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CGMから考えるWeb制作とコミュニケーション

6 企業のWebサイトの管理・運用のあり方

6.2 Web担当に求められるコミュニケーション能力

「リード/ライトインターネット時代のB to C to Cコミュニケーション」を、トータル・コーポレート・コミュニケーション"戦略"として位置づけるということは、リアルブランドのレガシー企業にとっては、組織や企業文化のリニューアルを余儀なくされることに繋がる可能性が大きいようです。

解説:加藤 智明(つくねパパ)



[プロフィール]かとう・ともあき● 株 式会社クリエイティブガレージ インタラクティブコミュニケーションプロデューサー兼株式会社グロース・パートナーズIRコミュニケーションコンサルタント。市場調査会社での R&D業務経験を活かし、1999年よりWebマーケティング、ネットビジネス支援、Eコマースコンサルティングに携わる。プライベートでは、 ペットのミニチュア ダックスフントを愛する「つくねパパ」としてblogging。



コミュニケーション競争地位を把握


本稿を読んでいただいている皆さんには、さまざまな業種・業態にお勤めの方がいらっしゃり、また所属されている企業の規模や部門・役職等もさまざまであろうと思います。Web制作やWebマーケティング等の受託系にお勤めの方やいわゆるIT系にお勤めの方も多いことと思います。

クライアント側ともいえる自社サイトのWeb担当者はどれくらいいらっしゃるのでしょうか?また、リアルブランド企業のWeb担当として活躍されている読者がいらっしゃったとして、年間予算でのコミュニケーション施策・戦術の実施展開におわれ、とても部門を越えかつ予算年度をも越えたスタンスで取り組まなければいけないような、トータル・コーポレート・コミュニケーション"戦略"論にかかわっていらっしゃる方は、ほとんどいらっしゃらないのではないでしょうか。

「リード/ライトインターネット時代のB to C to Cコミュニケーション」を、トータル・コーポレート・コミュニケーション"戦略"として位置づける必要性は、業種・業態によりさまざまだとは思います。

「ITからICTへ」「リードオンリーインターネットから、リード/ライトインターネットへ」など、情報発信ではないコミュニケーションの重要性が叫ばれる中、業界内での自社のコミュニケーション競争地位を確認することにより、「リード/ライトインターネット時代のB to C to Cコミュニケーション」を、トータル・コーポレート・コミュニケーション"戦略"として位置づける必要性の秤を得ることになるのではないでしょうか?

こういった現状のコミュニケーション競争地位を把握し戦略構築に結び付けるための指針として、「市場競争地位によるマーケティング競争戦略」を参考としてみましょう。これは、営業マンの数、投入資金力、生産能力などといったその企業の「量的経営資源」と、企業イメージ・ブランドイメージ、マーケティング力、技術水準、トップのリーダーシップなど独自性を示す「質的経営資源」の按配により、競合間における相対的なポジションをリーダー、チャレンジャー、ニッチャー、フォロワーというタイプに分類し、それぞれの地位ごとのマーケティング戦略の定石を規定したものです。

この「市場競争地位によるマーケティング競争戦略」にならって、現状の自社のコミュニケーション競争地位を把握してみましょう。
既存メディアへの露出を中心としたリーチ中心の従来からの情報提供を「コミュニケーションの量的資源」ととらえ、ブログ・SNS・商品比較サイト等のCGMに表れた評判・レビュー量を「コミュニケーションの質的資源」ととらえることにより、コミュニケーション競争地位を規定するマトリクスを作成してみたのが、下図となります。ここでは、コミュニケーション競合間における相対的なポジションをコミュニケーション・リーダー、コンサバ・チャレンジャー、バイラル・ニッチャー、コミュニケーション・フォロワーというタイプに分類してみました。

コミュニケーション地位/コミュニケーション資源のマトリクス
コミュニケーション地位/コミュニケーション資源のマトリクス
さて、御社は業界内ではどういったコミュニケーション競争地位に含まれるのでしょうか?

マスメディア広告には出稿しているものの売上げになかなか結びつかない企業や、積極的にディスクロージャーを展開しても実質的企業価値に比べ株価が低迷してしまっている企業は「コンサバ・チャレンジャー」に属するといってもよいのではないでしょうか。

「リード/ライトインターネット時代のB to C to Cコミュニケーション」を、トータル・コーポレート・コミュニケーション"戦略"として位置づけるということは、リアルブランドのレガシー企業にとっては、まさに「質的コミュニケーション資源」を全社内に育む必要をせまるものともいえましょう。


迫られる、組織や企業文化のリニューアル


αブロガーとよばれる人たちや、エバンジェリストと呼ばれるそのブランドに関する雄弁家(経営者)は、他のブログエントリーにもよく言及されたりと、評判を発生させる「質的コミュニケーション資源」に溢れた典型例としてあげることができましょう。そうなのです、「質的コミュニケーション資源」というのは、組織ではなく個人にこそ宿っていることが多いわけで、そのことがリアルブランドのレガシー企業にとって、「リード/ライトインターネット時代のB to C to Cコミュニケーション」を、トータル・コーポレート・コミュニケーション"戦略"として位置づけることの最大の障害といえるのかもしれません。

小規模プロジェクトをも効率よく立ち上げる企業体質、コミュニケーション機能を有した組織の予算や人的リソース活用の柔軟性などを、企業には求められることでしょうし、「質的コミュニケーション資源」を有する社員の評価をどうするのかといった問題にまでリアルブランドのレガシー企業は直面させられるのかもしれません。

ちょっと話が企業経営論にまでいってしまって恐縮ですが、「リード/ライトインターネット時代のB to C to Cコミュニケーション」を、トータル・コーポレート・コミュニケーション"戦略"とするということは、ある企業には組織や企業文化そのものを迫るものであるというのは大袈裟ではないと考えています。さて、Web制作とコミュニケーションの話に戻さなければなりません。

上記のような、「リード/ライトインターネット時代のB to C to Cコミュニケーション」を展開するにあたっては、企業サイトが中核メディアとなることに、異論はないことと思います。
このときに、その企業サイトの担当部門やWebマスターは、どうあるべきなのでしょうか? このことについて次回は考えてみたいと思います。


次回もお楽しみに!!

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