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CGMから考えるWeb制作とコミュニケーション

1 CGM(消費者生成メディア)の隆盛

1.6 リンクを促すCGMと企業サイトのSEO&SMO

ソーシャルブックマークやソーシャルニュースといった、お気に入りのコンテンツURLをアップロード・共有するソーシャルメディアも、コメント機能等が充実し立派なCGMに成長しています。そしてこれらの大量のリンクを促すソーシャルメディアたちの存在は、リアルビジネス企業サイトのあり方にも大きな影響を与えています。

解説:加藤 智明(つくねパパ)



[プロフィール]かとう・ともあき● 株 式会社クリエイティブガレージ インタラクティブコミュニケーションプロデューサー兼株式会社グロース・パートナーズIRコミュニケーションコンサルタント。市場調査会社での R&D業務経験を活かし、1999年よりWebマーケティング、ネットビジネス支援、Eコマースコンサルティングに携わる。プライベートでは、 ペットのミニチュア ダックスフントを愛する「つくねパパ」としてblogging。


お気に入りのコンテンツURLを共有するソーシャルメディア

ソーシャルブックマーク(サービス)は、ユーザーが気にいったページをオンライン上でブックマークし、それにタグを付けて整理したり公開&共有するといったサービスで、そのページ(コンテンツのURL)に対し簡単にコメントも残せることから、CGMとしての特性を大いに兼ね備えたものとなっています。

そして、ブックマーク数による人気ランキングにより、今話題となっている・人気のあるコンテンツをみんなで共有することもできるといったことが特徴としてあげられます。米国の「del.icio.us」(デリシャス)をはじめ、「はてなブックマーク」や「PingKing」(ピングキング)など国内サービスも多く提供されている状況です。

ソーシャルニュース(サービス)は、ユーザー自身が面白いと思ったニュースやブログ記事・サイトコンテンツを探し出し登録しコメントできるところまではソーシャルブックマークと似ていますが、みんなで評価のための投票をして、ニュースとしての価値を決めていくのが特徴のサイトサービスです。米国では「Digg」(ディグ)というサイトが有名で、日本でも「newsing(ニューシング)」や「gooソーシャルニュース」などが主なものとなっています。

また、ブログ検索サービスの「テクノラティ」では、ブログエントリー内でリンク引用されているブログ(記事)やニュース、ビデオシェアリングなどのコンテンツURLの数を計測し、そのリンク引用数でコンテンツのランキング表示をしています。
このように、CGM及びソーシャルメディアの世界には、ユーザーたちのさまざまな「今のお気に入り」を把握できるサービスがたくさん存在していることがおわかりでしょう。

ブラウザでのお気に入り・ブックマークやRSSリーダーにおける登録内容が、主として「サイト(TOPページ)URL」であるのに対し、これらコンテンツURLを共有するソーシャルメディアに共通しているのは、サイトのTOPページだけではなく、「下層の各コンテンツ(ページ)のURL」を盛んに共有し、結果的にそのURLページへのリンクづくり・誘導に貢献していることです。

ブログも含めたこれらのソーシャルメディアからのトラフィック誘導が、検索エンジン単体からの誘導を凌駕しているサイトも多くなってきている昨今、多くのユーザーにブックマーク登録・引用してもらえるような優良コンテンツページを提供することも、企業のサイトプロモーション上欠かせないものとなってきているのは確かです。ただそれだけでなく、SEO(検索エンジン最適化)の手法そのものにも大きな影響を与え、また、SMO(ソーシャルメディア最適化)という新しいプロモーションの観点をも産み出す原動力となっているのが、これらコンテンツURLを共有するソーシャルメディアたちといえるのではないでしょうか。

SEOへの影響

「リード/ライト」インターネットの影の立役者は、Googleの「平等の検索ロジック」とも考えられます。企業サイトも個人ブログも分け隔てなく、それこそGoogleの検索ロジックへの適合順に表示されるからこそ、多くのブロガーのエントリーが日の目をみることができ、ブログをCGMという「メディア」にまで育てあげたともいえましょう。

