エンジンマーケティング)
ユーザーが大量にアップロードするコンテンツやリンクの洪水の中でも、存在感を確保するため、ユーザーの検索行動に対しTOPページはもちろん各ページを最適化させる必要性とそのための広告展開
●検索エンジンをTOPページと考えるサイト・ページづくり
●SMO(ソーシャルメディア最適化)
ユーザーがリンク引用しやすくしたり、ユーザーからブックマークされやすいようにするなど、「メディアをもったユーザー」との良好な関係作りの必要性

そして、上記のような変革の中、企業サイトを効率よく管理・運用していくためには、「自社サイト内」だけでなく、「プラットフォームとしてのWeb」をも管理・運用の対象とした、以下の図のような視点が必要になっているといえましょう。

「リード/ライト」インターネットでのWebサイト&コミュニケーションのあり方
「リード/ライト」インターネットでのWebサイト&コミュニケーションのあり方

企業コミュニケーション活動との連携は?


企業サイトの制作・管理・運用の視点としては、上記のようなものが上げられますが、これらの視点での制作・管理・運用を施しさえすれば、企業サイトは成功するといえるのでしょうか? 答えは「ノー」です。

企業サイトは、企業のコミュニケーション活動の目的設定のもと、その企業ならでは発信できる「一次情報」たる優良コンテンツを提供しつづける必要があることは、昔も今も変わらない、基本中の基本の原則です。

企業には、PR・IR、マーケティング・広告、販売などさまざまな領域のコミュニケーション活動が存在しています。CGMが牽引する「リード/ライト」インターネットは、ユーザーの購買行動や、ブランドの形成過程、リクルート活動、株式投資行動などにも、さまざまな影響を与えていると考えられます。

そして企業サイトには、各領域のコミュニケーション目標達成のため、ユーザーのコミュニケーション行動の変化に対応した、優良コンテンツ・サービスの提供が求められるといえましょう。

次回からは、CGMの隆盛が、ビジネスモデルそのものやPR・IR、マーケティング・広告などに与える影響について考察していき、それぞれのコミュニケーション目標達成のため有効な企業サイトのコンテンツ・コミュニケーションの開発について、ヒントを得ていきたいと思います。

次回もお楽しみに!!
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