
CGMから考えるWeb制作とコミュニケーション
5 話題性・評判を「目標」としたコミュニケーション管理
5.5 CGM時代のコーポレート・コミュニケーション統合
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[プロフィール]かとう・ともあき● 株 式会社クリエイティブガレージ インタラクティブコミュニケーションプロデューサー兼株式会社グロース・パートナーズIRコミュニケーションコンサルタント。市場調査会社での R&D業務経験を活かし、1999年よりWebマーケティング、ネットビジネス支援、Eコマースコンサルティングに携わる。プライベートでは、 ペットのミニチュア ダックスフントを愛する「つくねパパ」としてblogging。 |
コミュニケーションの対象の七変化
前回、企業広報・PR(パブリック リレーションズ)及びIR(インベスター リレーションズ)について、CGMやソーシャルメディア等がもたらす「リード/ライトインターネット」が与える影響について考察しました。その中で、IRの担当部署が、総務部や経理財務部から広報部や経営・企画部、社長室などの管轄になるケースが多くなっていると記載しましたが、企業の広報機能そのものも、コーポレート・コミュニケーション部門として位置づけている企業が増えてきました。
このことは、企業によるコミュニケーションが、主として(潜在)顧客を対象としたマーケティング・コミュニケーションにとどまらず、地域社会、マスコミ、オピニオンリーダー、投資家、就職活動者、取引先企業やグループ会社、さらには社員とその家族などのあらゆるステークホルダーを対象とし、それらとのコミュニケーション全体を管理していく必要性が生じている証ともいえましょう。それだけ、単なる認知促進にとどまらない社会との共生の必要が生じ、そのための企業努力が展開されていると考えられます。
ただし、上記のようなステークホルダーそのものの境界があいまいになっているのも、「リード/ライトインターネット」の影響といえます。
例えば、顧客にしても、CGMでのコミュニケーションによりあっという間にオピニオンリーダーやマスコミに変身するかもしれませんし、アフィリエイターとして販売支援者の機能を発揮してくれるかもしれない訳です。
また、昨今の「内部告発ブーム」ではありませんが、インナー(内部関係者)コミュニケーションの対象として位置づけられる従業員やその家族個々もメディア性を増しており、隠蔽工作ともとられるような内部統制ではかえって反感をかう時代です。このような中、コーポレイト・コミュニケーション管理とは、どのようにあるべき時代となっていくのでしょうか?
コーポレート・コミュニケーションの獲得効果とは?
マーケティング・コミュニケーションにおいても、ブランディング広告と「売上げ」との因果関係は、なかなか測定できていません。店頭施策や配荷量、販売価格政策の陰に隠れ、広告出稿量の裸の売上げへの貢献度はなかなか測定できずにいます。ましてやその広告の表現(クリエイティブ)内容に関しては、アンケートなどで購入意向喚起度を測定したり、購入者へのアンケートで「広告の表現が気に入ったから、購入した」との回答割合を測定できたとしても、では、その評判のよかったクリエイティブを流し続ければ売れ続けるのかといえば、そんなことはなく、お手上げといった状態ともいえるのではないでしょうか?
また、PR領域では、メディア・リレーションズやパブリシティ作業によるマスコミ露出量や、その後の認知・イメージ変動をアンケートなどで測定して、PR効果とする例がよくみられますが、社会的な合意形成や評判獲得との因果、事故・不祥事などの緊急事態におけるリスク対応(火消し広報)との因果把握には結びついていないでしょう。
IRにしても、「個人株主による株の長期保有」という目標を定めたとしても、そもそも目的変数をも把握することが難しく、いわゆるディスクロージャー活動やIRサイトのトラフィックなどとその目的との因果関係把握は、分析手法さえわからずにおります。
本稿「2.5 企業とユーザーの関係性の変化」において、以下のような「CGM登場以前のコーポレート・コミュニケーション統合の考え方」を提示させていただきました。

この「Web上の評判」と「企業のサイトでのコミュニケーション状況(アクセス解析データ)」の両者を、コーポレート・コミュニケーション効果の「中間指標」のひとつとして付加し、売上げや就職応募者数、従業員稼働率、株価、個人投資家比率などさまざまな「目的変数」との因果把握することで、情報発信の質・量だけではなく、まさしくコミュニケーションの効果を把握してくといった考え方がなりたとうかと思われます。
コーポレート・コミュニケーションサイト!?
データマイニングの世界では、「缶ビールと紙おむつ」といったことがよく言われます。これは、スーパーマーケットでも売上げデータをデータマイニングしたところ、缶ビールと同時に離れた売り場の紙おむつもよく買われていることが判明し、売り場開発に役立てることができた話であります。
現在の企業サイトは、会社紹介、商品・サービス紹介、投資家向け情報などのカテゴリーに分類され、コンテンツは担当部門が編集責任をもっているところが多く、担当ページのアクセス状況を効果測定指標にしているケースも多いようです。ただし、今後は、最も売上げに貢献したのは、ある従業員のブログが発端であったなどということも判明できる時代となっていきます。
コーポレート・コミュニケーション統合による管理がなさるような「コーポレート・コミュニケーションサイト」とは、情報設計そのものが根本的に違うものであるべきものなのかもしれません。