このGoogleに続きヤフーも独自のエンジンであるYST(Yahoo! Search Technology)を導入し、現在は、SEO(検索エンジン最適化)といえば、ロボット型検索エンジンを対象とするものといっても過言ではなくなりました。

これら各ロボット型検索エンジンの検索ロジックの詳細は明らかにはされていませんし、日々賢く成長しているのですが、検索エンジンがインデックス化(格納)した「各ページに認識しているキーワードと検索キーワードとの合致度」と、主として被リンク状況(量と質)に基づいて得点化された「各ページの信頼度」を、かけあわせた結果順で表示するといったものが基本となっています。

もうおわかりのことと思いますが、サイト全体としての被リンクだけではなく、ページごとの被リンク状況が、検索結果表示に大きな影響を与える時代となっており、リンクを張る際にアンカーされているテキストの内容でのリンク先ページへのキーワード付与と、各ページの信頼度を高める上で、大きな影響力を持つようになったのが、コンテンツURLを共有するソーシャルメディアたちだと言える状況なのです。

そして、サイト名や企業名での検索で、自社サイトのTOPページURLが一番に表示されることに安心している多くの企業のWeb担当者を尻目に、その企業の個別商品名やその企業にとって本来あるべきビックワードでの検索結果で、いつのまにか、ブログの一記事やアフィリエイターのページばかりが上位に表示される事態を招いているのが現状といえるのではないでしょうか?

企業のWebサイトのTOPページ(機能・デザイン)を軽視するわけでは決してありませんが、検索キーワードというユーザーの要求内容ごとにマッチしたページを検索結果に上位表示させそこにダイレクトに誘導する、コンバージョン率の向上や直帰率の低下を目標にした「LPO(ランディングページ最適化)」といったサイトづくり・ページづくりの手法に、先進的な企業は取り組むようになってきています。まさに、検索エンジンをTOPページと考える、ユーザーの立場に立ったサイトづくりと管理が、求められるようになってきているのです。

SMOでのサイトプロモーション


このように、コンテンツURLを共有しリンクを促すソーシャルメディアが、サイトプロモーションに大きな影響を与えるようになったことに対応し、SMO(ソーシャルメディア最適化)といったプロモーション手法が、ちょっとした話題となっていることをご存知でしょうか?

この話題の発端となったのは、Ogilvy Public Relationsという米国PR会社のインタラクティブマーケティング部長のRohit Bhargava氏が、2006年8月に自身のブログ「Influential Interactive Marketing」にUPした「5 Rules of Social Media Optimization (SMO)」というエントリーです。

http://rohitbhargava.typepad.com/weblog/2006/08/5_rules_of_soci.html
まずここでは、以下のようなSMOの手法(ルール)が5つ紹介されました。

1. Increase your linkability
リンクされやすいサイトづくりやコンテンツ提供をしよう

2. Make tagging and bookmarking easy
ソーシャルブックマークで、ブックマークやタグ付けが簡単にされるようにしよう

3. Reward inbound links
リンクしてくれたユーザーにも喜んでもらえるようにしよう

4. Help your content travel
動画ファイルなどがあったら、ソーシャルメディアに自らアップロードしコンテンツを遠くに伝播させよう

5. Encourage the mashup
コンテンツをオープンにし、外部で利用・加工(マッシュアップ)されやすくしよう

その後この記事内容に応える形で、さまざまなブロガーから次々に新しい手法が提案され、現在では16~17にまで手法の数は達していて、今後もまだまだ議論は続きそうな情勢です。

SMO(Social Media Optimization)とは、本稿でもとりあげてきたブログやSNS、その他多くのソーシャルメディアの力を借りて、サイトトラフィックを増やしたり、効率よく情報を伝播させていく対策のことで、「リード/ライト」インターネット時代の広告に頼らないプロモーション手法として位置づけることができます。リアルビジネス企業のWebサイト担当として、すぐにとりかかれる手法をみつけることはできましたでしょうか?

次回もお楽しみに!!

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