6.4 Web担当・Webマスター(2) | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-
【サイトリニューアル!】新サイトはこちらMdNについて



CGMから考えるWeb制作とコミュニケーション

6 企業のWebサイトの管理・運用のあり方

6.4 Web担当・Webマスター(2)

個人もWebで簡便にコミュニケーションもできるようになった時代、企業も更新頻度の低い「情報発信」を脱した「コミュニケーション」をWebで坦懐することが求められます。アウトソースによるのではなく、Web担当・Webマスターが「コミュニケーション」を管理するためには、もちろん社内ナット利用環境も重要な要素になるといえましょう。

解説:加藤 智明(つくねパパ)



[プロフィール]かとう・ともあき● 株 式会社クリエイティブガレージ インタラクティブコミュニケーションプロデューサー兼株式会社グロース・パートナーズIRコミュニケーションコンサルタント。市場調査会社での R&D業務経験を活かし、1999年よりWebマーケティング、ネットビジネス支援、Eコマースコンサルティングに携わる。プライベートでは、 ペットのミニチュア ダックスフントを愛する「つくねパパ」としてblogging。



規模が大きい会社ほど制限が厳しいネット環境


2008年1月30日付で、社団法人日本アドバタイザーズ協会 Web広告研究会から、企業内のインターネット利用に関する興味深い調査結果が好評されました。

この調査レポートによると・・・・
● ほとんどの企業においてWebページの閲覧は可能だが、70%の企業は何らかの閲覧制限を行なっており、企業規模が大きくなるほど厳格となる
● Flash Playerのプラグインが利用可能な企業は全体の69%
● HTMLメールをスムーズに受信・表示できるのは全体の55%
● 動画の視聴環境で「動画も音声も視聴することができる」は83%
などの結果が紹介されています。

Webページの閲覧、インストール、メール等の制限を行なう理由としては、「ウィルス感染防止」(85%)、「情報朗詠防止」(72%)、「スパイウェア防止」(65%)などが多くあげられています。
個人情報保護法、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)、J-SOX法による内部統制への「ITの利用」(IT統制)の付加など、企業をとりまく情報管理の要請は厳しくなっているのは事実で、それを実現・管理するに当たって「システム上の制限」を加えるという手段が便利ということなのだと理解されます。

この調査結果を受け、それこそブログなどのCGMでは「Web制作にあたっては、Flashや動画コンテンツを視聴できない企業ユーザーのことも考えた代替手段の設定などの配慮が必要」などの意見が見られる訳ですが、Webサイトへのトラフィック誘導といった囲い込み型の情報発信・表現効率といった枠を超えて、企業がCGMやソーシャルメディアに向けても積極的にコミュニケーションしていくといったB to C to C型のコミュニケーションを展開・管理していく上では、こういった企業内のインターネット環境への制限をどのようにとらえればいいのでしょうか。




コミュニケーション効率とセキュリティマネジメント


本稿では、YouTubeなどのビデオシェアリング(動画共有サービス)を利用した企業が制作した動画の配信や、バイラルCM、ひいてはユーザー参加によるCM制作といったCGCM、SMO(ソーシャルメディア最適化)策などの項目で、動画等のリッチコンテンツでのコミュニケーション活用法を紹介してきました。

その紹介後も、ソーシャルメディア内でのビデオシェアリングの位置づけは、ますます高まっていますし、国内外を問わず企業や公的機関がビデオシュアリングを活用し効率的なコミュニケーションを実現している事例も多く見られるようになってきました。

今後も企業コミュニケーションにおけるリッチコンテンツが果たす役割は、大きくなっていくものと考えられます。

一方で、Webマスター・担当者といえば、新旧・各種ブラウザでの表示チェックできなければならないといった「常識」に反し、大企業のご担当の中には管理しているWebサイトのリッチコンテンツの稼動状況を確認する術を社内には持ち合わせていない状況や、折角整えたアクセス解析ツールの管理画面を見る事ができないなどといった、笑えない状況に出くわすこともたびたびとなっています。

ましてや、「リード/ライト」インターネット時代のB to C to Cコミュニケーションの実現というと、コミュニケーションの主体がWeb担当部門だけによるのではなく、企業内の社員個人にも益々門戸が開かれていくことと考えられます。

企業内個人に向けて情報を発信する側が、Web制作においてリッチコンテンツ配信の代替手段の設定などの配慮をするといった方向性を越えて、企業内個人がWebマスター的に機能することがコミュニケーション効率を高めていくことを考えると、やはり、企業内のインターネット環境への「制限」はコミュニケーション効率を犠牲にする方向を向いているように思えてなりません。

企業にとって情報セキュリティは、大切な義務といえます。ただ、ISMS取得でのコンプライアンスには、リッチメディアへのアクセス制限が義務化されている訳ではありません。各企業の管理のしやすさからの安易な「制限」の設定は、是非是非最小限に抑えていただきたいものだと考えられます。

Web広告研究会の発表した調査結果から、このようなことを考えてしましました。
企業にオープン&フラットな企業文化を求める「リード/ライト」インターネット時代のコミュニケーション効率と、ピラミッド型組織管理の象徴的なシステム「制限」。両立はそんなにも難しいことなのでしょうか?



次回もお楽しみに!!




twitter facebook このエントリーをはてなブックマークに追加 RSS
【サイトリニューアル!】新サイトはこちらMdNについて

この連載のすべての記事

アクセスランキング

8.30-9.5

MdN BOOKS|デザインの本

Pick upコンテンツ

現在